今年のトレードデッドライン。
最終日に一気に動きましたね。
チームごとに見ていきたいと思います。
<シクサーズ> ⇔ <ネッツ>
ジェイムズ・ハーデン ベン・シモンズ
ポール・ミルサップ セス・カリー
アンドレ・ドラモンド
2022年1巡目指名権
2027年1巡目指名権
まずは、ベン・シモンズ問題がようやく片付きました。
それがまず良かったなと思います。
選手が試合に出ずにストライキを続けるという状態は、チームにとってもファンにとっても誰も得しませんので。
とりあえず騒動が終わってホッとしましたね。
以前は、チームと揉めてる者同士の交換が一番手っ取り早いんじゃないか?ということで、アービング⇔シモンズの交換を想定していました。
ただ、ここに来て急転直下で、ハーデン⇔シモンズの話が浮上してきました。
アウトスポークンで、どんどん対外的に発言していくカイリーに対して、ハーデンは黙して語らず、内に秘めるタイプのキャラクターです。
なので、あまり外側にはわからなかったんですが、心の内では不満を溜めていたみたいですね。
そこにはやはり、カイリーのワクチン問題が影を落としていたようです。
それは、ハーデンがネッツに来た理由を考えれば見えてきます。
ロケッツで得点王になってもMVPになっても、優勝まで手が届かなったハーデンは、ワンマンチームに限界を感じ、KDとカイリーがいるネッツに加わることを決意したわけですね。
全ては優勝するためです。
一国の王として君臨していた環境から、BIG3の一角に組み込まれることを自ら選んだということは、それなりの覚悟がいったでしょう。
ただ、何かを犠牲にしても勝利を優先するという姿勢だったと思います。
ところが、せっかくそこまで覚悟して来たはずなのに、チームの勝利よりも自分のポリシーを優先させて、試合に出ない選手がいる。
そして、それがいつまで続くのかわからない。
ハーデンももう32才。
いつワクチンを打ってくれるのかと待ち続けるだけの時間的余裕はありません。
であれば、ロケッツ時代のGMと今シーズンのMVP候補がいるシクサーズに移った方がいいのではないか?と考えるのは仕方のないことだと思います。
実は、ネッツへのトレードが決まった際も、シクサーズへ行く可能性は十分ありました。
この時はネッツに行ってみたけれど、結果うまくいかなかったので、もう一つの候補だったシクサーズに行くことにした、という感じです。
現シクサーズとのつながりは、実はもっと前からありました。
まだロケッツで何とかしようとしていた時代に、ハーデンは一度フロントにエンビードを獲得できないかと打診したことがありました。
さらには、マイク・ダントーニHCがクビになった時には、当時クリッパーズからクビになったドック・リバースをロケッツのHCに呼べないかとも打診していました。
つまり、ロケッツ時代にコンビを組みたいと思っていたエンビードとリバースHCが、今どちらもシクサーズにいる。
そして、自分を一番良く理解しているダリル・モーリーGMがチームを仕切り、自分が欲しいと熱心に誘っている。
そう考えると、もう行かない理由がないですね。
なるべくして実現したトレードなんだろうと思います。
<シクサーズ>
PG:タイリース・マクシー/シェイク・ミルトン/ジェイデン・スプリンジャー/マイルス・パウエル
SG:ジェイムズ・ハーデン/フルカン・コルクマズ/アイザイア・ジョー
SF:マティース・サイブル/ダニー・グリーン/チャーリー・ブラウンJr.
PF:トバイアス・ハリス/ジョージ・ニャン/ポール・リード
C:ジョエル・エンビード/ポール・ミルサップ/チャールズ・バッシー
ハーデンが先発SGに入ることで、エンビードとリーグを代表するインサイド/アウトサイドコンビが結成されます。
また、シーズン前半はアシスト王だったパス能力で、コンボガードのマクシーを助け、プレイメイクの負担を肩代わりしてくれます。
そうすることで、マクシーのスピードや得点能力がより生かされる環境を作ることができます。
チーム全体のバランスとしては、シモンズがプレーしていた頃と比べても、格段に良くなると思います。
ただ一つ心配なのは、ハーデンのシュート成功率が落ちていること。
キャリア平均でFG44%・3P36%ですが、今シーズンはFG41%・3P33%と下がっています。
これが、ルール変更やネッツでの使われ方の影響で、一時的に調子を落としていたのならいいのですが、年齢による衰えだとすると・・・・
それが一番の気がかりです。
<ネッツ>
PG:カイリー・アービング/パトリック・ミルズ/ジェボン・カーター
SG:セス・カリー/ブルース・ブラウンJr./キャメロン・トーマス/デイビッド・デュークJr.
SF:ケビン・デュラント/ジェイムズ・ジョンソン/ケスラー・エドワーズ/(ジョー・ハリス)
PF:ベン・シモンズ/ニコラス・クラクストン/ブレイク・グリフィン
C:ラマーカス・オルドリッジ/アンドレ・ドラモンド/デイロン・シャープ
シモンズをPGに置くと、カイリーとセスを両方先発さえるのがサイズ的に難しくなります。
なので、シモンズはPFに置いて、ポイントフォワードとしてプレーし、バックコートにカイリーとセスを置くのがいいと思います。
センターはドラモンドを先発させてもいいのですが、そうするとシモンズとドラモンドで外がない2人が並んでしまうので、オルドリッジの方がバランスはいいと思います。
カイリーが出たり出なかったりの問題が今後もつきまとうので、司令塔役は完全にシモンズに任せ、カイリーはスコアラーとしてプレーする方が機能すると思います。
試合ごとに司令塔役が変わると、チームに混乱が生じるので。
それぐらい司令塔は大事なので、司令塔役は変えずにシモンズに統一して、カイリーは単なるスコアリングマシンとしての役割を果たせば、出ない試合はミルズなどに入れ替わっても、影響を最小限に留めることができると思います。
ただ、熟成させるにはそれなりの時間がかかると思います。
シモンズもどういうコンディションなのか全くわかりません。
仮に、シモンズが早く復帰できて、KDとのケミストリーが確立できたとしても、カイリーが出たり出なかったりの状態が続いている限りは、優勝は難しいと思います。
シモンズにとって良かったもう一つの材料は、パトリック・ミルズがいることです。
同じオーストラリア代表の仲間で、これまでも騒動の間ずっとシモンズを擁護していました。
チーム内で孤立してしまったシクサーズから離れ、同郷の理解者がいるネッツに移るのは、メンタル面でも大きな助けになると思います。