今年もオールスターの季節がやってきました。
そして、毎年言っているような気がする、誰が選ばれるかべき問題。
やっぱり今年もありました。
ファン投票で選ばれたスターターがこちら。
Three voting groups determined the starters:
— NBA Communications (@NBAPR) 2022年1月28日
• Fans (50%)
• NBA players (25%)
• Media panel 25%)
Complete voting results here: https://t.co/h4VCEaRwVR
Below are the overall scores for the top finishers at each position. pic.twitter.com/W6An0FhzgY
まず、第一の疑問。
アンドリュー・ウィギンス?
はい、ウェストのフロントコート部門で3位に入り、初のオールスター出場でスターターになりました。
ウィギンスが悪いと言っているわけではありません。
そして選ばれてしまった本人には何の非もありません。
ただ、果たしてオールスターのスターターですか? という話です。
今シーズンの平均18.1点は、8年のNBAキャリアの中で下から3番目の数字です。
キャリアハイは、ウルブス時代にマークした23.6点になります。
ディフェンスが良くなった?
3Pの成功率が上がった?
確かにそれはあります。
プレイヤーとしての質は上がっているでしょう。
ただ、それだけの理由でオールスターに選ばれますか?
しかもスターターですよ。
今回こうなった理由は2つ。
1つは、ウェストのフロントコートの選手にケガ人が続出したこと。
アンソニー・デイビス、カワイ・レナード、ポール・ジョージ、ザイオン・ウィリアムソン、マイケル・ポーターJr.・・・・等々です。
もう1つは、前半ウォリアーズが絶好調だったこと。
その結果、「誰に」ではなく、「ウォリアーズに」投票しようという流れができました。
ウィギンスが3位、ドレイモンド・グリーンが4位に入っていることからも、それがわかります。
ただ、オールスターはあくまで個人が選ばれるものです。
冷静に成績を比較してみましょう。
ウェストのフロントコートの選手だけ抜き出してみます。
①ルブロン・ジェイムズ 29.1点・7.7R・6.3A
②ニコラ・ヨキッチ 26.2点・13.8R・7.7A
③カール・アンソニー=タウンズ 24.2点・9.4R・3.7A
④アンソニー・エドワーズ 22.9点・5.2R・3.7A
⑤ブランドン・イングラム 22.4点・6.1R・5.2A
⑥ヨナス・バランチュナス 18.3点・12.0R・2.5A
⑦ノーマン・パウエル 18.3点・3.2R・2.1A
⑧アンドリュー・ウィギンス 18.1点・4.2R・2.1A
平均得点1位・2位のルブロンとヨキッチが選ばれるのは当然として、3番目に選ばれるのがどうして8位のウィギンスなのでしょう?
ウルブスだから? ペリカンズだから? ブレイザーズだからダメなんでしょうか?
もう一つ、いつも納得がいかない点なのですが、④のアンソニー・エドワーズは、常にSFで先発しているにもかかわらず、投票がガード部門の枠に入っています。
(オールスター投票では、ガード部門で10位にランクインしています)
どうして、実態に合わせないんでしょうか?
例えば、ドンチッチはガード部門に振り分けられています。
ただ、元々ドンチッチはSFの選手です。
ルーキーシーズンはPFとして先発していたぐらいです。
マブスのチーム事情や本人の能力を活かすために、現在は先発PGとして出ていますが、ナチュラルポジションとしてはSFです。
ただ、実態がガードとしてプレーしているため、投票もガードの枠に入れられ、今回のオールスターではジャー・モラントの躍進によりスターターを外れています。
アンソニー・エドワーズは元々SGの選手でしたが、ウルブスではルーキーシーズンからSFで先発しています。
もう2年目なのに、どうしていまだにガード部門に入れられているんでしょうか?
この問題は、イーストの方でより大きな影響が出ました。
下馬評を覆す躍進を見せているブルズで、MVP候補という声も挙がっているデマー・デローザン。
デローザンがオールスターに選出されるのは当然なんですが、問題はガード部門で選ばれたことなんですね。
その結果、同じくブルズでオールスター級の活躍をしているザック・ラビーンが3位に落ち、スターターから外れてしまいました。
これの何が問題かと言うと、デローザンはずっとフォワードで先発してるんです。
チャールズ・バークリーがTNTのスタジオで、「トレイ・ヤングが選ばれて、ラビーンが選ばれないのはおかしい」と苦言を呈し、ヤングが「静かにしてくれ」と反論していましたが、そうじゃないんです。
ヤングは選ばれてもいいんです。
おかしいのは、デローザンが「ガード部門で」選ばれていることなんです。
デローザンの本来のポジションはSGです。
だからずっとガード部門の投票枠に入っているのですが、ブルズの前のスパーズ時代からずっとSFで先発しています。
少なくとも、もう4年はフォワードとしてプレーしているんですね。
今シーズンは、パトリック・ウィリアムスが早々に戦線離脱してしまったので、なんならPFとしてプレーしています。
であれば、いい加減「フォワード枠」に変更したらいいんじゃないですか?
本来のポジションにするのか、実態に合わせるのか、どっちかにハッキリすべきです。
中途半端な対応にしてるから、いろんな弊害が起きてくるんです。
これは、NBA事務局の怠慢と言えるでしょうね。
ただ、もうそろそろ「ガード」と「フロントコート」の区別も撤廃する時期に来ていると思います。
元々「ガード」「フォワード」「センター」に分けられていましたが、純粋な「センター」が少なくなってきた現代NBAの事情などを鑑みて、「センター」枠が撤廃されて「フロントコート」となったわけですが、もはやそのくくりすら不要になってきていると思います。
まず、「ガード」と「フロントコート」ということは、SGとSFの間に線を引かなければいけなくなるわけなんですが、SGとSFは5つのポジションの中で一番違いが少ないというか、ポジションレスな今のNBAにおいて、ほぼ区別がなくなっています。
PGしかできない、Cしかできないという選手はいても、SGしかできない、SFしかできないという選手はいません。
SGとSF、SFとPFは、ほぼポジションレスになってきており、今の時代複数のポジションをこなせないと生き残れない時代にもなっています。
先程のデローザンが、SGなのにPFをやっているのも典型的な例でしょう。
であれば、もはや「ガード」と「フロントコート」を区別する意味合いもないんじゃないでしょうか?
オールスターのポジション分けは、おそらくファンが選びやすいようにと指定された枠だったんだろうとは思います。
ただ、それをつけることで逆に選びにくくなっているんであれば、もはやそういった配慮も要らないでしょう。
ファンはただ、ベストな5人を選べばいいんです。
たとえガードが5人選ばれようが、フロントコートが5人選ばれようが、それでもチームは成り立つだろうし、実際そんなラインナップでプレーしているチームもあります。
誰もがオールラウンダーに近づいている現代NBAでは、どんな5人が選ばれても、チームとして成立すると思います。
しかも、オールスターに選ばれるぐらいの実力者たちであればなおさらです。
どんどん時代に即したカタチに進化していってほしいなと思いますね。