MIP & 6th Man Award
ニックスが3勝1敗と王手をかけたGAME5。
残り30秒を切って、シクサーズは6点ビハインド。
このままいけばシーズン終了という絶体絶命の場面。
ここで、タイリース・マクシーがシクサーズを救う。
残り25秒で3Pを決め、ファールももらって4ポイントプレー。
その後3点差に戻された残り8秒には、3Pラインのはるか遠くから起死回生の同点のスリー。
1人で7点を荒稼ぎし、土壇場でチームを敗退の危機から救う奇跡的なプレーを見せた。
そんなマクシーですが、今シーズンのMIPにも選ばれました。
マクシーがいい選手であり、将来のスターであることに異論はないのですが、今回のMIP受賞にはちょっと異を唱えたいと思います。
最終候補になった3人のスタッツ比較は、以下の通りです。
【MIP】
タイリース・マクシー(シクサーズ)
・2022-23 20.3点/2.9R/3.5A/FG48.1%/3P43.4%
・2023-24 25.9点/3.7R/6.2A/FG45.0%/3P37.3%
↓
差 5.6点/0.8R/2.7A
コービー・ホワイト(ブルズ)
・2022-23 9.7点/2.9R/2.8A/FG44.3%/3P37.2%
・2023-24 19.1点/4.5R/5.1A/FG44.7%/3P37.6%
↓
差 9.4点/1.6R/2.3A
アルパレン・シェングン(ロケッツ)
・2022-23 14.8点/9.0R/3.9A/FG55.3%
・2023-24 21.1点/9.3R/5.0A/FG53.7%
↓
差 6.3点/0.3R/1.1A
純粋にスタッツの上り幅で言えば、コービー・ホワイトが10点近く大幅に得点アベレージをアップさせています。
得点だけで言えば、マクシーはシェングンよりも上り幅は少なくなっています。
MIPは、前年と比べて最もスタッツをアップさせた選手に贈られるべきだと思います。
その観点から言えば、今シーズンはコービー・ホワイトがもらうべきだったのではないかな?と思います。
もしマクシーにMIPをあげるのであれば、今シーズンではなく、1年目⇒2年目のシーズンにあげるべきだったと思います。
下の通り、今シーズンよりもスタッツの上り幅が大きかったからです。
・2020-21 8.0点/1.7R/2.0A/FG46.2%/3P30.1%
・2021-22 17.5点/3.2R/4.3A/FG48.5%/3P42.7%
↓
差 9.5点/1.5R/2.3A
この時に選ばなかったのに、その後のトータル的な印象度で選んでしまうというのは、ただのイメージでしかないのでやめてほしいなと思います。
ただこれも記者の投票によるものなので、往々にしてイメージが優先されてしまうきらいがあります。
そしてもう一つ、6thマンの投票も気になりました。
ウルブスのナズ・リードが僅差の末に選ばれましたが、今シーズンは圧倒的にキングスのマリーク・モンクだったと思います。
まずはスタッツ比較です。
【6thマン】
ナズ・リード(ウルブス)
・81(14)試合 13.5点/5.2R/FG47.7%/3P41.4%
マリーク・モンク(キングス)
・72(0)試合 15.4点/5.1A/FG44.3%/3P35.0%
まずこの単純比較だけでも、モンクの方が平均得点で2点も多いので、モンクの方が評価されるべきだと思います。
さらには、( )内は先発試合の数ですが、モンクは全てベンチスタートであるのに対して、リードは14試合も先発しています。
先発した試合は当然出場時間も長いので、スタッツ的には有利に働きます。
・先発:14試合 17.6点/7.0R
・ベンチ:67試合 12.3点/4.9R
つまり、先発機会のあった14試合で、平均スタッツをだいぶ押し上げることができたわけです。
これは別にリードのせいではありませんが、純粋に優秀な6thマンを選出しようとするならば、全てベンチスタートだったにもかかわらずこれだけの成績を残したモンクの方が、ベスト6thマンだと言えると思います。
Malik Monk this season:
— StatMamba (@StatMamba) 2024年4月24日
• Most PTS off the bench
• Most AST off the bench
• Most 20-point games off the bench
• Most 25-point games off the bench
• Most Clutch PTS, FGM, 3PM off the bench pic.twitter.com/jIouGpWBwF
・ベンチからの最多得点
・ベンチからの最多アシスト
・ベンチから20点以上をあげた試合数が最多
・ベンチから25点以上をあげた試合数が最多
・ベンチからクラッチシーンで決めた得点、FG成功数、3P成功数が最多
Averages off the bench this season:
— StatMamba (@StatMamba) 2024年4月24日
Monk Reid
15.4 PPG 12.3 PPG
2.9 RPG 4.9 RPG
5.1 APG 1.1 APG
2.1 3PM 1.9 3PM
44/35/83% 48/41/77% pic.twitter.com/OCgEXCu3mP
・ベンチスタートからのスタッツ比較
これら全ての事実を見れば見るほど、モンクの方が最優秀6thマンであることを示しているのですが、どうして投票結果はそうならないのか?
結局それを妨げているのは、投票する記者の先入観だったり、単なるイメージだったりします。
また、個人のアウォードなのに、過度にチーム成績を加味させたりという、独自の判断基準を持ち込んだりします。
特にMIPや6thマン賞は、スター級じゃない選手にも日の目が当たる、希少な機会です。
変な価値観を持ち込んで、選手への正当な評価を捻じ曲げないでほしいなと思います。