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トレードデッドライン以降、ナゲッツが4戦負けなしと絶好調。

 

特にアーロン・ゴードンが出場してからの3試合は、ホークス、シクサーズクリッパーズという実力派チームに対して快勝しています。

 

★3/29 ◯126−102 vs.ホークス

★3/31 ◯104−95   vs.シクサーズ

★4/2   ◯101−94   vs.クリッパーズ

 

特筆すべきは、そのバランスの良さです。

 

【vs.ホークス】

 PG:ジャマール・マレー  17点・FG7/11・3P1/4・+23

 SG:ウィル・バートン   12点・FG5/13・3P1/4・+18

 SF:マイケル・ポーターJr. 15点・FG6/12・3P2/5・+18

 PF:アーロン・ゴードン  13点・FG6/9・3P1/4・+17

   C:ニコラ・ヨキッチ   16点・FG7/12・3P1/2・+20

 

【vs.クリッパーズ

 PG:ジャマール・マレー  23点・FG9/18・3P3/6・+4

 SG:ウィル・バートン   19点・FG7/14・3P3/6・+9

 SF:マイケル・ポーターJr. 20点・FG7/11・3P1/2・+6

 PF:アーロン・ゴードン  14点・FG6/13・3P1/4・+12

   C:ニコラ・ヨキッチ   14点・FG6/16・3P2/3・+13

 

お分かりでしょうか?

 

スターター5人全員に満遍なくボールが行き渡り、5人全員が同じぐらいの本数のショットを放ち、同じぐらいの点数を挙げています。

 

この「全員が同じぐらいの本数のショットを打っている」という事実は、NBAの世界ではなかなかないことです。

 

これがカレッジであれば、珍しくはないと思います。

 

でも、ここはNBA

 

突出したスコアラーや、ディフェンスや3Pなど一芸に秀でた職人など、個性がぶつかり合う世界。

 

全員が満遍なく同じぐらいの本数のショットを放ち、全員が仲良く2ケタ得点をマークする、なんてケースは非常に稀なわけです。

 

 

そしてこれは、様々な意味でプラスに働くと思います。

 

例えば、スターター5人全員が同じぐらいの点数を挙げるということは、5人がどこからでも得点できるということになります。

 

相手ディフェンスは、「◯◯さえ抑えれば何とかなる」といった考え方はできなくなり、誰か1人か2人に的を絞ることもできません。

 

つまり、これまでのように「ナゲッツはヨキッチとマレーさえマークすれば何とかなる」といった考えは通用しなくなるわけです。

 

平均30点と25点の選手がいて、残りの3人は1ケタ台というチームより、5人全員が平均15点というチームの方が、相手ディフェンスとしては嫌だと思います。

 

そしてナゲッツ的にも、誰かその日調子の悪い選手がいたとしても、残りの選手が少し多めに打ってカバーすることが、比較的容易にできるようになります。

 

突出した選手がいないのではなく、全員が高いレベルで安定しているんですね。

 

なので、1人が無理してたくさん打たなくてもいいし、誰かが調子悪くてもすぐにフォローできるタレントレベルが揃っている、というわけです。

 

 

その結果、この5人が揃った時のラインナップは、これまで合計64分間あったそうですが、その間相手チームを合計48点も上回っているそうです。

 

5人揃った時の得失点差が、+48ということですね。

 

相性はバッチリだと思います。 

 

 

これは、長丁場のシーズンやプレーオフを戦い抜く上でもとても役に立ちます。

 

エースのヨキッチは、今シーズンMVPの有力候補となるほどの活躍を見せています。

 

平均得点だけ見ても、昨シーズンの19.9点⇒26.5点へと上がっています。

 

ところが、上の2試合では、16点と14点で済んでいるんですね。

 

決して調子が悪かったわけではありません。

 

それ以上打つ必要がなかったからなんですね。

 

ヨキッチが毎試合MVP級のパフォーマンスを見せなくても、ゲームに勝てる。

 

これは非常に大きなことです。

 

レギュラーシーズンでボロボロにならず、プレーオフの最後の方まで力を溜めておくことができるからです。

 

スタッツ的にはやや下がってしまうので、MVPレースにはマイナスかもしれません。

 

でもプレーオフを勝ち抜くためには、エースの力を温存することは非常に重要です。

 

 

ポーターとゴードンの共存も、うまくいきそうです。

 

元々ゴードンがマジックを去ることになったのは、同じPFポジションにジョナサン・アイザックという若手有望株がいたからでした。

 

しかし、新しく移った先にも、今度はマイケル・ポーターJr.というPFの若手有望株がいます。

 

果たして共存はうまくいくのか?という不安はありましたが、どうやら杞憂だったようです。

 

ポーターは、長身でオフェンスのスキルが豊富な一方、線が細くてフィジカル面やディフェンスはまだまだ発展途上です。

 

ゴードンは、ポーターほどオフェンスの器用さはありませんが、身体能力が高く、パワーもあり、機動力とフィジカルの強さがあります。

 

ポジションは同じものの、得意分野が違う2人は、逆にうまく補完関係を築けているようです。

 

例えば、先程のクリッパーズ戦を例に取ります。

 

オフェンスでは、ポーターがSF、ゴードンがPFとしてプレーします。

 

そしてディフェンスでは、相手エースのカワイ・レナードにゴードンがつき、シューター系のマーカス・モーリスにポーターがつきます。

 

つまり、ディフェンスでは、ゴードンがSF、ポーターがPFとしてプレーし、マッチアップを入れ替えているんですね。

 

その結果、オフェンスではポーターがチーム2位の20点をマークし、ディフェンスではゴードンがレナードにマン・ツー・マンでマークにつきました。

 

仮にシャットダウンできなくても、相手エースにダブルチームなしでマークをしてくれたら、チームとしては御の字です。

 

それがポーターにはできませんが、ゴードンにはできるんですね。

 

 

先発SGのシュート力も向上しました。

 

ゲイリー・ハリスは3P成功率32.0%だったのに対して、ウィル・バートンは37.4%。

 

これまで、ポーターとバートンのどちらかが先発SFになるかで少し揉めた時期もありましたが、ハリスが去ったことでバートンが先発SG、ポーターが先発SFに収まり、その問題も解決されました。

 

19.6/20.9milの不良債権だったハリスを放出して、13.7milのバートンに代えたことは、コスト的にもいい動きでした。

 

 

トレードデッドラインでの動きでチームに変革をもたらしたナゲッツですが、ウェストを勝ち上がれる可能性も出てきたのではないかと思います。

 

本命のレイカーズは、ADとルブロンのケガでフルメンバーがいつ揃うのかわかりません。

 

対抗のクリッパーズも、結局大きな補強はできず、好不調の波が大きな安定感のない戦いを繰り返しています。

 

今シーズン好調なジャズやサンズは、まだプレーオフを勝ち上がれる真の実力があるのかどうかわかりません。

 

そうなると、もしLAの2チームが本調子に戻れなかった場合、昨シーズンはファイナルまであと一歩まで迫ったナゲッツにも勝機が出てきます。

 

全てがうまく運べば、ナゲッツのファイナル進出も夢ではないかもしれません。