シーズンが開幕してしばらく経ちましたが、ウォリアーズの凋落ぶりが著しいですね。。
昨シーズンのラインナップと比べると、その違いは一目瞭然です。
PG:ステフェン・カリー
SG:クレイ・トンプソン
SF:ケビン・デュラント
PF:ドレイモンド・グリーン
C:ディマーカス・カズンズ
このオールスター5人を揃えた超豪華ラインナップが、今シーズンは・・・・
PG:カイ・ボウマン(ルーキー/ドラフト外/2way契約)
SG:ジョーダン・プール(ルーキー/1巡目28位)
SF:グレン・ロビンソンⅢ(FAでペイサーズから加入)
PF:エリック・パスカル(ルーキー/2巡目41位)
C:ウィリー・コーリー・スタイン(FAでキングスから加入)
ケガ人続出で、ルーキー3人を先発させるほどの窮状になっています。。
しかも、司令塔は2way契約のドラフト外ルーキーです。
オールスター5人を揃えた昨シーズンとは雲泥の差です。
ただ、こうなる危険性は昨シーズンから始まっていました。
さすがに、ここまで急激に落ちるとは思ってませんでしたが。
ちょうど1年前、ウォリアーズはデュラントの去就で揺れていました。
ウォリアーズ加入後のKDは、基本的には1年ごとにFAになれる契約を選択してきました。
その前のシーズンオフには、イグオダーラやリビングストンがいい条件で再契約が結べるよう、自分の年俸をディスカウントしてまで、チーム優先の姿勢を示しました。
そしてチームを2連覇に導き、2年連続のファイナルMVPに輝いたKDに対して、フロントも最大限の敬意を示し、「金額も期間も好きなだけ希望を言っていい。言われた条件で契約を結ぶ」という破格のオファーを出しました。
しかし、そこでKDが希望した条件は、やっぱり1年でFAになれる契約だったんですね。
4〜5年の長期契約を予想していた周囲は、にわかにザワめきだしました。
好きなだけ契約していいと言ってるのに、1年でいいというのは、チームを出るつもりだからじゃないのか?という勘ぐりです。
それは、シーズンに突入してもチームに影を落としました。
マスコミは試合のことよりも、KDのFAのことばかり質問するようになり、本人も周りもイライラが募るようになってきました。
そして、ついに事件が起こります。
同点の試合で残り時間わずか、最後のショットを誰が打つかという場面で、ドレイモンド・グリーンがKDにボールを渡さず、自滅してチャンスをつぶしました。
このプレーを巡って2人は言い争いとなり、頭に血が上ったドレイモンドが、全くプレーには関係のないFAの話を持ち出し、「オマエなんかいなくたって俺たちは勝ってきたんだ」とぶちまけてしまったんですね。
この一件で、人一倍繊細なKDが深く傷ついたことは想像に難くありません。
表面的には取り繕っても、心の距離は離れていきました。
この試合に、ムードメーカーのカリーがケガで欠場していたことも不運な巡り合わせでした。
その後の顛末はご存知の通りですが、ウォリアーズは優勝を逃し、KDはアキレス腱を切り、オフにFAで去っていきました。
でも、これは本当に仕方のないことだったんでしょうか?
ウォリアーズがKDをどこまで残したいと思っていたか定かではありませんが、個人的にはあの一件があった段階で、ドレイモンドは出すべきだったと思います。
KDのFAがトピックになっていたのは、ウォリアーズの契約事情が大きく絡んでいました。
1年前のオフ、それまで年7milと低年俸だったカリーがスーパーMAXを結び、いきなり年40milにジャンプアップしました。
それは同時に、チームのサラリーキャップを大きく圧迫することを意味します。
さらにその1年後、つまりこの夏のオフにはクレイ・トンプソンもFAになり、おそらくMAXで再契約するだろうと予想されていました。
チームにはサラリーキャップという限度枠があり、それは強いチームも弱いチームも変わりません。
つまり、いい選手がいるからと言って、何人もにMAX契約を与え続けることはできないわけです。
これまでの例を考えても、MAX契約はほぼほぼ3人が限度です。
ルブロン・ウェイド・ボッシュのBIG3がわかりやすい例かなと思いますが、ロールプレイヤーにもある程度いい選手を揃えようと思ったら、MAX契約を3人ぐらいまでに留めておかないと、ロースターがスカスカになってしまいます。
当時のウォリアーズで考えると、それはカリー・KD・トンプソンの3人だろうと思います。
ドレイモンドは優秀なロールプレイヤーではありますが、フランチャイズプレイヤーではありません。
しかも、KDとの確執を作った張本人です。
自分がウォリアーズのフロントなら、先にドレイモンドをトレードで放出した上で、KDに何とか残ってくれとお願いしたと思います。
しかし、ウォリアーズが取った選択は真逆でした。
KDはあっさりと諦め、ドレイモンドとMAXで延長契約を結んだんですね。
実はこの時、「ウォリアーズは終わった」と思いました。
これまでウォリアーズがチーム作りに成功できたのは、「安くてよく働く選手が多くいた」からです。
その代表格がカリーでした。
カリーはキャリア前半は毎年のように足首のケガに苦しみ、なかなか思うような活躍ができませんでした。
ちょうどそんな時に契約更改の時期を迎え、すごく低い条件で長期契約を結んでしまいました。
そのため、リーグMVPになっても、年俸は7mil程度と激安でした。
でも、それがあったために、チームが強いにもかかわらず、スーパースターのKDを獲ることができたんですね。
KDクラスの選手をFAで獲得できたのは、カリーの年俸が安かったため、主力をキープしながらもサラリーキャップに余裕を作ることができたからなんです。
しかし、カリーの年俸がスーパースターのそれになった今、以前のように主力全員を今まで通りキープするのは難しくなっていました。
誰を切って、誰を残すかという選択を迫られる局面を迎えた、ということです。
だとすれば、MAX契約を払うべきは、カリー・KD・トンプソンの3人だろうというのが自分の考えです。
でも、結果的にウォリアーズが残したのは、カリー・トンプソン・ドレイモンドの3人でした。
ドレイモンドはいいロールプレイヤーですが、MAXを払う選手ではないと思います。
かつてのカリーのように、「安くてよく働く」選手としてなら残したいですが、スーパースター並みの年俸を払ってまで残す選手ではないと思います。
新加入のディアンジェロ・ラッセルにもMAXを与えていたウォリアーズは、なんと4人にMAX契約を払うという選択をしました。
これが決定的にサラリーキャップを圧迫しました。
ウォリアーズは、残りのロースターを最低年俸で取れるFAとルーキーで埋めるほかなくなりました。
そしてそれでもロースター枠いっぱいの15人分を支払うことができず、1人分を節約して14人としか契約できませんでした。
その結果が、最初に書いたルーキー3人が先発するという異常事態につながっています。
仮に主力にケガ人が出ていなかったとしても、KDを残せなかったウォリアーズの今後は厳しいものになると思います。
早い段階でロースターの大改革を断行して、来シーズン以降を見据えたチーム再編を実施した方がいいと思います。
例えば、以前提案したようなトレードですね。
今後ウォリアーズがどういう動きを見せるのか、注目したいと思います。
2巡目指名ながら、唯一の明るい材料となっているエリック・パスカル
ドラフト外の2way契約ながら、先発PGの重責を担うカイ・ボウマン