ブルズから制限付きFAとなっていたラウリ・マルッカネンが、三角トレードでキャブスへサイン&トレードされることになりました。
マルッカネンは、2017年に1巡目7位指名された7フット(213cm)の長身PF。
ルーキーイヤーから即スターターとなり、平均15.2点・7.5リバウンド・3P36.2%をマークすると、2年目には18.7点・9.0リバウンド・3P36.1%とスタッツを伸ばし、3年目にはオールスターかと思わせる有望株でした。
ところが、HCの方針などもあって3年目は成績が急降下。
4年目にはスターターも外され、出場時間もどんどん減っていきました。
そんな流れで迎えたルーキー契約最終年に、チームから延長契約のオファーがあるわけもなく、どこに移籍するのかが注目されていました。
先発PFがいないウルブスやスパーズあたりが有力視されていましたが、結局決まったのはキャブスでした。
キャブスはフロントコートの人材が混み合っているので、マルッカネンを獲得にいったのは意外でした。
トレードの概要はこうです。
<キャブス>
PF ラウリ・マルッカネン(←ブルズ)
<ブレイザーズ>
PF ラリー・ナンスJr.(←キャブス)
<ブルズ>
SF デリック・ジョーンズJr.(←ブレイザーズ)
2022年1巡目指名権(←ブレイザーズ)
2023年2巡目指名権(←キャブス)
この内容で言うと、マルッカネンの現在の市場価値は、ラリー・ナンス+2巡目指名権、あるいはデリック・ジョーンズ+1巡目指名権と同程度ということになります。
2年目のわずか21才の時に、20−10に迫るスタッツを残した3Pも打てる7フッターの価値が、たった2年でここまで落ちてしまったということなんですね。
ただ、どちらかというと、本人の実力的な問題というより、HCやチームの方針で使われなくなった印象があるので、新天地では選手として生き返るかもしれません。
一つ心配なのは、キャブスのゴール下が既に先発級の選手で混み合っていることです。
十分なプレータイムがもらえるのかどうか、今から心配が尽きません。
ロースターで見てみます。
<キャブス>
PG:ダリアス・ガーランド/リッキー・ルビオ
SG:コリン・セクストン/デイミヤン・ダットソン/ディラン・ウィンドラー
SF:アイザック・オコロ/ジェディ・オスマン/ラマー・スティーブンス
PF:ケビン・ラブ/ラウリ・マルッカネン/ディーン・ウェイド
C:ジャレット・アレン/エバン・モーブリー/ミフォンドゥ・カベンゲリ
キャブスはまず、今年の1巡目3位でエバン・モーブリーを指名した後、ジャレット・アレンを5年100milの再契約を結びました。
ここで既に、Cポジションで先発級の2人がダブっています。
そこで、意外と器用なプレーを見せるモーブリーをPFとして起用する説も出ましたが、そんな中で今度はそのPFにマルッカネンを入れたわけです。
また、そもそもこのPFにはケビン・ラブがいます。
マルッカネンの契約は4年67milという先発級のサラリーですので、ベンチに置いておくために獲ったわけではないでしょう。
ラブは年30milを超える契約があと2年残っており、チームはバイアウトも視野に交渉しているようですが、今のところラブがそれを受け入れる気配はありません。
ラブ、マルッカネン、アレン、モーブリーと4人の先発級ビッグマンを抱えることになったキャブス。
先発と控えの組み合わせ、出場時間の分配など、うまくバランスを取ることができるのか、注目されます。
<ブレイザーズ>
PG:デイミアン・リラード/アンファニー・サイモンズ
SG:CJ・マッカラム/ベン・マクレモア/CJ・エルビー
SF:ノーマン・パウエル/トニー・スネル/ナシアー・リトル
PF:ロバート・コビントン/ラリー・ナンスJr./グレッグ・ブラウン
C:ユスフ・ヌルキッチ/コーディ・ゼラー/トレンドン・ワトフォード
ブレイザーズは元々、チームにあまりフィットしなかったデリック・ジョーンズJr.を今オフの放出候補にしていました。
今回、ブルズとキャブスのトレードに、3チーム目として割って入り、ジョーンズを手薄なPFの人材と交換することに成功しました。
ナンスはダンクばかりが注目されますが、その身体能力を活かしてディフェンスが良く、SFにスライドできる器用さもあります。
SFはパウエルと再契約し、スネルも控えに獲得したので、ジョーンズを出しても人数的には足りていますが、PFはメロやハリー・ジャイルズが去り、数が不足していました。
ブレイザーズは、1巡目指名権を差し出してまでナンスを獲りにいってますので、その期待の高さがうかがえます。
場合によっては、コビントンをSF、ナンスをPFで先発させて、パウエルを6thマンとして起用するパターンもあるかもしれません。
<ブルズ>
PG:ロンゾ・ボール/コービー・ホワイト/ジャボンテ・グリーン
SG:ザック・ラビーン/アレックス・カルーソ/アイヨ・ドスム
SF:デマー・デローザン/トロイ・ブラウンJr.
PF:パトリック・ウィリアムス/デリック・ジョーンズJr.
C:ニコラ・ブチェビッチ/トニー・ブラッドリー/マルコ・シモノビッチ
ブルズは構想から外れたマルッカネンを放出し、将来のドラフト指名権と交換したのかもしれませんが、1巡目7位のロッタリーピックを手放すにはあまりに簡単でした。
代わりに獲ったデリック・ジョーンズJr.は、基本的にSFの選手。
PFは昨年のルーキー、パトリック・ウィリアムスしかいなくなってしまったので、ベンチプレイヤーの補強が必要になります。
マルッカネンを放出するにしても、1年前のオフやトレードデッドラインに出しておけば、もう少しいい条件でトレードすることも可能でした。
今オフは大型補強を断行したブルズですが、完全FAであるデローザンをわざわざサイン&トレードにして、サディアス・ヤングや1巡目指名権を手放してしまったりしていて、フロントの手腕としては疑問が残ります。
サンダーからFAになっていたミハイリュウクが、ラプターズと2年契約しました。
SGのバックアップとして、即戦力となれる3Pシューターです。
<ラプターズ>
PG:フレッド・バンブリート/ゴラン・ドラギッチ/マラカイ・フリン/ダラーノ・バントン/デイビッド・ジョンソン
SG:ゲイリー・トレントJr./スビアトスラフ・ミハイリュウク/イザック・ボンガ
SF:OG・アヌノビー/スコッティ・バーンズ/サム・デッカー/渡邊雄太
PF:パスカル・シアカム/プレシャス・アチュワ/フレディ・ジレスピー
C:ケン・バーチ/クリス・ブシェー
★ロンドがバイアウトされてレイカーズへ?
ブレッドソーのトレードでPG過多となっていたグリズリーズは、まずビバリーをウルブスにトレードしたのに続いて、ロンドをバイアウトしました。
これでPGポジションのダブつきは解消されましたが、まだ15人のロースター枠はオーバーしています。
ウルブスから加入したばかりのエルナンゴメスも、放出候補となっているようです。
<グリズリーズ>
PG:ジャー・モラント/タイアス・ジョーンズ
SG:ディロン・ブルックス/ディアンソニー・メルトン/ザイーア・ウィリアムス/サム・メリル
SF:カイル・アンダーソン/デズモンド・ベイン/ジャレット・カルバー/ジョン・コンチャー
PF:ジャーレン・ジャクソンJr./ブランドン・クラーク/フアン・エルナンゴメス/サンティアゴ・アルダマ
C:スティーブン・アダムス/ゼイビア・ティルマン/ダニエル・オトゥール/ジョンテイ・ポーター
ちなみに、レイカーズがロンドを獲得すると、ロースターはこんな感じになります。
元レイカーズの加入は、ロンドが入れば5人目ということになります。
<レイカーズ>
PG:ラッセル・ウェストブルック/ケンドリック・ナン/ラジョン・ロンド
SG:テイレン・ホートン=タッカー/マリーク・モンク/ウェイン・エリントン
SF:ルブロン・ジェイムズ/トレバー・アリーザ/ケント・ベイズモア
PF:アンソニー・デイビス/カーメロ・アンソニー
レイカーズはさらに、ネッツがディアンドレ・ジョーダンをバイアウトするのを待っていると言われているので、他のチームが切った戦力をリーグ最低年俸で集めまくっているようです。