渡邊雄太が素晴らしいですね。
現地1/29のキングス戦、試合序盤から終始リードを奪われたままの展開の中、3Q残り4分43秒のタイミングで登場した渡邊。
通常セカンドユニットの選手に与えられるプレータイムは、スターターに休憩を与えるための時間帯になることがほとんどです。
つまり、試合開始からスターターが10分ぐらいプレーした後の1Q残り2〜3分のタイミングで出場し、2Q前半のどこかまで。
そして、後半も3Q後半から再び出場して、4Qの前半まで。
それぞれ5〜7分ぐらいプレーして、1試合の平均出場時間が10〜15分ぐらいになる、というのが通常のパターンです。
渡邊は今シーズン平均で12.2分の出場時間を与えられています。
なんだ、10分ぐらいか〜と思うかもしれませんが、これはスゴイことなんです。
基本的に、NBAチームは「ローテーション」というものを組みます。
HCの方針によって人数は変わってくるのですが、大体8〜10人でローテーションを組むことが多いです。
ローテーションとは、簡単に言うと「スターター5人+いつも出る控え3〜5人」の組み合わせのことです。
つまり、このローテションの中に入らないと、ケガ人や欠場者が出ない限りゲームには出られないんですね。
グリズリーズ時代の渡邊はこれでした。
2年間所属しましたが、一度もローテーションに入ることはありませんでした。
しかし、ラプターズに入った今シーズンは、ほぼ開幕直後からローテーションに入っています。
まずこれはスゴイことです。
「正式ロースター15人+2way契約2人=17人」の中で、ローテーションプレイヤーは「スターター5人+控え3〜5人」しかいません。
ラプターズの場合は9人か10人でローテーションを組むことが多いので、17人の中の上位9人か10人の中に入らないといけないわけです。
この10/17人の中に、2way契約の渡邊が食い込んでいるってことが、そもそもスゴイことなんですね。
<スターター>
バンブリート 36.2分
ラウリー 36.1分
シアカム 35.6分
アヌノビー 34.8分
ベインズ 17.1分
<控え>
パウエル 25.9分
ブシェー 22.6分
ジョンソン 16.4分
デイビス 13.3分
渡邊 12.2分
この下にまだ7人も選手がいるわけです。
そして、そのうちの6人はギャランティー契約をもらっています。
この結果をキープしていけば、今シーズン中にNBA本契約を獲得する可能性はかなり高いと思います。
さて、話をゲームに戻します。
渡邊が投入された3Q残り4分43秒の時点で、ラプターズは76−90と14点をリードされていました。
しかし、ここから少しずつ追い上げをはじめ、渡邊も4Q残り8分31秒に素早いカットインからレイアップを決め、残り6分2秒には3ポイントを沈める活躍を見せると、点差は半分の7点に。
試合大詰めの残り5分は、全員スターターに戻すのが通例ですが、チームにいい流れをもたらしていた渡邊は、そのまま試合に出場し続けます。
いい流れを断ち切りたくないHCが、渡邊をコートに残すという判断をしたわけですね。
するとこの起用に渡邊が応え、残り3分57秒でオフェンスリバウンドを奪うと、バンブリートのジャンプショットにつなげ、点差は4点差に。
続く3分13秒にも再びオフェンスリバウンドを奪いますが、1点差を狙ったラウリーの3Pは惜しくも外れました。
それでも残り1分8秒にはキレのあるクロスオーバードリブルでマークを振り切ると、ゴール前でフワリを浮かせる技ありのレイアップを決め、ついに116−117と1点差に迫ります。
しかし、直後にキングスのルーキー、タイリース・ハリバートンに値千金の3Pを決められて万事休す。
結局2点差で敗れはしたものの、3Q途中から出ずっぱりだった渡邊は、大事な4Qにもフル出場。
最終的に24分出場し、12点・6リバウンド・2アシスト・2スティール・FG4/5本成功・3P2/3本成功・FT2/2本成功という素晴らしいスタッツを残しました。
渡邊が出場していた時間帯の得失点差は+10で、チームトップタイの貢献度の高さでした。
この活躍に、試合終了から1時間後には、地元トロントのツイッターのトレンドで、「#Yuta」が1位になったそうです。
ついに、NBAにおける「居場所」を見つけた感のある渡邊。
この活躍をキープすることで、早くNBA本契約を掴み取ってほしいなと思いますね。
【渡邊雄太】キャリアハイの12得点! 攻守で存在感を発揮|NBAハイライト(2021/1/30)【NBA Rakuten】