ロケッツのケビン・ポーターJr.が、4/29のバックス戦で50点・11アシスト・3P9本成功というすごいスタッツをマークしました。
純粋にスタッツだけでもすごい数字なんですが、ケビン・ポーターJr.はまだ2年目の20才なんですね。
弱冠20才にして、50点・10アシスト超えをマークした、史上最年少記録を更新してしまったんです。
ちなみにこれまでの記録は、ルブロンの23才と66日。
ケビン・ポーターJr.の20才と360日という記録が、いかに若いかがわかります。
Kevin Porter Jr. (50 PTS, 11 AST) is the youngest player in NBA history (20 years, 360 days) with 50+ points and 10+ assists in a game.
— NBA History (@NBAHistory) 2021年4月30日
LeBron James (50 PTS, 10 AST on March 5, 2008) was the youngest previously, at 23 years, 66 days. pic.twitter.com/HT3lWmxA6r
ここで注目したいのは、ケビン・ポーターJr.という選手がこれまで辿ってきた道のりです。
2年前の2019年ドラフトで1巡目最後の30位指名を受け、NBA入りしたケビン・ポーターJr.。
しかし、純粋なタレントレベルはもっと高く、一時は「TOP5のタレント」と評価されたこともありました。
ただ、素行が悪く、たびたび問題を起こしていたことから、精神面の未熟さが問題視されて、ドラフトの評価を落としました。
名門USCでのフレッシュマンシーズンは、ケガもあって満足にプレーできず、先発したのも数試合。
シーズン後半は、内部で問題を起こしてチームから出場停止を食らい、プレーすることすらできませんでした。
そんな状態でも1年でアーリーエントリーして、さらにはギリギリとはいえ1巡目で指名されるというのは、タレントレベルがよっぽど高いということです。
ダイヤモンドの原石というやつですね。
磨けば光るスゴイ才能を持っているものの、バスケのプレーに集中できていない。
それは、NBA入りしてからも続きました。
キャブスに入団したケビン・ポーターJr.は、1年目から6thマンとしてプレーし、ベンチからのインスタントスコアラーとして2ケタのアベレージを残しました。
しかしその一方で、コート外では問題を起こし続け、銃やマリファナの所持で逮捕されたり、暴行容疑で訴えられたり、トラブルのオンパレードが続きました。
そして2年目のシーズンを迎えた今季、シーズン途中のトレードで加入した選手に自分の使っていたロッカーを勝手に与えたことにブチギレ、GMに暴言を吐くというトラブルを起こしたところで、キャブスがついに愛想を尽かし、2巡目指名権との交換というタダ同然のトレードでチームから放出しました。
ただ、ここで漁夫の利を得たのがロケッツでした。
才能はピカイチのケビン・ポーターJr.をタダ同然で手に入れただけでなく、ある意味で「更生」させることに成功しました。
まずはGリーグでじっくり育て、その中でゲームメイクという新たな一面も開花させました。
ちょうどジョン・ウォールが欠場してPGがいなかったこともあって、トップチーム加入後も攻撃の起点としての役割を担いました。
ロケッツ加入後の成績は「16.7点・6.4アシスト」と、キャブス時代の2.2アシストから、3倍ぐらいのアシスト数にジャンプアップしています。
ショットセレクションや3Pシュートにはまだまだ課題が残りますが、それも目下猛特訓中なんだそうです。
選手育成コーチのジョン・ルーカスと、週3で3Pの特訓をしていて、今回の50点ゲームの中でも9本の3Pを決めています。
3月は23.0%だった成功率が、4月は38.6%と劇的に改善されています。
元々、磨けば光る才能の原石。
努力することで生まれ変わろうとしています。
もうすっかり「更生」したのかなと思いましたが、つい先日もマイアミのストリップクラブでトラブルに巻き込まれ、また警察沙汰に。
リーグからも、コロナ予防の規定に違反したとして罰金を食らいました。
まあ、すぐに全てが改善されるわけではないかもしれませんが、徐々にでもいい方向に進んでいるのなら御の字でしょう。
特にロケッツにとっては、ハーデンの後に出てきた才能ということで、期待がかかります。
ちょうど、左利きで、ゲームメイクもできて、得点も取れるガードということで、ハーデンとの共通点が多いのも不思議な縁を感じます。
ハーデンが去り、ルバートもオラディポも手放してしまったロケッツですが、思わぬところからチームの将来を担う才能が出てきたのかもしれませんね。