開幕直後は、意外な選手が活躍したり、逆に不調に陥ったりという波がよくあります。
今シーズンは、ジャー・モラント、ハリソン・バーンズ、マイルズ・ブリッジズといった選手が好調なスタートを切った一方で、デイミアン・リラード、ジェイムズ・ハーデン、ディアーロン・フォックスといった選手が不振にあえいでいます。
まだ5〜6試合しか経過していない段階なので、今後また成績が上がったり下がったりしていくわけで、そこまで一喜一憂するものでもないのですが、トレードに関して言うと、ちょっと興味深い変化があるかもしれません。
以前からベン・シモンズのトレード案を取り上げてきましたが、大物狙いのシクサーズは、デイミアン・リラードやブラッドリー・ビールといった大物級の選手じゃないと交換しないというスタンスを取ってきました。
ビールのウィザーズは好調なスタートを切ったため、しばらくそんな話は出そうにありませんが、不振のリラードとブレイザーズなら、もしかしたら・・・という可能性も出てきます。
ただ、リラードがこのままの成績で終わるはずがないので、ブレイザーズもすぐにリラードをどうこうするという話にはならないでしょう。
今回取り上げたいのは、ディアーロン・フォックスとキングスです。
当初キングスは、フォックスとタイリース・ハリバートンはアンタッチャブルな存在とし、トレードには出さないというスタンスを見せていました。
そこで以前のブログでは、バディ・ヒールドとマービン・バグリー、新人デイビオン・ミッチェルのコンビネーションでトレードを考えました。
しかし、ディアーロン・フォックスの不調が続くようだと、この考えも変わるかもしれません。
これまでの成績を、昨シーズンの成績と比較してみます。
・昨年:25.2点/7.2A/1.5S/3.0TO/FG47.7%/3P32.2%/FT71.9%
・今年:18.5点/6.3A/1.0S/4.0TO/FG37.7%/3P17.1%/FT61.3%
まだ6試合しか経過していませんが、ショットの精度がかなり下がっています。
逆にターンオーバーなどのミスが増えています。
まあ、このぐらいの成績であれば、そこまで心配するほどのことはないのかもしれませんが、問題は昨年オフに結んだ契約です。
前回、マイルズ・ブリッジズの話題で、ルーキー契約が終わる際に結ぶ延長契約の話をしました。
このフォックスの場合は、ブリッジズより1年早い2017年ドラフト組なので、昨年のオフに契約延長のタイミングを迎え、そこでキングスはフォックスにMAXでの延長契約を与えています。
ドノバン・ミッチェル、ジェイソン・テイタム、バム・アデバヨと同じ、5年163mil(年平均32.6mil)というMAX契約です。
つまり、チームがフランチャイズプレイヤーと認めて、最高額の契約を与えているわけですから、必ず活躍してもらわないと困るわけです。
それは、ドノバン・ミッチェル、ジェイソン・テイタム、バム・アデバヨという、同じ契約をもらった他の面々を見てもわかります。
この不振が一時的なものであればいいのですが、向こう5年間のチームをこの選手に任せていこうというわけですから、その責任は重大です。
もし「あれ? 違ったかな??」という不安がある場合には、早めに方向転換しないと、後で不良債権化してどこにも出せなくなる危険もあります。
ちなみに、フォックスと結んだMAXの延長契約はこちら。
★5年163mil 28.1/30.4/32.6/34.8/37.1mil
元々、昨年オフにディアーロン・フォックスがMAX契約を結んだ際、「え? 出しすぎじゃないか?」という声はありました。
前述した3人は、既にオールスターに選ばれていて、リーグでの地位を確立しているのに対して、フォックスはまだそこまでの選手ではないという評価があったためです。
ただ、ここで言いたかったのは、「フォックスはダメだ」ということではなく、「フォックスがアンタッチャブルな存在ではなくなったのではないか?」ということです。
つまり、「絶対にトレードには出さない」というスタンスから、「場合によってはトレードに出してもよい」という選択肢が生まれたのではないかということです。
であれば、ベン・シモンズとのトレードの可能性も出てきたのではないかな?と想像しています。
そこでこんなトレード案です。
<キングス> ⇔ <シクサーズ>
ベン・シモンズ ディアーロン・フォックス
アイザイア・ジョー マービン・バグリーⅢ
かつてのドラフト2位指名であるバグリーは、今シーズンはローテーションからも外され、試合にすら出られなくなってしまっています。
PFポジションの選手層が薄いシクサーズなら、出場機会が増え、覚醒する可能性もあります。
逆にシクサーズは、SGが多いチーム事情から、アイザイア・ジョーがローテーションから外れています。
こちらも新天地に移ることで、出場機会を増やし、活躍できるようになる可能性があります。
<キングス>
PG:タイリース・ハリバートン/デイビオン・ミッチェル
SG:バディ・ヒールド/アイザイア・ジョー/テレンス・デイビス/ジャーマイアス・ラムジー
SF:ハリソン・バーンズ/モーリス・ハークレス/ロバート・ウッダードⅡ
PF:ベン・シモンズ/トリスタン・トンプソン/チメジー・メツ/ルイス・キング
C:リショーン・ホームズ/アレックス・レン/デイミアン・ジョーンズ/ニミアス・ケイタ
タイリース・ハリバートンを正PGに据え、バディ・ヒールドを先発SGに戻します。
シモンズは先発PFに置き、ハリバートンと共にプレイメーカーの役割を分担します。
アイザイア・ジョーは3Pのスペシャリストとして、控えSGに入る形です。
もちろんフォックスとハリバートンのダブルPGのバックコートでもよいのですが、せっかくスコアラー的に動ける体制を取っても、肝心のフォックスの得点力が伸び悩んでしまっては、ダブルPGにしている意味がありません。
であれば、SGが本職のヒールドをスコアラー役に戻し、ハリバートンをPGに据えた方がいいという考え方もできると思います。
シモンズを加えることで、司令塔役の2人体制は維持することができます。
またPFに置くことで、ジャンプショットの弱点を封印し、サイズを生かしたリバウンドやディフェンダーとしての役割にフォーカスすることができます。
<シクサーズ>
PG:ディアーロン・フォックス/タイリース・マクシー/ジェイデン・スプリンジャー/グラント・リラー
SG:セス・カリー/シェイク・ミルトン/フルカン・コルクマズ
SF:ダニー・グリーン/ジョージ・ニャン/マティース・サイブル/アーロン・ヘンリー
PF:トバイアス・ハリス/マービン・バグリーⅢ/ポール・リード
C:ジョエル・エンビード/アンドレ・ドラモンド/チャールズ・バッシー
ディアーロン・フォックスとタイリース・マクシーの2人体制でPGポジションを回せば、シモンズの穴は埋められます。
シモンズに代わるオールスタークラスの選手というシクサーズの要求も、満たすことができるでしょう。
バグリーは控えPFに入りますが、もしポテンシャルが発揮されてくれば、ハリスをSFにして、バグリーをPFで先発させることもできると思います。
また、6−11(211cm)のサイズがあるので、センターのバックアップとしても戦力にすることができます。
もう一つ、拡大版のトレード案として、こんな取り引きも成立します。
<キングス> ⇔ <シクサーズ>
ベン・シモンズ ディアーロン・フォックス
トバイアス・ハリス ハリソン・バーンズ
マービン・バグリーⅢ
今シーズン絶好調のハリソン・バーンズは、優勝を目指すプレーオフチームにとってはぜひ手に入れたい即戦力の選手。
しかも、年20milと契約金額もリーズナブルです。
費用対効果で考えれば、年36milのトバイアス・ハリスよりもずっとお買い得です。
シモンズ⇔フォックスの交換に絡めて、ハリス⇔バーンズも交換してしまおうというのが、こちらのトレード案です。
<キングス>
PG:タイリース・ハリバートン/デイビオン・ミッチェル
SG:バディ・ヒールド/テレンス・デイビス/ジャーマイアス・ラムジー
SF:トバイアス・ハリス/モーリス・ハークレス/ロバート・ウッダードⅡ
PF:ベン・シモンズ/トリスタン・トンプソン/チメジー・メツ/ルイス・キング
C:リショーン・ホームズ/アレックス・レン/デイミアン・ジョーンズ/ニミアス・ケイタ
さっきのロースターからバーンズ⇔ハリスを入れ替えただけなので、戦力的にそれほど大きな変化はありません。
どちらかというと、契約的な話が大きいかなと思います。
バーンズもハリスも、同じ29才。
選手としては、ピークを迎える年代です。
バーンズは残り2年契約で、来シーズン終了後に完全FAとなります。
その時まだ31才なので、まだ選手としてピークのままである可能性が高く、キングスが再契約できるかどうかは定かではありません。
どちらかというと、プレーオフチームに取られてしまう確率の方が高いでしょう。
その点、ハリスは残り3年契約と1年長くキープしておくことができます。
FA市場で人気のないキングスが、同じクラスの選手を獲得できる保証はありません。
であれば、ピーク期の選手をより長く確保できた方がいいのでは?という考え方もできます。
<シクサーズ>
PG:ディアーロン・フォックス/タイリース・マクシー/ジェイデン・スプリンジャー/グラント・リラー
SG:セス・カリー/フルカン・コルクマズ/シェイク・ミルトン/アイザイア・ジョー
SF:ダニー・グリーン/ジョージ・ニャン/マティース・サイブル/アーロン・ヘンリー
PF:ハリソン・バーンズ/マービン・バグリーⅢ/ポール・リード
C:ジョエル・エンビード/アンドレ・ドラモンド/チャールズ・バッシー
ハリソン・バーンズとトバイアス・ハリスの、今シーズンこれまでの成績比較です。
・バーンズ:平均23.3点/9.7リバウンド/2.3アシスト/FG48.6%/3P44.9%
・ハリス:平均19.8点/9.0リバウンド/4.2アシスト/FG54.3%/3P32.0%
スタッツ的に大きな差はなく、ほぼ同じクラスの選手と言えるのではないかと思います。
こちらは契約金額の比較です。
・バーンズ:残り2年 20.3/18.4mil
・ハリス:残り3年 36.0/37.6/39.3mil
実力差がないと考えれば、バーンズの方が費用対効果が高く、かなりお得な選手と言えると思います。
ハリスと同程度の活躍が見込めるバーンズをキープしつつ、バグリーの潜在能力を試してみることができるなら、チームにとってもメリットが大きいと思います。
ベン・シモンズがチームに合流したとは言っても、本気でシクサーズに戻りたいと思っているようには見えません。
合流しないことによって、給料が支払われなくなるのを避けるために、“カタチ上”合流したという見方もできます。
チームワークやケミストリーのことを考えても、特に優勝を目指そうというチームならなおさら、不満分子を抱えておくことはできません。
やはり交換できるうちに、何らかの対価と交換してしまう方が得策だと思います。
であれば、スロースタートで評価が下がっているうちにトレードをまとめてしまうというのも、一つの手ではないかと思います。