トレードデッドライン第2弾は、ヒートとラプターズを中心にしたまとめになります。
★ヒートがオラディポを獲得
<ヒート> ⇔ <ロケッツ>
SG ビクター・オラディポ PF ケリー・オリニク
SG エイブリー・ブラッドリー
2022年1巡目指名権交換権
1年以上前からずっと、相思相愛と噂されていたオラディポとヒート。
代わりの選手を出さずに、オフにFAになってから契約することもできたんですが、その前にトレードで獲得することを選びました。
現在21milのオラディポとのFA契約は、年25milクラスが必要になると思います。
さすがに、いきなりそれだけの高額投資をするのであれば、チームにフィットするのか相性を見ておいた方が安全です。
FAで契約しようと考えていたオラディポを、半年早く獲得すれば、そのお試し期間でチームとの相性を確かめることができます。
通常、契約最終年の選手をトレードで獲得するのは、半年後にFAで出て行かれてしまうリスクを伴うため、交換相手にあまりいい選手を出したがりません。
ただ今回のトレードは、オラディポが元々ヒートと契約してくれる可能性が高そうだという見込みがあったので、ならば最初にお試し移住をしてもらおうというわけです。
うまくいけば再契約すればいいし、うまくいかなければ、そこまで高額オファーをするリスクを避けることができるわけです。
交換相手のオリニクとブラッドリーも、ともに今シーズンで契約を終了できるので、FA選手同士の交換という扱いになります。
★ヒートがビエリツァも獲得
<ヒート> ⇔ <キングス>
PF ネマーニャ・ビエリツァ SF モーリス・ハークレス
PF クリス・シウバ
ヒートは、ケリー・オリニクが抜けた「ストレッチ4」の後釜として、キングスから売りに出ていたビエリツァを獲得しました。
アウトサイドシューターとしてはオリニクを上回るビエリツァの加入は、PFポジションのグレードアップになると思います。
★ノーマン・パウエルがブレイザーズへ
SG ノーマン・パウエル SF ロドニー・フッド
SG ゲイリー・トレントJr.
これまではベンチからのインスタントスコアラーという印象が強かったパウエルですが、昨シーズンは平均16.0点・3P39.9%、今シーズンは19.6点・3P43.9%とブレイク。
フルタイムのスターターではなく、まだベンチスタートのことも多い中でのこの得点力は、かなり効率よく得点を挙げている証拠です。
ただ、このことが逆にパウエルの評価を予想以上に上げてしまったため、パウエルが今シーズン終了後にFAとなった時に、現在の10.9milからおそらく年20milクラスまで年俸が高騰することが予想されています。
おそらくラプターズは、その金額ではキープできないと判断して、FAになる前にトレードして、対価を得る方向に動いたものと思われます。
代わりに、伸び盛りのゲイリー・トレントJr.を獲得して、将来の先発SGとして育てていくものと思われます。
ちなみに、こんなツイートがありました。
This is crazy.
— Tim Reynolds (@ByTimReynolds) 2021年3月26日
Gary Trent: Starts his career in Portland, averages 10 points per game there, traded to Toronto 41 games into his third season.
Gary Trent Jr.: Starts his career in Portland, averages 10 points per game there, traded to Toronto 41 games into his third season.
ゲイリー・トレントJr.のパパのゲイリー・トレントも、ブレイザーズでキャリアをスタートさせ、その後ラプターズへとトレードされたのですが、ブレイザーズで平均10点を残したこと、3年目のシーズン途中を41試合プレーしたところでトレードされたこと、トレード先がラプターズだったこと、という一連の事実が全て同じなんだそうです。
これも親子の絆、運命なんでしょうか???
★ラプターズがロースターを整理
<キングス>
<ジャズ>
SG マット・トーマス(←ラプターズ)
<ラプターズ>
2021年2巡目指名権(←キングス)
2021年2巡目指名権(←ジャズ)
ラプターズは、かねてから噂に上がっていたカイル・ラウリーのトレード話を、デッドラインのギリギリまで進めていました。
主にヒート、シクサーズ、レイカーズなどと条件を詰めていましたが、どのチームもラプターズが要求した条件に応じなかったようです。
例えば、ヒートはタイラー・ヒーロー、レイカーズはテイレン・ホートン=タッカーといった若手有望選手を手放しませんでした。
ラプターズの球団社長であるマサイ・ウジリは、どのチームも条件に乗って来なかったことに、「驚いた」とコメントしています。
なぜこの話をするかというと、このテレンス・デイビスとマット・トーマスを放出したのは、カイル・ラウリーのトレードをするための準備だったからです。
ラウリーの年30milもの高額年俸に合わせるためには、1対3や1対4といったトレードになることが予想されていました。
つまり、ラウリーのトレードが成立したら、ラプターズは相手チームから3人か4人の選手を受け入れなければいけなくなるはずだったんですね。
そのため、来るラウリーのトレードのために、ラプターズは先に動いてロースターの整理を行ったわけです。
複数のチームと交渉を進めていたので、最後まで粘れば、交渉していたチームのどれかは条件を呑んで、トレードは成立するだろうという読みがあったと思います。
ところが、ギリギリまで引っ張っても、結局ラプターズの要求を呑むチームはなく、ラウリーのトレード話は流れてしまったんですね。
そのため、ラウリーのトレードがあるという前提で放出された2人は、「出され損」になってしまいました。
ラプターズ的にも、結果的に出さなくてもよかった選手を出してしまう形になりましたが、もう元には戻せないので後の祭りとなってしまいました。
トレードは難しいですね・・・・
なかなか思惑通りに事が運ばないことも多いです。
では、ロースターを見ていきたいと思います。
<ヒート>
PG:ケンドリック・ナン/ゴラン・ドラギッチ/ゲイブ・ビンセント
SG:ビクター・オラディポ/タイラー・ヒーロー/マックス・ストラス
SF:ジミー・バトラー/ダンカン・ロビンソン/アンドレ・イグオダーラ
PF:ネマーニャ・ビエリツァ/トレバー・アリーザ/KZ・オクパラ
C:バム・アデバヨ/プレシャス・アチュワ/ユドニス・ハスリム
新戦力のオラディポが先発SG、ビエリツァが先発PFにそのまま入ることになると思います。
使っていなかった選手を出し、必要な戦力に代えたという意味で、地味ながら非常に的を射たトレードをしたと思います。
ラウリーは獲れませんでしたが、タイラー・ヒーローやダンカン・ロビンソンを残す選択をした方が正解だと思います。
あとはバイアウト市場で、インサイドのビッグマンを補強したいところです。
<キングス>
PG:ディアーロン・フォックス/デロン・ライト/ジャーマイアス・ラムジー/カイル・ガイ
SG:タイリース・ハリバートン/テレンス・デイビス/ジャスティン・ジェイムズ
SF:バディ・ヒールド/デイクワン・ジェフリーズ/ロバート・ウッダードⅡ
PF:ハリソン・バーンズ/モーリス・ハークレス/チメジー・メツ/(マービン・バグリーⅢ)
C:リショーン・ホームズ/ハッサン・ホワイトサイド/クリス・シウバ
キングスが放出したのはビエリツァ1人でしたが、代わりに3人の選手が加入したので、ロースター枠を2つ空けるために、ジャバリ・パーカーとミフォンドゥ・カベンゲリをカットしました。
テレンス・デイビスは昨シーズン、オール・ルーキー2ndチームに選ばれた素材なので、ローテーションプレイヤーとして期待がかかります。
<ロケッツ>
PG:ジョン・ウォール/DJ・オーガスティン/ダンテ・エクサム
SG:エリック・ゴードン/ケビン・ポーターJr./エイブリー・ブラッドリー/ベン・マクレモア
SF:ダヌエル・ハウスJr./スターリング・ブラウン/デイビッド・ヌワバ
PF:ケリー・オリニク/ジェイショーン・テイト/ケニヨン・マーティンJr./アンソニー・ラム
C:クリスチャン・ウッド/DJ・ウィルソン/ジャスティン・パットン
ハーデンの交換相手として獲得したオラディポでしたが、結局20試合プレーしただけで放出することになりました。
代わりに残ったのはケリー・オリニクとエイブリー・ブラッドリーだけというのは、あまりにも寂しすぎます。
こうなるとやっぱり、キャリス・ルバートをペイサーズへ渡さずに、キープしておけばよかったのに・・・・と思ってしまいます。
<ラプターズ>
PG:カイル・ラウリー/マラカイ・フリン/ジェイレン・ハリス
SG:フレッド・バンブリート/ディアンドレ・ベンブリー/ポール・ワトソン
SF:ゲイリー・トレントJr./ロドニー・フッド/パトリック・マッコウ
PF:OG・アヌノビー/クリス・ブシェー/スタンリー・ジョンソン/渡邊雄太
C:パスカル・シアカム/アーロン・ベインズ/ヘンリー・エレンソン
ラウリーのトレードが成立しなかったラプターズは、結果的にはノーマン・パウエルとゲイリー・トレントJr.を交換しただけの動きとなりました。
今シーズン絶好調だったパウエルを手放したのはもったいなかったんですが、今シーズン終了後にFAとなった時、大金を出してまで引き留める覚悟がなかったとしたら、今のうちに交換しておくのも一つだと思います。
ただ、トレントも制限付きFAになりますので、ある程度の金額は必要になってきますが、パウエルほどはかからないだろうという見通しがあったんだと思います。
<ブレイザーズ>
PG:デイミアン・リラード/アンファニー・サイモンズ
SG:CJ・マッカラム/CJ・エルビー/ケルジン・ブレビンス
SF:ノーマン・パウエル/デリック・ジョーンズJr./ナシアー・リトル
PF:ロバート・コビントン/カーメロ・アンソニー/ハリー・ジャイルズⅢ
C:ユスフ・ヌルキッチ/イネス・カンター/(ザック・コリンズ)
チーム第3のスコアラーとして、ラプターズで結果を出していたパウエルを獲得できたのはよかったと思います。
ただ、サイズ的には3ガードのような体制になるので、ディフェンス面での心配は残ります。
また、シーズン終了後にFAとなるので、そこで再契約をして引き留められないと、半年間のレンタルのために若手有望株のゲイリー・トレントJr.を手放したことになってしまうので、是が非でも残さなければいけません。
<ジャズ>
PG:マイク・コンリー/ジョーダン・クラークソン/トレント・フォレスト
SG:ドノバン・ミッチェル/マット・トーマス/ミーヤ・オーニ
SF:ボヤン・ボグダノビッチ/ジョー・イングルス/ジュワン・モーガン/イライジャ・ヒューズ
PF:ロイス・オニール/ジョージ・ニャン/エルサン・イリャソワ/ジャーレル・ブラントリー
C:ルーディ・ゴベア/デリック・フェイバース/ウドカ・アズブーキ
マット・トーマスは、2シーズンでキャリア45.7%の3Pシューター。
アイオワ州立大時代は、ジョージ・ニャンとチームメイトだったそうです。
今シーズンは、ジョーダン・クラークソンが6thマン賞最有力候補と好調ですが、優秀な3Pシューターは多くて困ることはありませんので、プレーオフに向けたいい補強になるのではないかと思います。