うーん、ついにドノバン・ミッチェルのトレードに決着がつきました。
このトレード成立までには、長〜い道のりがありました。
これまでずっと、ニックスがトレード候補の一番手として、取り引き話をリードしていました。
実際、7月には既に、RJ・バレット+オビ・トッピン+ミッチェル・ロビンソン+1巡目指名権✕3つでオファーを出していたそうです。
ただ、ルーディ・ゴベールのトレードで大量の見返りを得ていたジャズは、エースのミッチェルを出すならもっと要求を高くしてもいいだろうと考えたんですね。
そしてジャズは、ニックスのオファーを突っぱね、交渉は長期戦となりました。
そこから2ヶ月近くが経過し、そろそろ結論を出す時期になってきました。
ジャズは、サマーリーグでも活躍し、これから伸びる可能性が高い若手のクエンティン・グライムスをトレード要員に入れるよう要求しました。
しかしニックスがこれを突っぱね、代わりにイマニュエル・クイックリーを提案してきました。
ジャズは、それなら制限のない1巡目指名権を3つ付けるように要求しますが、ニックスはそれに応じず、3つ目はTOP5がプロテクトされた指名権でと返してきました。
そんなこんなのやり取りが続いて、両者とも要求を曲げませんでしたが、最終的にニックスがデッドラインを定めたようです。
ただ、その最終期限までに交渉がまとまらず、タイムリミットだということで、ニックスはトレード要員の核だったRJ・バレットの契約延長を決めました。
これはすなわち、ニックス側がトレードを諦めたということを意味しました。
そしてジャズも、ニックスから手を引き、トレード相手としてキャブスを選んだわけです。
内容はこんな感じになりました。
<キャブス> ⇔ <ジャズ>
ドノバン・ミッチェル ラウリ・マルッカネン
コリン・セクストン(サイン&トレード)
オチャイ・アグバジ
2025年1巡目指名権
2027年1巡目指名権
2029年1巡目指名権
2026年1巡目指名権交換権
2028年1巡目指名権交換権
ニックスが渋った無制限の1巡目指名権✕3つを、キャブスはしっかり差し出しています。
おそらくは、これが決め手だろうと思います。
ジャズ的には、ゴベールで4つの1巡目指名権をGETできたので、ミッチェルではもっとと皮算用していたとは思いますが、最低でも3つというところは譲れなかったのだと思います。
<キャブス>
PG:ダリアス・ガーランド/ラウル・ネト/(リッキー・ルビオ)
SG:ドノバン・ミッチェル/キャリス・ルバート/ディラン・ウィンドラー/RJ・ネンハードJr.
SF:アイザック・オコロ/ジェディ・オスマン/ラマー・スティーブンス
PF:エバン・モーブリー/ケビン・ラブ/ディーン・ウェイド
C:ジャレット・アレン/ロビン・ロペス/アイザイア・モーブリー
キャブスにとって大きいのは、ガーランド、モーブリー、アレンという主力3人を出さずして、オールスター級の選手を獲得できたということです。
チームのコアをキープしながら、新たにエースとなれる、しかもオールスター選手を手に入れることができたのは、戦力的に非常に大きいです。
既にガーランドとアレンという2人のオールスター選手を抱えながら、3人目となるオールスターを手に入れたキャブスは、一気に優勝を狙える戦力になったと言っても過言ではないと思います。
また、6−1(185cm)と上背がないミッチェルは、どうしてもディフェンス面で不利になってしまいます。
ジャズ時代も、ゴール下にゴベールがいることで、その弱点を補ってきたところがありました。
しかしキャブスも、モーブリーとアレンというツインタワーがゴール下にいます。
キャブスへの移籍は、ミッチェルにとってもいい環境だと言えると思います。
チーム全体として考えると、各ポジションにいい素材は集まってきたものの、ここぞという時に決めるGo-to-Guyが不在でした。
ミッチェルは、まさにキャブスが必要としていたGo-to-Guyです。
今回のトレードは、キャブスにとっても、ミッチェルにとっても、WINーWINなトレードだったと思います。
<ジャズ>
PG:コリン・セクストン/マイク・コンリーJr./ニキール・アレクザンダー=ウォーカー/ジャレッド・バトラー
SG:マリーク・ビーズリー/ジョーダン・クラークソン/オチャイ・アグバジ/リアンドロ・ボルマロ
SF:ボヤン・ボグダノビッチ/シモーヌ・フォンテッキオ/テイレン・ホートン=タッカー/ジョニー・ジュザーン
PF:ラウリ・マルッカネン/ルーディ・ゲイ/スタンリー・ジョンソン/ゼイビア・スニード
C:ウォーカー・ケスラー/ジャレッド・バンダービルト/ドカ・アズブーキ
ミッチェルとゴベールの両オールスターを放出したジャズは、本格的なリビルディングに入っていきます。
そのため、コンリー、ボグダノビッチ、クラークソンといった残されたベテランたちも、遅かれ早かれ放出されていくはずです。
新チームは、セクストンとマルッカネンを中心に、若手のホートン=タッカーや、フォンテッキオ、アグバジ、ケスラーといった新人たちを育てていく形になると思います。
フォンテッキオは、現在行われているユーロバスケットでもイタリア代表のエースとして活躍しているシューター。
アグバジは、ファイナル4の最優秀選手に輝き、カンザス大を優勝に導く原動力となったスコアラー。
ケスラーは、7−1(216cm)のサイズを持ち、ショットブロックが得意な正統派のビッグマン。
これに加えて、2つのトレードで集めた1巡目指名権が7つ(!)と交換権が3つ。
それに自らの指名権も合わせると、相当な数のドラフト権を有することになります。
今後のドラフト指名を通じたチーム作りの行方が注目されます。