なかなかベン・シモンズのトレードを実現できないシクサーズですが、その理由の一つが高望みです。
これだけ評価が地に落ちているシモンズを、スーパースター級の扱いで交換相手を出せと言っている状態なので、そりゃ決まるもんも決まりません。
そして、シクサーズが求める“シモンズとの交換に相応しいスター”というのが、デイミアン・リラードとブラッドリー・ビールです。
そら誰だってほしいスーパースターですよね(笑)
現時点では、それぞれのチームからダメって言われるのは百も承知なんですが、ここではシクサーズが希望するその2人のトレードが、どういうトレードだったら理論上は成立するのかを考えてみたいと思います。
それと、一つおもしろいなと思って注目しているのが、シクサーズのアイザイア・ジョーです。
ジョーは、昨年2巡目49位で指名されたSGで、3Pのスペリャリストになれる可能性を秘めています。
シーズン中はほとんど出番がもらえませんでしたが、2年目のプレシーズンはプレータイムをもらって結果を残しています。
プレシーズンマッチ4試合での成績がこちら。
26分 FG5/9 3P4/8 18点 3S
22分 FG5/7 3P3/4 15点 2S
27分 FG6/9 3P5/7 20点 2S
22分 FG5/10 3P4/8 14点 0S
4試合平均で24.3分し、
「FG60.0% 3P59.3% 16.8点 1.75スティール」
という素晴らしい成績を残しています。
3Pは、1試合あたり4本ずつ、6割の確率で成功させています。
プレシーズンとはいえ、質も量も申し分ない結果。
しかも4試合全てで一様に結果を残していますからね。
というわけで何が言いたいかというと、ジョーは隠し玉としていいトレードの駒になるんじゃないか?ということです。
シクサーズがキープする場合も、戦力として計算できそうなので、他の選手をトレードで出しやすくなると思います。
ちょっとシーズンに向けて楽しみな存在です。
さて、そんなわけでトレード案です。
まずはリラードの方から。
リラードは昨シーズン終了後、チームに対して本気で補強に取り組むようプレッシャーをかけました。
しかしブレイザーズの動きは鈍く、チーム力は上がるどころか、昨シーズンよりも戦力ダウンしたというのが大方の見方です。
そんな状況から、リラードが本気でトレードを直訴するんじゃないかという憶測も囁かれましたが、忠誠心が人一倍強いリラードはそうしませんでした。
ただ、シーズンが開幕して負けが込み、早々にプレーオフ戦線から脱落したりした場合には、もうどこまでリラードが我慢してくれるかはわかりません。
そうなったらシクサーズにもチャンスが出てくる可能性があり、またシクサーズもそんな状況を狙っているようにも感じます。
今獲れる中で最善のトレードをしようという考え方ではなく、大物が釣れるまで辛抱強く待っていようという作戦ですね。
PG デイミアン・リラード PG ベン・シモンズ
SF マティース・サイブル
PG タイリース・マクシー
SG アイザイア・ジョー
まず、サラリーのバランス的には、リラード(39.3mil)とシモンズ(33.0mil)は1対1での交換が成り立ちます。
ただ、実力的にはリラードの方が格段に上なので、なにかしら色をつけてあげないといけません。
というわけで、若手の有望株を何人かオマケでつけてあげる形でどうかな?というのが、このトレード案です。
まず、ディフェンス力のアップを目指して、昨年デリック・ジョーンズJr.とロバート・コビントンを入れましたが、思うような効果は得られませんでした。
そこで、ディフェンスのスペシャリストであるマティース・サイブルを加えることで、シモンズと合わせて個のディフェンス力をアップさせることができます。
リラードの抜けるPGには、シモンズに加えてタイリース・マクシーも加え、選手層を厚くします。
マクシーが先発レベルに成長してくれば、シモンズをPFにスライドさせる起用法もできるようになると思います。
そして、前述したアイザイア・ジョー。
3Pのスペシャリストとして、ベンチからスコアリングオプションを提供します。
今のブレイザーズは、チーム全体の選手層がかなり薄いチームです。
この夏の目玉FA補強が、トニー・スネル、コーディ・ゼラー、ベン・マクレモアですから、リラードがガッカリするのも致し方ありません。
そんなブレイザーズだからこそ、若くて将来有望な選手を何人も加えてあげることで選手層を厚くできるのは、決して悪い話ではないと思います。
<シクサーズ>
PG:デイミアン・リラード/ジェイデン・スプリンジャー/グラント・リラー
SG:セス・カリー/シェイク・ミルトン
SF:ダニー・グリーン/フルカン・コルクマズ/アーロン・ヘンリー
PF:トバイアス・ハリス/ジョージ・ニャン/ポール・リード
C:ジョエル・エンビード/アンドレ・ドラモンド/チャールズ・バッシー
シクサーズは、選手層の厚みと引き換えに、絶対的なガードを手に入れます。
控えPGをはじめ、全体的な穴埋め補強が必要にはなりますが、まずはチームの核となる中心選手に超一流を揃えることができるのは大きいです。
リラードとエンビードの2人がいれば、それだけで毎年優勝を狙えるチームになるでしょう。
次なる一手としては、36.0milと高額年俸のトバイアス・ハリスを出して、複数のロールプレイヤーを獲得するようなトレードをしてもいいと思います。
得点力は2人に任せて、その間を埋める、勝つために必要なプレーができる脇役的な選手を入れることで全体のバランスを取ることに加え、サラリーキャップの圧縮も図っていった方がいいと思います。
<ブレイザーズ>
PG:CJ・マッカラム/タイリース・マクシー/アンファニー・サイモンズ/デニス・スミスJr.
SG:ノーマン・パウエル/ベン・マクレモア/アイザイア・ジョー/CJ・エルビー
SF:ロバート・コビントン/トニー・スネル/マティース・サイブル/ケルジン・ブレビンス
PF:ベン・シモンズ/ラリー・ナンスJr./ナシアー・リトル/グレッグ・ブラウン
C:ユスフ・ヌルキッチ/コーディ・ゼラー/トレンドン・ワトフォード
ノーマルにシモンズをPGにしてもいいのですが、リラードがいない時はマッカラムがボールハンドラーになっていたことと、パウエルは6−3(191cm)とSFに置くには小さすぎるので、マッカラムとパウエルをバックコートに置き、サイズのあるシモンズをPFで先発させる布陣にしました。
シモンズをよりマルチに動かしたい場合は、コビントンとシモンズのポジションを入れ替えて、シモンズをSFにしてもいいと思います。
そうすることで、守備の際にPG〜PFまでフレキシブルにマーク相手を変え、抑えたい相手にシモンズをつけることができると思います。
そして、どのポジションになったとしても、攻撃の際はそのポジションから司令塔役を務めればいいと思います。
控えPGにマクシー、控えSGにジョー。控えSFにサイブルがそれぞれ入ることで、ベンチの選手層はだいぶ厚くなると思います。
控えPFにはこの夏のトレードで加入したラリー・ナンスJr.もいますので、チーム全体の戦力の底上げになると思います。
さて、続いてブラッドリー・ビールの方も。
ビールの契約は来シーズンがプレイヤーオプションになっていて、今シーズン終了後にFAとなり、他のチームに行ってしまう可能性があります。
そうならないようにウィザーズは今オフ中に延長契約を結ぼうとしていますが、今のところビール側はその判断を急ぐつもりはないようです。
つまり、今シーズンの様子を見て今後の進退を決めようかなあ〜、というスタンスですね。
そうなると、ウィザーズ的にはプレッシャーですね。
毎年プレーオフに行けるかどうかのラインをうろうろしているチームが、そうそう急激に強くなるわけではありません。
もしプレーオフを逃すようだと、もうこんなチームにはいられない、と見切りをつけられる可能性もあるわけです。
なのでシーズン前に延長契約を締結しておきたかったわけですが、それが難しいとなると、タダで出ていかれるリスクを避けるために、トレードで対価を得ようということにもなってきます。
ブレイザーズ同様、シーズンの行く末次第では、シーズン中のトレードもありうるわけですね。
<シクサーズ> ⇔ <ウィザーズ>
SG ブラッドリー・ビール PG ベン・シモンズ
PF ダービス・ベルターンズ SG セス・カリー
SG シェイク・ミルトン
SG アイザイア・ジョー
まずこちらも、ビールとシモンズはサラリー的には1対1のトレードが成り立ちます。
ただやはり、実力的に釣り合いが取れないので、何かしらの特典をつけてあげる必要が出てきます。
こちらも若手のオマケをつけていますが、それプラス、ウィザーズの不良債権であるベルターンズの契約を引き取るオプション付きで考えてみました。
年俸16milのベルターンズに対して、同じくシューターのセス・カリーは半分の8.2mil。
さらに、ビールが抜けて手薄になるSGポジションを埋めるため、ミルトンとジョーも入れてみました。
シクサーズ的には、あと4年も残るベルターンズの契約は厄介ですが、プレーオフを目指すチームの戦力としては使えるかもしれません。
それに、それでもしビールが獲れるなら、必要な出費かもしれません。
<シクサーズ>
PG:タイリース・マクシー/ジェイデン・スプリンジャー/グラント・リラー
SG:ブラッドリー・ビール/フルカン・コルクマズ
SF:ダニー・グリーン/ジョージ・ニャン/マティース・サイブル/アーロン・ヘンリー
PF:トバイアス・ハリス/ダービス・ベルターンズ/ポール・リード
C:ジョエル・エンビード/アンドレ・ドラモンド/チャールズ・バッシー
ビールが先発SGに、ベルターンズが控えPFに入り、マクシーが先発PGに上がります。
リーグで1、2を争う得点力を持つビールとエンビードが揃えば、リーグトップのオフェンスコンビが誕生します。
スターパワーという点では申し分のない組み合わせです。
あとはマクシーをサポートする、経験のある控えPGが必要になります。
ハーフコートを指揮できるような、技巧派のタイプがいいと思います。
思い切りのいいマクシーの良さはそのまま生かしつつ、ゲームを落ち着かせてエンビードをうまく使えるような司令塔タイプが望ましいですね。
<ウィザーズ>
PG:スペンサー・ディンウィディ/アーロン・ホリデイ/ラウル・ネト/カシアス・ウィンストン
SG:ケンタビウス・コールドウェル=ポープ/セス・カリー/シェイク・ミルトン/アイザイア・ジョー
SF:ベン・シモンズ/デニ・アブディーヤ/コーリー・キスパート
PF:カイル・クーズマ/八村塁/アンソニー・ギル/アイザイア・トッド
C:ダニエル・ギャフォード/モントレズ・ハレル/(トーマス・ブライアント)
シモンズをPG、ディンウィディをSGにする考え方もあると思いますが、ネッツ時代にディンウィディが輝いた時は、決まってボールハンドラーを任された時でした。
つまり、PGを任せた方がディンウィディの良さが最大限に発揮されるのはないかと思います。
そこで、PGにディンウィディ、SGにKCPを置いて、シモンズをSFにするパターンが良いのではないかと考えています。
そうすることで、クーズマはPFのままにすることができ、シモンズにもオールラウンドな働きを期待することができます。
シュート以外は、パスでも、リバウンドでも何でもこなし、どのポジションでも守ることができるシモンズのオールラウンドさをフルに発揮するには、幅広い役割をこなすSFが最適なポジションではないかと常々考えています。
もちろん、ポイントフォワードとしてもプレーすることができますので。
また、6−5(196cm)のディンウィディがPGに入ることで、上背のないセス・カリーをSGで先発させることもできると思います。
様々なパターンのラインナップを組むことができるフレキシビリティは、ケガ人がでた時などにチーム力を落とさず、臨機応変な対応を可能にします。
全体的なタレントレベルは小粒ですが、どのポジションにも先発クラスが2〜3人いるこのロースターは戦力に厚みがあり、なかなか良いチームになるのではないかと思います。