オフが極端に短く、試合数も72試合に短縮されている今シーズンは、イレギュラーなことが多く、それが結果にも現れている気がします。
チームとしてコンビネーションを合わせる時間がなく、未完成のままいきなり本番に突入した影響から、序盤は大量点差のワンサイドゲームがよくありました。
また、コンビネーション不足からか、エースにかかる負担が増している感があり、エースが大量得点して、かつチームが負けるというパターンも多い気がします。
最近の試合でも、カリーが57点、ヨキッチが50点をマークしながら、いずれも試合には敗れています。
ブラッドリー・ビールが60点をマークしたものの、やはり試合には負けたというゲームもありました。
チームとしての熟成が図れず、個の力に頼るシーンが増えているのは、この特殊な環境下の影響が色濃く出ていると感じます。
では、5人のユニットとして成績はどうなっているのか?
それを調べたおもしろい記事があったので、ご紹介したいと思います。
少なくとも75分以上一緒にプレーした5人の組み合わせの中で、得失点差が優れていたユニットと、ダメだったユニットを抽出しています。
スターターの5人に限っていないところが、この調査のおもしろいところかもしれません。
意外と思われる組み合わせがライクインしていたりしますので。
計る指標はネット・レイティング。
100ポゼッションあたりに換算した、攻撃と守備の効率性です。
ネット・レイティングの解説はこちら。
では、まずは悪い方から見ていきます。
【ワースト5位】
−11.7(計85分)
<グリズリーズ>
PG:タイアス・ジョーンズ
SG:ディロン・ブルックス
SF:カイル・アンダーソン
PF:ブランドン・クラーク
C:ヨナス・バランチュナス
ジャー・モラントがケガで欠場していた間のスターターです。
モラントの影響力の大きさが現れた結果かなと思います。
ジャーレン・ジャクソンJr.が、今シーズンまだ出場できていないことも影響しています。
【ワースト4位】
−12.5(計219分)
<スパーズ>
PG:デジョンテ・マレー
SG:ロニー・ウォーカー
SF:デマー・デローザン
PF:ケルドン・ジョンソン
C:ラマーカス・オルドリッジ
これは、今シーズンのスパーズのレギュラースターターです。
連続プレーオフ出場を逃し、過度期を迎えているスパーズですので、致し方ない面もありますが、この考察についてはまた後ほど。
【ワースト3位】
−16.2(計171分)
<ウォリアーズ>
PG:ステフ・カリー
SG:ケリー・ウーブレイJr.
SF:アンドリュー・ウィギンス
PF:ドレイモンド・グリーン
C:ジェイムズ・ワイズマン
こちらも、今シーズンのウォリアーズのレギュラースターターですね。
ウォリアーズのスタート5人のバランスの悪さについては、以前も述べた通りです。
やはりそれは数字でも証明されているということですね。
【ワースト2位】
−17.3(計76分)
<ブルズ>
PG:コービー・ホワイト
SG:ザック・ラビーン
SF:パトリック・ウィリアムス
PF:ラウリ・マルッカネン
C:ウェンデル・カーターJr.
現在はウェンデル・カーターJr.がケガで戦列を離れていますが、ブルズのレギュラースターターです。
リビルディング中で若手を積極的に登用しているため、ある程度はやむを得ませんが、この5人が将来のコアでいいのかという疑問は残されたままです。
【ワースト1位】
−20.6(計102分)
<サンダー>
PG:ジョージ・ヒル
SG:シェイ・ギルジャス=アレクザンダー
SF:ルーゲンツ・ドート
PF:ダリアス・ベイズリー
C:アイザイア・ロビー
完全なリビルディングモードに入ったサンダーは仕方ないですね。
ただ、Cにホーフォードが入ると、レイティングはプラスに転じるようです。
サンダーは、ある意味狙ってこの結果になっているので、驚きはないです。
さて、続いて良い方のベスト5です。
【プラス5位】
+16.3(計260分)
<ジャズ>
PG:マイク・コンリー
SG:ドノバン・ミッチェル
SF:ボヤン・ボグダノビッチ
PF:ロイス・オニール
C:ルーディ・ゴベア
現在20勝5敗で、ジャズがウェスト1位って知ってましたか?
11連勝を含めて、ここ15試合で16勝1敗と絶好調なんです。
好調の要因は、個人のネット・レイティングが+17.7でリーグ2位の、コンリーの復活が大きいですね。
移籍初年度の昨シーズンは不振に喘いだコンリーですが、今シーズンはグリズリーズ時代の姿を取り戻した感があります。
【プラス4位】
+17.1(計232分)
<レイカーズ>
PG:デニス・シュルーダー
SG:ケンタビウス・コールドウェル=ポープ
SF:ルブロン・ジェイムズ
C:マルク・ガソール
こちらはレイカーズのスターターですね。
まあ、レイカーズは元々すごいメンバーだと開幕前から紹介してきたので、特に驚きはありません。
【プラス3位】
+23.5(計94分)
<キングス>
PG:ディアーロン・フォックス
SG:タイリース・ハリバートン
SF:バディ・ヒールド
PF:ハリソン・バーンズ
C:リショーン・ホームズ
最初の驚きはここですね。
キングスはスタートの5人ではなく、6thマンとして活躍するルーキーのタイリース・ハリバートンが入ったこのラインナップが非常にいいという結果が出ています。
ハリバートンは、ドラフトでは謎のランクダウンをしましたが、やはり実力は本物であったことを実戦で証明していますね。
【プラス2位】
+25.4(計167分)
<クリッパーズ>
PG:パトリック・ビバリー
SG:ポール・ジョージ
SF:カワイ・レナード
PF:ニコラ・バトゥーム
C:セルジュ・イバカ
2位には、クリッパーズのスターター5人が入りました。
マーカス・モーリスがケガで出遅れたため、先発PFにはバトゥームが入っていますが、このバトゥームが復活していい働きをしています。
ホーネッツからバイアウトされて、ベテラン最低年俸で契約したとは思えない活躍ぶりです。
クリッパーズは思わぬ拾い物をしたようです。
【プラス1位】
+28.9(計82分)
<スパーズ>
PG:デジョンテ・マレー
SG:パトリック・ミルズ
SF:デビン・バッセル
PF:ルーディ・ゲイ
C:ヤコブ・ポエルトル
そして第1位に輝いたのは、なんとスパーズのセカンドユニットでした。
覚えてますか? スパーズのスターターは、ワースト4位だったんですよ。
つまり、ワースト4位のスターターを、ベスト1位のセカンドチームが支えてるのが、今のスパーズということになります。
だったらこっちをスターターにすれば・・・・と思ってしまいますが。
契約最終年のベテラン、デローザンとオルドリッジの2人がチームを去るのも時間の問題でしょうね。。
とまあ、ちょっとおもしろい見方ができるデータをご紹介しました。
スター選手が何点取ったということがニュースになりがちですが、1人よりも5人でどうなのか?という観点は、ゲームに勝つという意味ではより重要な指標です。
どの5人の組み合わせがベストなのか?
このチームバランスは常に意識しなければいけないポイントだと思います。