ALL NBA TEAMS 2021-22

 

ALL NBA TEAMが発表されました。

毎年のことながら、今年も疑問の多い結果となりました。

 

まずは今シーズンのスタッツを平均得点の多い順に並べて見ていきます。

ここには正式記録としては残らない、規定試合数未達の選手も載せています。

 

【得点ランキング順】 *印は規定試合数未達の選手(58試合未満)

ジョエル・エンビード

68試合/30.6点/11.7R/4.2A/1.5B/FG49.9%/3P37.1%/FT81.4%

ルブロン・ジェイムズ

*56試合/30.3点/8.2R/6.2A/1.3S/FG52.4%/3P35.9%/3PM2.9本

ヤニス・アデトクンボ

67試合/29.9点/11.6R/5.8A/1.4B/FG55.3%

ケビン・デュラント

*55試合/29.9点/7.4R/6.4A/FG51.8%/3P38.3%/3PM2.1本/FT91.0%

ルカ・ドンチッチ

65試合/28.4点/9.1R/8.7A/1.2S/FG45.7%/3P35.3%/3PM3.1本

トレイ・ヤング

76試合/28.4点/3.7R/9.7A/FG46.0%/3P38.2%/3PM3.1本/FT90.4%

デマー・デローザン

76試合/27.9点/5.2R/4.9A/FG50.4%/3P35.2%/FT87.7%

ジャー・モラント

*57試合/27.4点/5.7R/6.7A/1.2S/FG49.3%/3P34.4%

二コラ・ヨキッチ

74試合/27.1点/13.8R/7.9A/1.5S/FG58.3%/3P33.7%/FT81.0%

ジェイソン・テイタム

76試合/26.9点/8.0R/4.4A/FG45.3%/3P35.3%/3PM3.0本/FT85.3%

デビン・ブッカー

68試合/26.8点/5.0R/4.8A/FG46.6%/3P38.3%/3PM2.7本/FT86.8%

ドノバン・ミッチェル

67試合/25.9点/4.2R/5.3A/1.5S/FG44.8%/3P35.5%/3PM3.5本/FT85.3%

ステフ・カリー

64試合/25.5点/5.2R/6.3A/1.3S/FG43.7%/3P38.0%/3PM4.5本/FT92.3%

カール・アンソニー=タウンズ

74試合/24.6点/9.8R/3.6A/1.1B/FG52.9%/3P41.0%/3PM2.0本/FT82.2%

ザック・ラビーン

67試合/24.4点/4.6R/4.5A/FG47.6%/3P38.9%/3PM2.8本/FT85.3%

ジェイレン・ブラウン

66試合/23.6点/6.1R/3.5A/1.3S/FG47.3%/3P35.8%/3PM2.5本

パスカル・シアカム

68試合/22.8点/8.5R/5.3A/1.3S/FG49.4%/3P34.4%

 

★その他の主な選手

ジェイムズ・ハーデン

65試合/22.0点/7.7R/10.3A/1.3S/FG41.0%/3P33.0%/3PM2.3本/FT87.7%

ジミー・バトラー

*57試合/21.4点/5.9R/5.5A/1.6S/FG48.0%/FT87.0%

デジョンテ・マレー

68試合/21.1点/8.3R/9.2A/2.0S/FG46.2%/3P32.7%

ドマンタス・サボニス

62試合/18.9点/12.1R/5.2A/FG57.3%

ルーディ・ゴベール

66試合/15.6点/14.7R/1.1A/2.1B/FG71.3%

クリス・ポール

65試合/14.7点/4.4R/10.8A/1.9S/FG49.3%/FT83.7%

 

 

これを踏まえて、実際に選出されたメンバーを見てみます。

 

<All NBA 1st Team>

G:ルカ・ドンチッチ

65試合/28.4点/9.1R/8.7A/1.2S/FG45.7%/3P35.3%/3PM3.1本

G:デビン・ブッカー

68試合/26.8点/5.0R/4.8A/FG46.6%/3P38.3%/3PM2.7本/FT86.8%

F:ジェイソン・テイタム

76試合/26.9点/8.0R/4.4A/FG45.3%/3P35.3%/3PM3.0本/FT85.3%

F:ヤニス・アデトクンボ

67試合/29.9点/11.6R/5.8A/1.4B/FG55.3%

C:二コラ・ヨキッチ

74試合/27.1点/13.8R/7.9A/1.5S/FG58.3%/3P33.7%/FT81.0%

 

<All NBA 2nd Team>

G:ジャー・モラント

*57試合/27.4点/5.7R/6.7A/1.2S/FG49.3%/3P34.4%

G:ステフ・カリー

64試合/25.5点/5.2R/6.3A/1.3S/FG43.7%/3P38.0%/3PM4.5本/FT92.3%

F:デマー・デローザン

76試合/27.9点/5.2R/4.9A/FG50.4%/3P35.2%/FT87.7%

F:ケビン・デュラント

*55試合/29.9点/7.4R/6.4A/FG51.8%/3P38.3%/3PM2.1本/FT91.0%

C:ジョエル・エンビード

68試合/30.6点/11.7R/4.2A/1.5B/FG49.9%/3P37.1%/FT81.4%

 

<All NBA 3rd Team>

G:クリス・ポール

65試合/14.7点/4.4R/10.8A/1.9S/FG49.3%/FT83.7%

G:トレイ・ヤング

76試合/28.4点/3.7R/9.7A/FG46.0%/3P38.2%/3PM3.1本/FT90.4%

F:ルブロン・ジェイムズ

*56試合/30.3点/8.2R/6.2A/1.3S/FG52.4%/3P35.9%/3PM2.9本

F:パスカル・シアカム

68試合/22.8点/8.5R/5.3A/1.3S/FG49.4%/3P34.4%

C:カール・アンソニー=タウンズ

74試合/24.6点/9.8R/3.6A/1.1B/FG52.9%/3P41.0%/3PM2.0本/FT82.2%

 

ここから疑問点を挙げていきます。

 

①エンビードがファーストチームじゃない!?

 

これは、ジェイソン・テイタムが疑問を投げかけて話題になりました。

エンビードは、MVP投票でヨキッチと票を二分した選手です。

つまり、今シーズン全選手中で2番目の活躍を見せた選手です。

それがファーストチームに入らないということは、少なくとも6番目以下の評価ということになりますよね?

 

この理由は一つ、「オールNBAチームがポジション制だから」です。

オールスターはポジション枠の問題を是正するため、バックコートとフロントコートというゆるいポジション制に改正されました。

しかし、オールNBAチームはまだポジションごとに選ぶという縛りが残ったままです。

その結果、たまたま最も評価の高かった選手2人が同じポジションだったために、どちらかがセカンドチームにならざるをえなかったのです。

 

この結果に、エンビードがセカンドチームになったお陰でファーストチーム入りした張本人であるテイタムが異論を唱えたことが話題となりました。

テイタムは、自分がファーストチーム入りできてラッキーではなく、エンビードがファーストチーム入りしないなんて冗談だろと、真っ向から異論を唱えたわけです。

もうポジション分けも明確ではないボーダーレスな現代NBAにおいて、既存の枠組みを押し付けるのはそぐわなくなってきています。

オールルーキーチームのように、ポジション関係なく、最高の5人がファーストチームに選ばれるようにした方がいいと思います。

 

②規定試合数の基準はどうするの?

 

レギュラーシーズンの公式記録は、規定試合数を満たしていないと記録として残りません。

規定試合数は全体の70%の試合に出ることですので、「82試合✕70%=57.4試合」つまり58試合以上出場していないといけないことになります。

57試合以下の選手は、本来得点ランキングからも名前が消えてしまうんですね。

なので、最後エンビードと得点王争いしていたルブロンも、結局公式記録には残っていないことになります。

 

ここで問題にしたいのは、その規定試合数に達しなかった選手は、オールNBAチームに選ぶべきなのかどうか?という点です。

今回、ルブロン、デュラント、モラント、バトラーなどの主要選手がこのボーダーラインに引っかかっています。

 

あと数試合だけだったらいいんじゃね?

確かにそれはそう思います。

ただ問題は、そこに決めのルールがない、ということなんです。

 

なので、投票する記者の中に、「規定試合数に達していないから外そう」と考えた人もいるだろうし、「近いとこいってるから入れとこう」と考えた人もいると思います。

つまり、基準が曖昧なんですね。

だから、人によって評価がバラバラになってしまうんです。

 

③チーム成績はどれぐらい加味するの?

 

これも永遠の課題です。

個人スタッツへの評価に、どの程度チーム成績の良し悪しを反映させるべきなのか。

アメリカでの評価の仕方は特に、個人スタッツよりもチーム成績が優先される傾向にあると思います。

 

今回のケースでいくと、64勝をマークしてぶっちぎりのトップだったサンズは、評価が5割増みたいな状態になっています。

平均15点にも届かないクリス・ポールは、スタッツだけでいえばNBAチームには選ばれません。

デビン・ブッカーのファーストチーム入りも、完全にチーム成績に後押しされた結果です。

ただ、サンズの64勝は、ブッカーというより、ポールの影響が大きいと思います。

なので、まるで64勝はブッカーの功績というようなファーストチーム選出は違うと思います。

 

逆に、誰もが予想しなかったグリズリーズの躍進を引っ張ったモラントは、もっと評価されるべきだと思います。

頼れるベテランもいない若手ばかりのチームの中で、リーグ勝率2位の好成績を残したのは、1にも2にもモラントの存在なくしては語れません。

 

 

そんなわけで、①②③の論点を踏まえた上で、ポジション枠を取っ払ったオールNBAチームを選んでみたいと思います。

 

<All NBA 1st Team(ポジション枠なし)>

二コラ・ヨキッチ

74試合/27.1点/13.8R/7.9A/1.5S/FG58.3%/3P33.7%/FT81.0%

ジョエル・エンビード

68試合/30.6点/11.7R/4.2A/1.5B/FG49.9%/3P37.1%/FT81.4%

ヤニス・アデトクンボ

67試合/29.9点/11.6R/5.8A/1.4B/FG55.3%

ルカ・ドンチッチ

65試合/28.4点/9.1R/8.7A/1.2S/FG45.7%/3P35.3%/3PM3.1本

ジャー・モラント

*57試合/27.4点/5.7R/6.7A/1.2S/FG49.3%/3P34.4%

 

MVP投票TOP3に入った3人は、真っ先にファーストチームに選ばれるべきです。

残り2枠は、ドンチッチとモラントにしました。

モラントは、前半戦のMVPといってもいいぐらい素晴らしい活躍ぶりでした。

 

<All NBA 2nd Team(ポジション枠なし)>

ルブロン・ジェイムズ

*56試合/30.3点/8.2R/6.2A/1.3S/FG52.4%/3P35.9%/3PM2.9本

ケビン・デュラント

*55試合/29.9点/7.4R/6.4A/FG51.8%/3P38.3%/3PM2.1本/FT91.0%

ジェイソン・テイタム

76試合/26.9点/8.0R/4.4A/FG45.3%/3P35.3%/3PM3.0本/FT85.3%

デマー・デローザン

76試合/27.9点/5.2R/4.9A/FG50.4%/3P35.2%/FT87.7%

トレイ・ヤング

76試合/28.4点/3.7R/9.7A/FG46.0%/3P38.2%/3PM3.1本/FT90.4%

 

個人スタッツでいったら、ルブロンとKDはファーストチームでもおかしくありません。

ただ、チーム成績と出場試合数を加味してセカンドチームにしました。

テイタムは尻上がりに調子を上げ、セルティックスをイースト2位に引き上げる原動力となりました。

またデローザンは、モラント同様前半戦のTOP3に入る活躍ぶりでブルズを引っ張りました。

最後の1枠はヤングとブッカーで迷いましたが、スタッツで上回るヤングにしました。

 

<All NBA 3rd Team(ポジション枠なし)>

デビン・ブッカー

68試合/26.8点/5.0R/4.8A/FG46.6%/3P38.3%/3PM2.7本/FT86.8%

ステフ・カリー

64試合/25.5点/5.2R/6.3A/1.3S/FG43.7%/3P38.0%/3PM4.5本/FT92.3%

クリス・ポール

65試合/14.7点/4.4R/10.8A/1.9S/FG49.3%/FT83.7%

ジミー・バトラー

*57試合/21.4点/5.9R/5.5A/1.6S/FG48.0%/FT87.0%

ドノバン・ミッチェル

67試合/25.9点/4.2R/5.3A/1.5S/FG44.8%/3P35.5%/3PM3.5本/FT85.3%

 

カリーは後半調子を落としましたが、前半はMVP級の活躍でした。

ポールとバトラーは、東西のカンファレンス1位のチーム成績を評価しました。

最後の1枠は、ミッチェルかシアカムかで迷いましたが、より得点面でチームを支えたミッチェルを優先しました。

 

より今シーズンの活躍度を反映させたNBAチームになったと思いますが、いかがでしょうか?

 

 

さて、ついでに、規定試合数をクリアした選手だけを選出の条件にした場合、どう変わるのか見てみたいと思います。

 

<All NBA 1st Team(ポジション枠なし/規定試合数到達のみ)>

二コラ・ヨキッチ

74試合/27.1点/13.8R/7.9A/1.5S/FG58.3%/3P33.7%/FT81.0%

ジョエル・エンビード

68試合/30.6点/11.7R/4.2A/1.5B/FG49.9%/3P37.1%/FT81.4%

ヤニス・アデトクンボ

67試合/29.9点/11.6R/5.8A/1.4B/FG55.3%

ルカ・ドンチッチ

65試合/28.4点/9.1R/8.7A/1.2S/FG45.7%/3P35.3%/3PM3.1本

ジェイソン・テイタム

76試合/26.9点/8.0R/4.4A/FG45.3%/3P35.3%/3PM3.0本/FT85.3%

 

わずか1試合だけ規定数に足りなかったモラントが外れ、代わりにテイタムがファーストチームに上がりました。

 

<All NBA 2nd Team(ポジション枠なし/規定試合数到達のみ)>

デマー・デローザン

76試合/27.9点/5.2R/4.9A/FG50.4%/3P35.2%/FT87.7%

トレイ・ヤング

76試合/28.4点/3.7R/9.7A/FG46.0%/3P38.2%/3PM3.1本/FT90.4%

デビン・ブッカー

68試合/26.8点/5.0R/4.8A/FG46.6%/3P38.3%/3PM2.7本/FT86.8%

ステフ・カリー

64試合/25.5点/5.2R/6.3A/1.3S/FG43.7%/3P38.0%/3PM4.5本/FT92.3%

クリス・ポール

65試合/14.7点/4.4R/10.8A/1.9S/FG49.3%/FT83.7%

 

ルブロンは2試合、KDは3試合足りず、セカンドチームを外れました。

そのままサンズ組とカリーがサードチームから上がっています。

 

<All NBA 3rd Team(ポジション枠なし/規定試合数到達のみ)>

ドノバン・ミッチェル

67試合/25.9点/4.2R/5.3A/1.5S/FG44.8%/3P35.5%/3PM3.5本/FT85.3%

パスカル・シアカム

68試合/22.8点/8.5R/5.3A/1.3S/FG49.4%/3P34.4%

カール・アンソニー=タウンズ

74試合/24.6点/9.8R/3.6A/1.1B/FG52.9%/3P41.0%/3PM2.0本/FT82.2%

ザック・ラビーン

67試合/24.4点/4.6R/4.5A/FG47.6%/3P38.9%/3PM2.8本/FT85.3%

ジェイレン・ブラウン

66試合/23.6点/6.1R/3.5A/1.3S/FG47.3%/3P35.8%/3PM2.5本

 

バトラーは1試合だけ足りず、サードチームから外しています。

デジョンテ・マレーを入れたかったのですが、惜しくも次点にしました。

 

★その他の候補

デジョンテ・マレー

68試合/21.1点/8.3R/9.2A/2.0S/FG46.2%/3P32.7%

ルーディ・ゴベール

66試合/15.6点/14.7R/1.1A/2.1B/FG71.3%

ドマンタス・サボニス

62試合/18.9点/12.1R/5.2A/FG57.3%

ジェイムズ・ハーデン

65試合/22.0点/7.7R/10.3A/1.3S/FG41.0%/3P33.0%/3PM2.3本/FT87.7%

 

さて、いかがでしたでしょうか?

ポジション分けが邪魔をして、選ばれるべき選手が選べないのは、誰にとっても不幸な結果しか生みません。

オールスターと同じように、バックコートとフロントコートに分けるのも一つの手ですが、ガードとフォワードの境目も曖昧になっているので、これまた微妙です。

やはりポジション枠を取っ払って、ポジションにかかわらず最高の5人を選出できるようにすべきじゃないかなと思います。