バックスがついに動きました!
しかもいい動きです。
MVPのヤニス・アデトクンボを引き留めるために、優勝できるチームだぞというところをアピールする必要に迫られていたバックス。
しかも、いわゆる“スーパーMAX”という延長契約を結ぶためには、その期限である12/21(シーズン開幕の前日)までにヤニスと合意に至らなければなりません。
それまでにヤニスに納得してもらえる補強を行い、延長契約にこぎつけることができなければ、来シーズン終了後に完全FAになってしまうんですね。
そうなってしまうと、他のチームと横並びでヨーイドンの競争になってしまうので、バックスにとっては不利な条件となってしまいます。
なので、今のうちに囲い込んでおく方が得策なんですね。
それで一つのアイディアとして、クリス・ポールを獲得したらどうだ?という話がありました。
これは、弱小と言われたサンダーをプレーオフまで導いたクリス・ポールの力を借りれば、バックスも優勝できるチームになるだろうという期待からです。
ただ、これには40mil超の膨大なコストがかかります。
これからヤニスと結ぼうとしているスーパーMAX契約は、まさにこの40mil超の契約になるので、さすがに地方都市のミルウォーキーにフランチャイズを置くバックスにとっては、経済的に手が出ません。
そんなバックスが、クリス・ポールの代わりに取った補強策が、なかなか理にかなった素晴らしいものでした。
順番に見ていきます。
★トレード①
<バックス> ⇔ <ペリカンズ>
PG ジュルー・ホリデイ PG エリック・ブレッドソー
PG ジョージ・ヒル
将来のドラフト1巡目指名権×3
ドラフト指名権を交換する権利×2
まず、ずっとトレード市場に名前が上がり、各チームが獲得を狙っていたホリデイをGETすることに成功しました。
これは素晴らしい動きです。
ホリデイは、ここ3シーズン続けて平均20点・7アシスト級の成績を残していて、一流の先発PGであるだけでなく、ケビン・デュラントやデイミアン・リラードといったトップクラスの選手たちをして、「ガードでリーグNo.1のディフェンダー」と言わしめるディフェンス力で知られ、攻守両面で貢献できる“2wayプレイヤー”として高く評価されています。
そして年俸は26.1milと、クリス・ポールほどにはコストをかけていません。
さらに、契約当初から疑問視していたブレッドソーとの長期契約も手放すことができます。
大量のドラフト権と引き換えという代償は払いますが、それでも必要な戦力を手に入れ、不要な契約を手放すことに成功したのは、十分いい取り引きだと言えます。
★トレード②
<バックス> ⇔ <キングス>
SG ボグダン・ボグダノビッチ PF エルサン・イリャソワ
SG ジャスティン・ジェイムズ PF DJ・ウィルソン
SG ドンテ・ディビンチェンゾ
これまたいい取り引きです。
ボグダノビッチはベンチスタートが中心ながら、平均15.1点・3P37.2%をマークした優秀なシューターです。
昨シーズン途中からは、エースのバディ・ヒールドを押しのけて、先発の座を掴んでいました。
ルーキー契約が明けて制限付きFAとなっていましたが、バックスがサイン&トレードで手に入れることに成功したようです。
契約金額がどのぐらいかは現時点では不明ですが、これも素晴らしくいい投資だと思います。
ちょうど、二コラ・ミロティッチを手に入れた時のようですね。
ミロティッチは残念ながらNBAを去ってしまいましたが、FCバルセロナに戻ってスペインリーグのMVPに輝く大活躍をしています。
話がそれましたが、この2つのトレードを行った結果、ロースターはこうなります。
<バックス>
PG:ジュルー・ホリデイ
SG:ボグダン・ボグダノビッチ/ジャスティン・ジェイムズ
SF:クリス・ミドルトン/サナシス・アデトクンボ
PF:ヤニス・アデトクンボ
C:ブルック・ロペス
他のメンバーはトレードやFAで一掃されましたが、この先発5人はとてもいいバランスだと思います。
イマイチだった戦力をまとめて放出し、必要な戦力に絞って厳選したというイメージです。
残りのサポーティングキャストはこれから集めるとして、まずは優勝を目指すに相応しいコアメンバーを集めることに成功したと言っていいと思います。
一見地味だけど理にかなっている、非常に「堅実な」補強だと思います。
これであれば、ヤニスも“スーパーMAX”を結ぶに足るチームになったと思います。
来シーズンのバックスが、にわかに楽しみになってきました。