Lillard to MIL

 

ついに、リラードのトレードが決まりました。

 

リラード本人は当初、「ヒートにしか行かない」と言っていましたが、タイラー・ヒーローとダンカン・ロビンソンを中心とした交換要員にブレイザーズ側が納得せず、話し合いはそれ以上進展しませんでした。

 

ブレイザーズ側は、バトラーかアデバヨを要求したようですが、それは無理な話。

 

ヒート側は、リーズナブルな契約の若いタレントが少なく、リビルディングに入ろうとするブレイザーズが喜ぶ交換要員が不足していましたが、やはり話をまとめるのは難しかったようです。

 

そして、10月のキャンプインが目の前に迫り、再びトレード話が本格化してきました。

 

どうせ手放すつもりなら、キャンプインする前にカタをつけたいからです。

 

それで浮上してきたチームは、ラプターズやブルズ、セルティックスやシクサーズなど、様々な名前が挙げられていました。

 

しかし、急転直下で成立したのは、ノーマークだったバックスでした。

 

バックスは、オフ中のヤニスの発言がちょっと注目を集めていました。

 

今シーズン終了後に次の延長契約のタイミングを迎えるヤニスが、「再び優勝を目指すつもりがないなら、チームに残らないかもしれない」といった趣旨の発言をしたんですね。

 

もちろんチームを鼓舞する意味の発言だと思いますし、本気で移籍を考えてるわけではないと思いますが、チームの運営サイドに「積極的に補強をしなければ」という空気が生まれたのは確かだと思います。

 

ただ、それがリラード獲得につながるとは思いませんでした。

 

というのも、PGはジュルー・ホリデイで十分うまくいっていたからです。

 

他のポジションの補強、例えば先発SGの補強とかならわかりますが、守備の要であり、ヤニスに次ぐ2番目に重要な選手であったホリデイを放出するという選択をしたのは意外でした。

 

ホリデイとリラードは、同じ1990年生まれの33才。

 

交換しても年齢的なリスクは同じであり、そこは障壁にはなりません。

 

であれば、プレースタイルの交換ということになります。

 

ディフェンシブなホリデイに替えて、オフェンスの決定力があるリラードを、ヤニスの相棒に据えようということです。

 

これは確かに、理に適っていると思います。

 

ヤニスは、圧倒的なフィジカルを誇りますが、オフェンスのレパートリーやシュートの決定力では物足りない部分もあります。

 

その弱点を補うためには、リラードはこれ以上ない人材になります。

 

カリーと双璧をなすシュート力はNBAトップクラスであり、特に試合終盤の”Dame Time”で見せる決定力は、右に出るものがいません。

 

レギュラーシーズンで最高勝率を残すのに、プレーオフに入るとなぜか負けてしまうというバックスの弱点は、まさにここにあります。

 

チームとして安定感のあるバックスに、リラードの決定力と勝負強さが加われば、鬼に金棒と言えるでしょう。

 

サンズも加わった3チーム間のトレードは、こんな感じになりました。

 

<バックス>

 PG デイミアン・リラード(←ブレイザーズ

 

ブレイザーズ

 PG ジュルー・ホリデイ(←バックス)

 C ディアンドレ・エイトン(←サンズ)

 PF トーマニ・カマラ(←サンズ)

 2029年1巡目指名権(←バックス)

 2028年・2030年1巡目指名権交換権(←バックス)

 

<サンズ>

 C ユスフ・ヌルキッチ(←ブレイザーズ

 SG グレイソン・アレン(←バックス)

 SF ナシアー・リトル(←ブレイザーズ

 SG キーオン・ジョンソン(←ブレイザーズ

 

チームごとに見ていきます。

 

<バックス>

 PG:デイミアン・リラードリンデル・ウィギントンタイタイ・ワシントンJr.

 SG:マリーク・ビーズリー/パット・コノートン/AJ・グリーン/オマリ・ムーア

 SF:クリス・ミドルトン/ジェイ・クラウダー/マージョン・ブーチャン/アンドレ・ジャクソンJr.

 PF:ヤニス・アデトクンボ/ボビー・ポーティス/サナシス・アデトクンボ/クリス・リビンストン

   C:ブルック・ロペス/ロビン・ロペスマーキス・ボールデン

 

ヤニス&リラードのインサイド/アウトサイドコンビは、その質・バランスともにNBANo.1の実力と言ってもいいでしょう。

これに、ミドルトンとロペスが脇を固めるラインナップは、盤石の体制と言えます。

唯一の弱点とも言えるSGは、新戦力のビーズリーに期待がかかります。

ただ、バックアップPGはかなりの不安要素。

FAになっているキャメロン・ペインあたりを、是非とも獲りたいところです。

 

ブレイザーズ

 PG:ジュルー・ホリデイスクート・ヘンダーソン

 SG:アンファニー・サイモンズ/マティース・サイブル/ライアン・ルペア

 SF:シェイドン・シャープ/ケビン・ノックスⅡ/ジャバリ・ウォーカー

 PF:ジェラミー・グラント/クリス・マレートーマニ・カマラ

   C:ディアンドレ・エイトンモーゼス・ブラウンジョン・バトラーJr.イブー・バジ

 

リラードを手放したブレイザーズは、バックスからジュルー・ホリデイ、サンズからディアンドレ・エイトンを獲得しました。

ただ、PGにはドラフト3位指名のスクート・ヘンダーソンがいますので、ホリデイはすぐに別のチームへトレードされると見られています。

ホリデイは引く手あまたなので、ホリデイとの交換でフォワードポジションの補強ができるといいのではないかと思います。

サンズ時代いろいろあった元ドラフト1位指名のエイトンは、新チームで心機一転して中心的存在になれるといいですね。

 

<サンズ>

 PG:ブラッドリー・ビールジョーダン・グッドウィンセイベン・リー

 SG:デビン・ブッカー/エリック・ゴードン/ジョシュ・オコーギーキーオン・ジョンソン

 SF:グレイソン・アレン/デイミオン・リー/ナシアー・リトル

 PF:ケビン・デュラント/ケイタ・ベイツ=ジョップ渡邊雄太チメジー・メツ/イシュマイル・ウェインライト

   C:ユスフ・ヌルキッチボル・ボルドリュー・ユーバンクスウドカ・アズブーキ

 

エイトンが抜けたサンズは、同じCポジションにヌルキッチを確保しました。

また、バックスで先発SGを務めたグレイソン・アレンは、毎年3Pの成功率が40%前後で安定していて計算ができます。

今回のトレードで、ウィングポジションの人材があふれ気味になっているので、今後誰がロースターに残り、プレイングタイムはどう分配されるのか、かなり競争が激しくなりそうです。

渡邊は、またもや生き残りをかけたサバイバルゲームに巻き込まれることになりそうです。