miles away

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まだ開幕して間もない2021−22シーズンですが、昨シーズンまで苦しんでいたブルズやウィザーズ、ウォリアーズといったチームが5勝1敗と好調なスタートを切っています。

 

ホーネッツも4勝2敗とこれに続く成績を残していますが、特筆すべきはマイルズ・ブリッジズの活躍です。

 

まだ6試合ではありますが、チームトップの平均25.5点は、リーグ全体でも10位につける好成績で、開幕週の週間MVPにも選ばれました。

 

しかしブリッジズは、昨シーズンはゴードン・ヘイワードの加入で先発落ちを余儀なくされ、6thマンとしてプレーしていました。

 

ベンチスタートだったことで昨シーズンの平均は12.7点に留まっていたので、今シーズンの平均25.5点はジャンプアップと言えます。

 

しかし、その予兆はありました。

 

昨シーズン66試合に出場したうち、19試合だけ先発出場したのですが、その先発試合だけの平均は18.6点というスタッツを残していました。

 

これは、今シーズン先発に戻れば、20点スコアラーも夢ではないなと思わせるに十分な成績でした。

 

しかし、問題はポジションでした。

 

本来SFであるブリッジズですが、昨シーズン大物FAのヘイワードが加入したことによって、先発SFの座を譲らざるを得なくなりました。

 

実績や待遇から考えると、それは仕方のないことでしたが、ブリッジズは出場機会を得るためにプレーの幅を広げ、PFでも出られるようにしていきました。

 

NBA入りしてからこれまでのスタッツ比較です。

 

1年目 80試合(先発25) 7.5点/4.0リバウンド/FG46.4%/3P32.5%/FT75.3%

2年目 65試合(先発64) 13.0点/5.6リバウンド/FG42.4%/3P33.0%/FT80.9%

3年目 66試合(先発19) 12.7点/6.0リバウンド/FG50.3%/3P40.0%/FT86.7%

(うち先発19試合のみ 18.6点/6.7リバウンド/FG50.8%/3P41.8%/FT85.7%)

4年目 6試合(先発6) 25.5点/8.0リバウンド/FG50.9%/3P36.2%/FT88.0%

 

リバウンドの数字が年々増えていっているのがわかります。

 

また、シュート成功率も年々正確さが増しています。

以前は豪快なダンクばかりが注目されていましたが、3P成功率も確実に上がっています。

 

NBA入り当初は、身体能力に任せてダンクを量産するプレースタイルでしたが、徐々にシュートの正確性を磨き、さらにインサイドでも身体を張れるオールマイティな選手に進化していった様子がうかがえます。

 

 

ただ、今回なぜこんなことを取り上げているのかというと、所属チームであるホーネッツは、このブリッジズの進化に気付いていなかったのではないか?と疑わざるをえない動きをしていたんですね。

 

ドラフトで1巡目指名された選手は、3シーズン目が終わると、新人契約が終わる4年目以降の延長契約を結ぶことができます。

 

ブリッジズと同じ2018年ドラフト組でいうと、3位のルカ・ドンチッチ、5位のトレイ・ヤング、11位のシェイ・ギルジャス=アレクザンダー、14位のマイケル・ポーターJr.は、それぞれの所属チームとMAXでの延長契約を結びました。

 

しかし、1位のディアンドレ・エイトン、8位のコリン・セクストンらと同じく、12位だったマイルズ・ブリッジズはチームと合意に至りませんでした。

 

なぜか?

 

チームがオファーした金額が低かったんですね。

 

ホーネッツがブリッジズにオファーした金額は、4年60milというものでした。

年平均で15mil程度の金額です。

 

これが低いかどうかは、他の選手との比較で考えてみます。

 

4位 ジャーレン・ジャクソンJr. 4年105mil(年平均26.3mil)

10位 ミケル・ブリッジズ 4年90mil(年平均22.5mil)

19位 ケビン・ハーター 4年65mil(年平均16.3mil)

*12位 マイルズ・ブリッジズ 4年60mil(年平均15.0mil)

7位 ウェンデル・カーターJr. 4年50mil(年平均12.5mil)

 

同じスウィングマンポジションの3人の、キャリア平均を比較してみます。

 

ミケル・ブリッジズ 10.3点/3.8R/2.0A/1.3S/FG49.9%/3P37.7%/FT82.5%

ケビン・ハーター 11.0点/3.5R/3.3A/1.0S/FG41.9%/3P37.1%/FT78.5%

マイルズ・ブリッジズ 11.2点/5.2R/1.7A/0.7S/FG46.3%/3P35.5%/FT82.1%

 

ほぼ差はないというか、大きな違いはないように感じられます。

 

直近の昨シーズンの成績比較も見てみます。

 

ミケル・ブリッジズ 13.5点/4.3R/2.1A/1.1S/FG54.3%/3P42.5%/FT84.0%

ケビン・ハーター 11.9点/3.3R/3.5A/1.2S/FG43.2%/3P36.3%/FT78.1%

マイルズ・ブリッジズ 12.7点/6.0R/2.2A/0.7S/FG50.3%/3P40.0%/FT86.7%

 

ハーターの成績はちょっと落ちますが、2人のブリッジズの成績は同じぐらいのクオリティに感じます。

 

つまり何が言いたいかというと、マイルズ・ブリッジズはミケル・ブリッジズと同レベルの契約をもらってもいいのではないか?ということです。

 

しかし実際は、ミケル・ブリッジズどころか、ケビン・ハーターの金額にも届かないオファーしかもらえなかったということになります。

 

しかも前述した通り、マイルズ・ブリッジズは、先発で出場さえすれば20点級のスコアラーになれるポテンシャルを示していました。

 

にもかかわらず、4年90milではなく、4年60milのオファーしかもらえなかったわけです。

 

おそらくホーネッツは、マイルズ・ブリッジズを20点級スコアラーの可能性がある選手としてでなく、スターターと6thマンの間のボーダーライン上の選手という評価でオファーする金額を決めたのではないかと思います。

 

ケビン・ハーターは先発/ベンチのボーダーラインの選手でしたので、不動のスターターの地位を確立していたミケル・ブリッジズよりも、ハーターの方に近い評価だったのでしょう。

 

しかし、この見立ては誤りでした。

 

マイルズ・ブリッジズは、平均15.2点をマークしているミケル・ブリッジズを10点以上も上回るブレイクを果たし、ホーネッツのオファーが過小評価だったことを見事に証明しています。

 

そもそも、先発SFにマイルズ・ブリッジズがいながら、同じポジションのヘイワードを新たに獲得したのは、ホーネッツ側の選択です。

 

その結果、ブリッジズがベンチスタートを強いられたのも、チームの都合からであり、本人の実力が原因ではありません。

 

チーム側の都合で、先発選手をボーダーライン上の選手にしておいて、だから評価もボーダーライン級の年俸でいいだろうというのは、あまりに安直です。

 

ベンチスタートになっても地道にチャンスを待ち、数少ない先発ゲームで力を証明してきたことが、まるでなかったことのように扱われている気がします。

 

ブリッジズが今シーズンを通してずっと平均20点級をキープすれば、シーズン終了後に制限付きFAとなった時の評価は一変するでしょう。

 

おそらく、ミケル・ブリッジズの評価を超え、ジャーレン・ジャクソンJr.並みの4年100mil(年平均25mil)クラスの契約がオファーされるのではないかと思います。

 

当初の4年60mil(年平均15.0mil)では到底キープできず、その倍近い金額になっていくのではないかと思います。

 

生え抜きの若手が順調に伸びて来ていたのに、自らその出場機会を奪い、選手のポテンシャルを見誤るという失態。

 

適正な評価を下せないと、結果として有望な選手を失うという結果になりかねないということがよくわかります。

 

 

ちなみに、サンズとの延長契約交渉がまとまらなかったディアンドレ・エイトンですが、エイトン側がMAX契約を主張したためにまとまらなかったようです。

 

エイトンはドラフトNo.1ピックですが、まだMAX契約に相応しい成績を残しているとは言えません。

 

昨シーズンのスタッツは、平均14.4点/10.5リバウンド/1.2ブロック/FG62.6%というものです。

 

希少なセンターというポジションであることを差し引いても、MAX契約を主張するのであれば、少なくとも平均20点以上はマークしていないと物足りないと思います。

 

リバウンドやブロックといったディフェンス面で飛び抜けた成績を残しているわけでもなく、いいのはFG成功率の高さぐらいです。

 

エイトン側は、MAX契約をオファーしないサンズ側に失望したというようなコメントをしていましたが、この成績なら当然だと思います。

 

まずは誰が見ても文句のない成績を残してから、主張すべきだろうと思います。