前回のブログでお伝えしたボル・ボルのトレードが、なんと破棄されてしまいました。
トレードが成立すると、受け入れ側のチームドクターによる健康診断が行われるんですが、そこで慢性的な故障や再発しそうな過去の古傷などがあると、健康診断にパスしないんですね。
ボル・ボルは、カレッジ時代に足の疲労骨折を負ってシーズンをほぼ全休し、その結果ロッタリーピックから2巡目の下位へと評価が下がった苦い過去があります。
今回の診断がその時の故障箇所かどうかはわかりませんが、チームドクターが危険という判断をしたということになります。
もしもトレードが成立した後に重大な故障箇所が見つかったら、チームにとって損失となります。
それを未然に防ぐためにフィジカルチェックが行われ、それをパスしないとトレードが無効になってしまいます。
ただ、このチームドクターの見立てというのが、必ずしも正しいわけではないというのもミソなんです。
このボル・ボルのニュースにいち早く反応したのが、元ロケッツのビッグマン、ドナタス・モティエユーナスでした。
モティエユーナスもかつて、ロケッツからピストンズへのトレードが決まったものの、ピストンズのチームドクターからNGが出され、トレードを破棄された過去があったからです。
モティエユーナスは、ピストンズのチームドクターを批判しました。
単にトレードを破談にされたというだけなら、さほどマイナスな影響はないかもしれません。
しかし、本当のダメージは、その選手が「身体にバクダンを抱えた“キズモノ”である」といったイメージを、広くNBA関係者全体に植え付けてしまうことなんです。
これは、いくら選手個人が否定しても、一旦貼られた“危険”というレッテルは、なかなか払拭できるものではありません。
他のチームが獲得を検討しようかと思っても、二の足を踏んでしまう要因になってしまいます。
実際モティエユーナスは、この被害を受けました。
その後なかなか積極的に獲得しようとするチームは現れなくなり、ついにはNBAを追われ、海外にプレーの場を求めなければならなくなりました。
しかし、その後6年あまりが経過しても、特に大きなケガはなく、いまだ現役でプレーを続けています。
つまり、ピストンズのチームドクターの見立ては、間違っていたということになります。
それでも、トレード破棄がモティエユーナスの選手としての価値を下げ、その後のNBAキャリアを変えてしまったのは間違いありません。
この後、ボル・ボルがどんなNBAキャリアを送ることになるのかわかりませんが、その能力が正しく評価され、選手として成功することを願うばかりです。
★レディッシュがニックスへトレード
<ニックス> ⇔ <ホークス>
キャメロン・レディッシュ ケビン・ノックス
ソロモン・ヒル 2022年1巡目指名権
2025年2巡目指名権
2019年1巡目10位指名のレディッシュは、ザイオンやモラントを輩出したこの年のドラフト組の中でも、その潜在能力はトップクラスと評価されているタレントです。
6−8(203cm)とウィングプレイヤーとしては恵まれた体格で、オフェンスをクリエイトする能力やパス能力にも優れ、トレイ・ヤングが戦線離脱した時には急造PGを務めたこともありました。
ただFG成功率が低かったり、まだまだ荒削りな部分も多かったことから、タレント揃いのホークスの中でなかなか安定したプレータイムをもらえずにいました。
開幕前のオフには、もっとプレータイムを増やしてくれとフロントに直訴したようですが、プレーオフで上位進出を狙うチームは、シュート力のあるボグダン・ボグダノビッチやケビン・ハーター、ディフェンス力に優れるディアンドレ・ハンターなど、勝つために必要な選手を重用しました。
その結果、レディッシュのプレータイムは増えるどころか、NBA3シーズン目にして最も少ないプレータイムに落ちるという憂き目に遭いました。
そのため、早い段階からトレード候補に挙げられ、ニックスの他にも、ペイサーズ、レイカーズ、キャブス、ピストンズといった各チームと交渉していたそうです。
能力の高いレディッシュの交換には、最低でも1巡目指名権が求めれらました。
例えばレイカーズは、2巡目指名権×2つをオファーしていたようですが、1巡目指名権をオファーしなかったので却下されています。
最終的に、1巡目指名権を差し出したニックスがレディッシュを獲得することになりました。
ホークス側は、ケビン・ノックスではなく、1巡目25位指名の新人クエンティン・グライムスを要望したようですが、これはニックス側が拒否しています。
<ニックス>
PG:ケンバ・ウォーカー/デリック・ローズ/イマニュエル・クイックリー/マイルス・マクブライド
SG:RJ・バレット/エバン・フォーニエ/クエンティン・グライムス/マット・ムーニー
SF:キャメロン・レディッシュ/アレック・バークス/デイミヤン・ダットソン/(ソロモン・ヒル)
PF:ジュリアス・ランドル/オビ・トッピン/ルカ・サマニッチ/ジェリコ・シムズ
C:ミッチェル・ロビンソン/ナーレンズ・ノエル/タージ・ギブソン
RJ・バレットとキャメロン・レディッシュは、ザイオンと共にデューク大のスーパー1年生トリオと呼ばれた逸材でした。
NBAでもチームメイトとなった2人のコンビに期待が高まります。
躍進した昨シーズンとは打って変わって苦戦しているニックスは、ラインナップが固められずにいます。
現在はPG陣のケガもあり、アレック・バークス、エバン・フォーニエ、RJ・バレットといったウィングのプレイヤーを横並びで先発させていますが、あまりうまくいっているとは言えません。
SGでバレット、SFでレディッシュを先発させて、雰囲気もイメージもガラッと一新させてほしいなと思います。
<ホークス>
PG:トレイ・ヤング/デロン・ライト/ルイス・ウィリアムス/シャリーフ・クーパー
SG:ボグダン・ボグダノビッチ/ケビン・ハーター/スカイラー・メイズ
SF:ディアンドレ・ハンター/ケビン・ノックス/ティモシー・ルワル=キャバロ
PF:ジョン・コリンズ/ダニーロ・ガリナーリ/ジェイレン・ジョンソン
C:クリント・カペラ/オニエカ・オコングー/ゴーギー・ジェン
ホークスは、決してレディッシュを出したくて出したわけではありません。
タレントが豊富なチームだからこその悩みで、全員に満足するプレータイムや役割を与えることができず、レディッシュの要望に応えることができなかった結果、トレードという選択になってしまいました。
代わりに1巡目指名権をもらい、次世代の新たなタレント獲得につなげようということと、レディッシュの前年の1巡目9位指名ながら、その力を発揮できていないケビン・ノックスを試す機会を得たという流れです。
もう少しガマンしてチームにいてくれたら・・・・というのがホークスの願いだったと思いますが、才能ある若手ゆえ自らの出場機会を求めるのは仕方のないことかなと思います。
それにしても、ただ手放すのはやっぱりもったいないですね。。。
若手DUKEコンビで停滞するニックスを生まれ変わらせてほしいですね〜
★ヒートの新人センターがブレイク中
サマーリーグの時から注目していたヒートのルーキー、オメール・ユートセブン。
ケガで戦線離脱中のバム・アデバヨに代わって、ここのところずっと先発起用され、毎試合のようにダブルダブルの活躍を見せています。
最近10試合:12.2点・14.0リバウンド・2.9アシスト・FG50.9%
先発10試合:13.6点・13.9リバウンド・2.9アシスト・FG54.5%
1月の7試合:13.0点・14.3リバウンド・4.0アシスト・FG55.0%
アデバヨはもうすぐ戻ってくるという話ですが、先発から下げるのがもったいなくなるような成績です。
フルシーズン先発起用できるチームにいたら、新人王の有力候補になっていましたね。
サマーリーグで見せたポテンシャルは、やはり本物だったようです。
ヒートは、ダンカン・ロビンソンやタイラー・ヒーローにケンドリック・ナン、マックス・ストラスにユートセブンと、サマーリーグで活躍した選手がそのままレギュラーシーズンでも活躍するケースが続いています。
有望な若手や掘り出し物の人材を、うまく発掘できていますね。
これからの成長がとっても楽しみです。
ヒートはまたいい若手を発掘しましたねぇ〜