ラプターズのカイル・ラウリーにトレードの噂が出ています。
まずは、なぜラウリーにトレードの噂が出るのか?
理由は、大きく分けて2つあります。
①ラプターズの不振
ここ数年、毎年イースト上位につけていたラプターズでしたが、今シーズンは大苦戦。
開幕から2勝8敗とつまづき、その後14勝9敗と持ち直してきたものの、まだ5割を切ったままです。
もし今シーズンの上位進出や、プレーオフでの勝ち上がりが難しそうだと諦める判断をした場合、高額年俸のベテラン選手を放出して、チームの再建を図るという方向に向かう可能性があります。
②年齢と契約の問題
ラウリーの契約は今シーズン限りで、その金額は30.5milと高額です。
チームは同じスモールガードのフレッド・バンブリートと4年間の長期契約を結んだばかりで、3月で35才を迎えるラウリーと高額の再契約を結ぶとは考えにくいです。
であれば、FAで何の見返りもなく出て行かれるぐらいであれば、何らかの対価と交換しておいた方が得策となります。
ラウリー自身にとってみても、ラプターズが上位を見込めない状態であるのなら、優勝争いをできるチームに移籍するというのは悪い話ではありません。
特に小さなガードの選手は、年齢による衰えの影響を受けやすいと言われ、35才になる今シーズンはラストチャンスとなる可能性もあります。
かつての名ガードたちも、35才を超えると急激に力が落ちるケースが目立ちました。(スティーブ・ナッシュ、ゲイリー・ペイトン・・・等々)
35才のシーズンに優勝を目指せる環境に身を置くということは、ラウリーのキャリアにとっても有意義なことと言えるでしょう。
そして既に、3つのチームが移籍先として噂に上がっています。
どんなトレードなら成立するのか、順番に見て行きたいと思います。
①シクサーズの場合
オールラウンダーのベン・シモンズがPGを務めていますが、昨シーズンのプレーオフはPFへコンバートされるなど、優勝を目指すチームとしては不安が残ります。
優勝経験のあるラウリーが取れるなら、司令塔として申し分ないですし、シモンズも別の役割でその能力を生かすことができます。
また、ラウリーは地元フィラデルフィア出身で、大学もフィラデルフィアにあるビラノバ大という、生粋のフィリーっ子です。
キャリアの最後に故郷に戻って優勝を目指す、なんてラウリー自身にとっても最高のシナリオだろうと思います。
PG カイル・ラウリー SF ダニー・グリーン
SF テレンス・ファーガソン
C ヴァンサン・ポアリエ
優勝メンバーの出戻りとなるダニー・グリーンを中心にしたパッケージになりますが、4人とも契約最終年なので、サラリーキャップの空きを作ることができます。
若手のファーガソンは、チームに合う戦力となれば再契約の可能性もあると思います。
<シクサーズ>
PG:カイル・ラウリー/タイリース・マクシー
SG:セス・カリー/シェイク・ミルトン/アイザイア・ジョー/レイジョン・タッカー
SF:トバイアス・ハリス/フルカン・コルクマズ/マティース・サイブル/ポール・ワトソン
PF:ベン・シモンズ/トニー・ブラッドリー/ポール・リード
ラウリーが先発PGに入り、シモンズがPFにスライドする形のラインナップに変わります。
ウィングの人員を整理してPFを補強する必要はありますが、なかなか強力な布陣ができあがると思います。
<ラプターズ>
PG:フレッド・バンブリート/マラカイ・フリン/ジェイレン・ハリス
SG:ノーマン・パウエル/ダニー・グリーン/テレンス・デイビス/マット・トーマス
SF:OG・アヌノビー/ディアンドレ・ベンブリー/テレンス・ファーガソン/パトリック・マッコウ
PF:パスカル・シアカム/マイク・スコット/スタンリー・ジョンソン/渡邊雄太
C:クリス・ブシェー/アーロン・ベインズ/ヴァンサン・ポアリエ
ラウリーが抜けたことで、バンブリートが本来のPGに戻り、SGには好調パウエルが入ります。
優勝時の先発SGだったグリーンがバックアップに回り、手薄なセンターには7フッターのポアリエを加えて層を厚くします。
②ヒートの場合
昨シーズンはファイナル進出を果たしたヒートですが、今シーズンはずっとプレーオフ圏外にいる状態が続いています。
特に先発PGは、本来はSGであるタイラー・ヒーローを起用するなど苦労しています。
再びファイル返り咲きを狙うには、司令塔の補強は不可欠になりそうです。
<ヒート> ⇔ <ラプターズ>
PG カイル・ラウリー SF アンドレ・イグオダーラ
C アーロン・ベインズ PF ケリー・オリニク
SF パトリック・マッコウ SG エイブリー・ブラッドリー
SF モーリス・ハークレス
ラウリーに加えて、ラプターズにフィットしていないベインズも放出します。
代わりにラプターズは、イグオダーラの残り契約(15.0/15.0mil)を引き取ります。
オリニクとブラッドリーは、戦力として選手層を厚くします。
<ヒート>
PG:カイル・ラウリー/ゴラン・ドラギッチ/ゲイブ・ビンセント
SG:タイラー・ヒーロー/ケンドリック・ナン/マックス・ストラス
SF:ダンカン・ロビンソン/KZ・オクパラ/パトリック・マッコウ
PF:ジミー・バトラー/プレシャス・アチュワ/クリス・シウバ
C:バム・アデバヨ/アーロン・ベインズ/ユドニス・ハスリム/(マイヤーズ・レナード)
ラウリーが先発PGに入り、タイラー・ヒーローとダンカン・ロビンソンが両ウィングに並ぶ布陣。
バトラーをPFにするスモールラインナップにはなりますが、バランスは取れていると思います。
アデバヨをPFに上げて、ベインズをCで先発させてもいいと思います。
<ラプターズ>
PG:フレッド・バンブリート/テレンス・デイビス/マラカイ・フリン/ジェイレン・ハリス
SG:ノーマン・パウエル/エイブリー・ブラッドリー/マット・トーマス/ポール・ワトソン
SF:OG・アヌノビー/ディアンドレ・ベンブリー/アンドレ・イグオダーラ
PF:パスカル・シアカム/モーリス・ハークレス/スタンリー・ジョンソン/渡邊雄太
C:ケリー・オリニク/クリス・ブシェー
課題のCポジションを、オリニクとブシェーで分け合う形です。
ビッグマンのさらなる補強は必要ですが、フィットしないアーロン・ベインズをそのまま置いておくよりはいいと思います。
ブラッドリーとイグオダーラもディフェンス面で貢献してくれるでしょう。
③クリッパーズの場合
今回の3チームの中でも、最も先発PGを必要としているのはクリッパーズでしょう。
優勝を目指していながら、優勝チームに相応しい司令塔がいません。
本来そういうタイプではないカワイ・レナードやポール・ジョージが、オフェンスの組み立て役も担わざるをえない状況になっているところが、このチームがもう一つブレイクスルーできない要因にもなっています。
トレード案自体はこちらで提案したものと同じなのですが、改めて見てみます。
PG パトリック・ビバリー PG カイル・ラウリー
SG ルイス・ウィリアムス
C イビチャ・ズーバッツ
PF ミフォンドゥ・カベンゲリ
<ラプターズ>
PG:フレッド・バンブリート/パトリック・ビバリー/マラカイ・フリン/ジェイレン・ハリス
SG:ノーマン・パウエル/ルイス・ウィリアムス/テレンス・デイビス/マット・トーマス
SF:OG・アヌノビー/ディアンドレ・ベンブリー/パトリック・マッコウ/ポール・ワトソン
PF:パスカル・シアカム/クリス・ブシェー/スタンリー・ジョンソン/渡邊雄太
C:イビチャ・ズーバッツ/アーロン・ベインズ/ミフォンドゥ・カベンゲリ
先発Cにズーバッツが入り、シアカムとブシェーの3人で回せば、ベインズを使わずともビッグマンのローテーションを回せるようになります。
ビバリーとルー・ウィリアムスは、バンブリートとパウエルの先発バックコートのバックアップとなれば、非常に心強い存在です。
<クリッパーズ>
PG:カイル・ラウリー/レジー・ジャクソン
SG:ポール・ジョージ/ルーク・ケナード/ジェイ・スクラブ
SF:カワイ・レナード/テランス・マン/アミーア・コフィー
PF:ニコラ・バトゥーム/マーカス・モーリス
C:セルジュ・イバカ/パトリック・パターソン/ダニエル・オトゥル
1対4のトレードにしたため、一時的にロースターの人数が少なくなってしまいましたが、追って補強していく必要があります。
ただ、それ以上に優勝経験のある司令塔が加わることでバランスが向上し、両エースも本来のスコアリングに集中できるようになるでしょう。
ちなみに、レナードとイバカはご存知の通りラプターズの優勝メンバー。
マーカス・モーリスは、ロケッツ時代の元チームメイトです。
ケミストリー的にも違和感なくフィットするでしょう。
故郷のフィラデルフィアに戻って・・・・というストーリーも魅力的ではありますが、やはり個人的には、このクリッパーズへのトレードが一番実現してほしいですね。
レイカーズが盤石かと思われた今シーズンの優勝争いですが、アンソニー・デイビスの故障で雰囲気が怪しくなってきました。
ここでクリッパーズが効果的な補強を行えば、優勝に近づく大きなチャンスになると思います。