前回取り上げたKDのビッグトレード案は、ディアンドレ・エイトンがペイサーズのオファーシートにサインしたことで、その可能性がなくなりました。
久しぶりにワクワクするような夢のある話でしたが、制限付きFAのエイトンがそれを待つ義理もないわけで、夢ははかなくも消えていきました(笑)
それにしても、KDのトレード要求が出てから、FA・トレード戦線が固まったように動かなくなりました。
ひとたびその動向が決まれば、あとはドミノ式に決まっていくものですが、大物の去就が決まらないと、その次に来る選手たちの動きが取れないんですね。
その原因ともなっているのが、ゴベールとデジョンテ・マレーのトレードです。
この2つのトレードが、この夏のトレンドを大きく変えてしまいました。
それが何かというと、その内容を見れば明らかです。
<ホークス> ⇔ <スパーズ>
2023年1巡目指名権
2025年1巡目指名権
2027年1巡目指名権
2026年1巡目指名権交換権
<ウルブス> ⇔ <スパーズ>
ルーディ・ゴベール マリーク・ビーズリー
パトリック・ビバリー
ジャレッド・バンダービルト
リアンドロ・ボルマロ
ウォーカー・ケスラー(1巡目22位指名)
2023年1巡目指名権
2025年1巡目指名権
2027年1巡目指名権
2029年1巡目指名権
2026年1巡目指名権交換権
わかりますでしょうか?
目立った特徴がありますね。
そう、「1巡目指名権」の多さです。
マレーは1巡名指名権3つと交換権が1つ、そしてゴベールの方は1巡目指名権4つと交換権が1つです。
1巡目指名権はトレードにおいて貴重な武器であり、各チームはなかなか出そうとしません。
ウェストブルックを放出するトレードの噂がいくつかありましたが、レイカーズが1巡目指名権を付けるのを渋ったため、ご破算になったと言われています。
それも、わずか1つの指名権の話です。
それを、3つも4つもホイホイ出してしまうというのは、かなりの大盤振る舞いと言えます。
それだけスター選手が欲しかったという言い方もできますが、マレーは初のオールスターに補欠で繰り上がり当選した選手であり、ゴベールも選ばれるかどうかのボーダーライン上の選手です。
つまり、ギリギリオールスターというランクの選手に対して、1巡目指名権を3つも4つも出しちゃってるということになります。
だとすると、KDやカイリー、ドノバン・ミッチェルといった真のオールスタークラスのトレードになったら、もっと要求できちゃうんじゃないの?という話になります。
だってゴベールやデジョンテで3つも4つももらえるんだったら、うちのKDやカイリーはそれ以上もらえて当然だ!とネッツが鼻息荒くなっても仕方ありません。
それこそ、5つも6つもみたいな非現実的な数を要求されたりしたら、まとまるトレードもまとまりません。
それが、現在のこのスタックした状況を生んでいます。
いやはや困ったものです。
各チームのGMも困っているようで、ウルブスやホークスに対して「何てことをしてくれたんだ」と怒っているようです。
ゴベールの交換相手なんて、9人分ですからね!
1対9のトレードなんて聞いたことありませんよ(笑)
逆に、素晴らしくお得なトレードをしたのもあります。
マルコム・ブログドン ダニエル・タイス
アーロン・ネズミス
ニック・スタウスカス
マリーク・フィッツ
ジュワン・モーガン
2023年1巡目指名権
1巡目指名権は1つしか献上しておらず、あとは戦力的に不要なベンチプレイヤーばかり。
それでいて、中心選手となれるブログドンをGETできてしまっています。
これは出血大サービスのバーゲンセールと言っていいでしょう。
このトレード1つで、セルティックスは紛れもない優勝候補になったと思います。
さらには、バイアウトされたガリナーリも安価で獲得していますから、現時点でウォリアーズもサンズも超えて、優勝候補No.1だと思います。
もう1つお得だったトレードはこれです。
ジェラミ・グラント 2025年1巡目指名権
2022年2巡目46位 2022年2巡目36位
2025年2巡目指名権
2026年2巡目指名権
実質的に、1巡目指名権1つと2巡目指名権2つでグラントを獲れています。
そしてこの1巡目指名権も、バックスの指名権ですから、下位である見込みが高い。
つまり、下の方の指名権だけを集めて、準オールスター級のグラントをGETできたわけです。
グラントは、オールスターにこそ選ばれていませんが、アメリカ代表チームに選ばれた実績がある実力者です。
先程のゴベールやデジョンテのトレードと比べると、そのお得感がわかるかなと思います。
さらに、もう1つお得だったトレードです。
<マブス> ⇔ <ロケッツ>
クリスチャン・ウッド 2022年1巡目26位
ボバン・マリヤノビッチ
マーキース・クリス
トレイ・バーク
ウッドもグラントと同じ、準オールスタークラスだと思います。
それが、実質1巡目下位指名権との交換だけで獲れたんですね。
残りの3人は、いずれも契約最終年で、ベンチの端っこに座っていた選手たちです。
つまり、1年後にはFAでそのまま手放すことになる選手たちでしたから、戦力的には痛くありません。
それで準オールスタークラスが獲れるんだったら、お得に決まっています。
一口にトレードと言っても、必要以上の対価を払って獲っているものもあれば、バーゲン価格で獲っているものもあります。
チームの浮沈は、選手というよりも、フロントが握っています。
どの選手を、どんな対価で獲得してくるか。
どの新人をドラフト指名するか。
チーム運営の良し悪しが、その成績を決めると言っても過言ではありません。