長かった変則シーズンは、レイカーズの優勝で幕を閉じました。
クリッパーズがコケた時点で、もうレイカーズの優勝は約束されたようなものでしたが、ルブロンとADのスーパースター2人がケガなく好調を維持できた時点で、もうレイカーズ的には成功でした。
逆にクリッパーズは、トータルのタレントレベルはレイカーズを上回っていましたが、最後までケミストリーが構築されず、チームとして完成されませんでした。
3勝1敗からアップセットを許し、その間も打開策を打ち出せなかったドック・リバースは解任され、キャブスで優勝経験のあるタイロン・ルーがアシスタントから昇格したので、来シーズンこそ優勝を果たせるかどうか注目されます。
もう1つ不本意に終わったチームが、バックスです。
リーグ最高勝率をマークし、シーズンMVPのヤニスを擁しながら、ファイナル進出どころか2回戦負けはいただけません。
ここで問題になるのが、ヤニスの去就です。
来シーズンが契約最終年となるヤニスは、今シーズンのオフにスーパーMAXの延長契約を結べるタイミングになりますが、もし「バックスにいても優勝できない」と判断されれば、チームに残ってもらえない可能性もあります。
FAとなる来オフにヤニス獲得を虎視眈々と狙っているチームは、山ほどあります。
そのうちの1つであるヒートは、今シーズンファイナルに進出して「優勝できるチーム」であることを示しました。
バックスとしては、来シーズンこそ是が非でも優勝に近づいて、「バックスも優勝できるチームだ」ということを示さなければなりません。
では、勝てるチームを作るためにはどうするのがよいか?
今ウワサされているのは、クリス・ポールの獲得です。
今シーズン、弱小と思われたサンダーをプレーオフまで導いた実績は、高く評価されました。
ただ、大きな問題が1つ。
年俸が高いんですね。
41.4/44.2milと40mil超の契約が、あと2年残っています。
そして、年齢が既に35才。
来シーズンの途中には36才になります。
でもバックスとしても時間がない。
来シーズンに全てを賭けようとするならば、必要なギャンブルかもしれません。
サンダーも、HCのビリー・ドノバンを解任して、完全なリビルディングモードに入っていきそうなので、クリス・ポールを手放すのは問題ないと思います。
また、高額契約の残る35才のベテランを放出するには、今評価が最大限に高まっている時に、高く売り抜けるのがベストな方法です。
では、どんなトレードなら成り立つのでしょうか?
<バックス> ⇔ <サンダー>
PG:クリス・ポール(41.4mil) PG:エリック・ブレッドソー(16.9mil)
PG:ジョージ・ヒル(9.6mil)
PF:エルサン・イリャソワ(7.0mil)
C:ロビン・ロペス(5.0mil)
将来のドラフト指名権
トレードは交換する選手の年俸が釣り合わないといけないので、クリス・ポールのサラリーとマッチさせるためには、これぐらいの選手を出さないといけなくなります。
ロースターはこんな感じです。
<バックス>
PG:クリス・ポール/ドンテ・ディビンチェンゾ
SG:ウェスリー・マシューズ
SF:クリス・ミドルトン/サナシス・アデトクンボ
PF:ヤニス・アデトクンボ
C:ブルック・ロペス/DJ・ウィルソン
実質的には、先発PG以外これまでと変わらないラインナップです。
ベンチ層はやや薄くなるものの、ロールプレイヤーは後からでも補充できます。
クリス・ポールの加入で、是が非でも来シーズンの優勝を狙いたいところです。
<サンダー>
PG:デニス・シュルーダー/エリック・ブレッドソー
SG:ルーゲンツ・ドート/ジョージ・ヒル
SF:シェイ・ギルジャス・アレクザンダー/テレンス・ファーガソン
PF:エルサン・イリャソワ/ダリアス・ベイズリー
C:スティーブン・アダムズ/ロビン・ロペス
アダムズとシュルーダーは契約が残り1年となるため、シーズン中にトレードされる可能性も出てきます。
イリャソワとロペスも残り1年なので、ギルジャス・アレクザンダーを中心にチームは大きく変わっていくことになると思います。
さて、今オフに動く可能性のある、その他の注目選手も見ていきたいと思います。
セルティックスに移籍してから苦難が続いているゴードン・ヘイワードですが、このバブルの最中もケガで戦列を離れ、結局いいところでチームに貢献することができませんでした。
契約は残り1年となり、34.2milと高額でもあることから、今オフに放出されてもおかしくないと思います。
その移籍先候補として話に上がっているのが、ペイサーズです。
なぜペイサーズかというと、ヘイワードは元々インディアナポリスの出身で、大学もインディアナにあるバトラー大という地元っ子だったからです。
そしてペイサーズ側は、同じく残り1年契約のビクター・オラディポとうまくいっていないという話があります。
そこで、こんなトレードはどうでしょうか?
SF:ゴードン・ヘイワード(34.2mil) SG:ビクター・オラディポ(21.0mil)
PF:ダニエル・タイス(5.0mil) C:マイルズ・ターナー(18.0mil)
SG:ロミオ・ラングフォード(3.6mil) PF:TJ・リーフ(4.3mil)
ペイサーズは、オラディポと併せて、サボニスと共存がうまくいっていないターナーもセットで放出。
代わりに、セルティックスで先発Cの座をつかんで評価の上がったタイスをヘイワードと一緒に獲得する取り引きです。
<ペイサーズ>
PG:マルコム・ブログドン/アーロン・ホリデイ
SG:ジェレミー・ラム/ロミオ・ラングフォード
SF:ゴードン・ヘイワード/ダグ・マクダーモット
PF:TJ・ウォーレン/ダニエル・タイス
C:ドマンタス・サボニス/ゴガ・ビターゼ
サボニスとターナーのツインタワー体制を解消して、バブルでブレイクしたウォーレンとヘイワードをフォワードコンビにするラインナップです。
オラディポのSGは穴になりますが、後釜にラムがいるのと、セルティックスから若手SGのラングフォードを取って、成長に期待する形です。
タイスはPFのサイズアップと、Cのバックアップとして機能すると思います。
<セルティックス>
PG:ケンバ・ウォーカー/マーカス・スマート
SG:ビクター・オラディポ
SF:ジェイレン・ブラウン/セミ・オジェレイ
PF:ジェイソン・テイタム/グラント・ウィリアムズ
C:マイルズ・ターナー/ロバート・ウィリアムズ
オラディポを先発SGに据えることで、ブラウンを本来のSFに固定することができます。
また、ずっと固定できずにいた先発Cを、ブロック王経験者で埋めることができます。
この先発5人のラインナップは、攻守にバランスの取れた豪華な顔ぶれです。
イースタンのトップを狙える、強力なチームになるでしょう。
そんなバックスやセルティックスを撃破して、ファイナルまで駆け上がったのがヒートでした。
ヒートも虎視眈々と来オフのアデトクンボを狙っているチームですが、今オフにもさらに補強を目指しています。
ナゲッツのジェラミ・グラントは、バブルで急浮上したボル・ボルやマイケル・ポーターJr.を抑えて、最終的に先発SFの座を獲得しました。
来シーズンに9.3milのプレイヤーオプションを持っていますが、それ以上に評価が高まったので、これを破棄してFAになるのは確実です。
FAになった場合、狙うチームはたくさん出てきますが、その中の1つにヒートが挙げられています。
ヒートは来シーズンのサラリーキャップに余裕があり、先発PFも不在と、グラントを受け入れる準備が整っています。
<ヒート>
PG:(ゴラン・ドラギッチ)/ケンドリック・ナン
SG:タイラー・ヒーロー/ダンカン・ロビンソン
SF:ジミー・バトラー/アンドレ・イグオダーラ
PF:ジェラミ・グラント/(ジェイ・クラウダー)
C:バム・アデバヨ/ケリー・オリニク
身体能力の高いアデバヨとグラントのインサイドは、ちょっと見てみたいですね〜
インサイドに機動力があることで、5人が走れるスピーディな展開が作れると思います。
今シーズンのプレーオフで先発を務めたドラギッチとクラウダーは共にFAとなりますが、再契約の可能性は高いと思います。
もし来シーズン後にFAでヤニスが獲れたとしても、グラントはバックアップに回れるので、より強力なラインナップが完成すると思います。
さて、ウェスタンにも目を向けてみたいと思います。
逆転、逆転でカンファレンス・ファイナルまで駒を進めたナゲッツは、さらに上を目指すための補強をする時期に来ています。
従来の先発だったゲイリー・ハリスとウィル・バートンを欠きながら勝ち進んだことで、この2人に不要論が出てくる可能性があります。
そこでナゲッツが狙うと言われているのが、ジュルー・ホリデイです。
ホリデイは、ザイオンとブランドン・イングラムを中心に若返りを図るペリカンズの中で、高額年俸のベテランとなっています。
つまり、ペリカンズよりも今勝つことを目指すプレーオフチームに行った方がいいだろうということになります。
そこでこんなトレードを。
SG:ジュルー・ホリデイ(26.1mil) SG:ゲイリー・ハリス(19.2mil)
SG:JJ・レディック(13.0mil) SF:ウィル・バートン(13.7mil)
PG:PJ・ドージアー(1.8mil)
SF:ケイタ・ベイツ・ジョップ(1.7mil)
ナゲッツに行く2人は30代、ペリカンズへ行く4人は全員20代です。
今勝ちに行きたいナゲッツと、これからチーム作りを進めたいペリカンズにはちょうど良い取り引きなのではないかと思います。
<ナゲッツ>
PG:ジャマール・マレー/モンテ・モーリス
SG:ジュルー・ホリデイ/JJ・レディック
SF:マイケル・ポーターJr./ボル・ボル
PF:(ポール・ミルサップ)/(ジェラミ・グラント)
C:ニコラ・ヨキッチ
守備での評価も高く、PGもできるホリデイと、3Pのスペシャリストであるレディックを加えたSGポジションは、かなり充実します。
SFは、バブルでブレイクしたポーターとボルがポジション争いをしていくとおもしろいのではないかと思います。
PFの2人がFAになるので、残るか残らないかで変わってはきますが、ポーターもボルもPFにスライドできるので、その辺りも問題ないと思います。
<ペリカンズ>
PG:ロンゾ・ボール/ニキール・アレクザンダー・ウォーカー/PJ・ドージアー
SG:ゲイリー・ハリス/ジョシュ・ハート
SF:ブランドン・イングラム/ウィル・バートン
PF:ザイオン・ウィリアムソン/ケイタ・ベイツ・ジョップ
C:ジャクソン・ヘイズ/ニコロ・メリ
30才のホリデイを26才のハリスに代え、36才のレディックを29才のバートンに代えるような動きになります。
大型PGのドージアーと、SF・PFどちらもこなせるベイツ・ジョップも、今後伸びる可能性のある若手です。
HCも変わり、仕切り直しとなるペリカンズは、数年後に勝てるチームを目指して、チーム改革を進めていくと思います。
最後に、復活を期すウォリアーズのお話を。
いろいろとトレードやら何やらの話題が飛び交っているようですが、希望が先行して、あまり実現性の高い噂はありません。
最も現実的で、すぐにでも実現できそうなのは、こんなトレードではないかと思います。
<ウォリアーズ> ⇔ <キャブス>
PF:ケビン・ラブ(31.3mil) SF:アンドリュー・ウィギンス(29.5mil)
PF:ジョーダン・ベル(1.8mil) PF:ケボン・ルーニー(4.8mil)
SF:アルフォンゾ・マッキニー(1.8mil)
ラブの残り契約は、31.3/31.3/28.9milの3年。
ウィギンスも、29.5/31.6/33.6milの3年とほぼ同じ。
金額的な負担は、ほぼほぼ変わりません。
ラブは、リビルディング中のキャブスでは不良債権扱いされていますが、プレーオフチームであれば即戦力として重宝される存在です。
特に、3Pシュート力とリバウンド力に優れ、パスもさばけるラブのようなビッグマンは、ウォリアーズに完璧にフィットします。
一方のウィギンスも、元々はキャブスがドラフト1位指名した選手。
それこそ、ラブとの交換トレードで、ドラフト後にウルブスへと行きました。
当時は突然ルブロンがヒートから戻ってきたタイミングであったため、すぐに勝てるチームを作る目的でベテランと交換されましたが、そうでなければキャブスのフランチャイズプレイヤーとなっていたはずでした。
そんなわけで、ここらでもう一度やり直してみてはどうかな?という提案です。
お互いにとって悪くない話なんじゃないかなと思います。
<ウォリアーズ>
PG:ステフェン・カリー/カイ・ボウマン
SG:クレイ・トンプソン/ジョーダン・プール
SF:デイミオン・リー/アルフォンゾ・マッキニー
PF:ドレイモンド・グリーン/エリック・パスカル
C:ケビン・ラブ/マーキース・クリス/ジョーダン・ベル
ラブが、かつてのデビッド・リーのような役割で、リバウンドと外角シュートで貢献してくれるようなイメージです。
そして、かつてチームにフィットしていたマッキニーとベルも出戻りで獲得するオマケ付きです。
そして、これにプラスしてドラフト2位指名権もありますので、SFに即戦力ルーキーを入れることも可能です。
<キャブス>
PG:コリン・セクストン/ダリアス・ガーランド
SG:アンドリュー・ウィギンス/ダンテ・エクサム
SF:ジェディ・オズマン/ケビン・ポーターJr.
PF:ラリー・ナンスJr./ケボン・ルーニー
C:アンドレ・ドラモンド
6−1(185cm)のPGを2人並べていたバックコートは、ウィギンスが入ることでサイズのミスマッチを解消することができます。
また、ラブが抜けるPFも、ナンスが先発に上がって、ルーニーがバックアップに回れば穴を埋めることができます。
32才のラブをあと3年も置いておくぐらいなら、25才のウィギンスの可能性に賭けた方がよっぽどいいのではないかと思います。
ちなみに、ウォリアーズのドラフトの動向ですが、つい先日デニ・アブディーヤのワークアウトを行ったそうです。
ヨーロッパで実績を残してMVPも獲得している実力者ですから、2位で指名して即SFで先発なんてこともありうるかもしれません。
もし2位指名権をトレードに出して、下位指名権と交換する場合は、ビラノバ大2年のSFサディック・ベイを指名する可能性があるそうです。
ベイは3Pを45%の高確率で決め、ディフェンスにも定評があるため、ウォリアーズは3&Dプレイヤーとして注目しているそうです。
トレードでビッグマンを、ドラフトでSFを補強できたら、来シーズンのウォリアーズは相当手強い存在になりそうです。
以前取り上げたジョン・コリンズのトレード話はこちら。