新戦力が加わったウォリアーズも苦戦しています。
5勝4敗と勝ち星こそ先行していますが、勝つも負けるもカリーの出来次第という危うい戦いぶりです。
勝ちゲームと負けゲームのカリーの成績です。
・勝ち5試合:平均39.4点/FG52.2%/3P48.5%
・負け4試合:平均19.5点/FG36.0%/3P23.7%
まあ、一目瞭然ですね。
カリーが当たれば勝ち、ダメなら負ける。
ハッキリしています。
ただこれだと、ウェストの並み居る強豪とは戦えません。
ルーキーのジェイムズ・ワイズマンは、まだ出場時間が制限されているものの、予想以上の活躍を見せています。
大きい割には横の動きも速く、ハンドリングや3Pといった細かな技術も持っています。
いずれオールスタークラスの選手になっていくでしょう。
問題は、アンドリュー・ウィギンスとケリー・ウーブレイJr.のフォワード陣です。
元々シューターではない2人が、3Pを多く打たなければならない状況に置かれていることは不運だと思います。
ただ、それにしても確率が悪い。
ウーブレイにいたっては、開幕から3試合で17本ものスリーを打って全て外すという不名誉なスタートを切り、いまだにFG33.3%/3P13.3%と苦しんでいます。
ただ問題なのは、2人が3Pを決められないことよりも、なぜ得意ではないとわかっている3Pを平均5本程度も打たせ続けているのか、ということのような気がします。
スピードと身体能力を活かしたプレーが持ち味の2人なんだから、そういうプレーができるようなオフェンスにしてあげればいいのに、ということです。
選手が変われば、できるプレーも変わります。
これまでのウォリアーズのスタイルに当てはめるだけでは、結果が出ないのは当然ですし、それぞれが持つ個々の能力をうまく引き出すこともできません。
そういう意味で、今のウォリアーズのラインナップはバランスが悪くなっています。
現在のスターターと主なベンチメンバーです。
<ウォリアーズ>
PG:ステフェン・カリー/ブラッド・ワナメイカー
SG:アンドリュー・ウィギンス/デイミオン・リー/ジョーダン・プール/マイカル・モルダー
SF:ケリー・ウーブレイJr./ケント・ベイズモア/フアン・トスカーノ=アンダーソン
PF:ドレイモンド・グリーン/エリック・パスカル
C:ジェイムズ・ワイズマン/ケボン・ルーニー
スターターでシューターと言えるのはカリーだけ。
他に警戒すべきシューターはいません。
となると、相手ディフェンスにとってみれば、カリーさえ抑えれば何とかなるので、的も絞りやすくなります。
それが冒頭に挙げた、勝ち試合と負け試合の結果に如実に表れています。
カリーの抑え込みに成功すれば勝ち、そうでなければ負ける、というわけです。
問題はウィギンスとウーブレイだけではなく、ドレイモンド・グリーンも同様です。
ここ数年ショットの精度がかなり落ちており、昨シーズンはFG38.9%/3P27.9%の平均8.0点、今シーズンはまだ5試合の出場ですが、FG26.7%/3P12.5%のわずか2.8点となっています。
ディフェンスの要で、ファシリテーター役もこなせるとは言っても、さすがにこの成績では4人でオフェンスしているようなものであり、少なくともスターターの成績ではありません。
やはり、カリーの負担を軽くするためにも、スタート5人の中に少なくとも1人シューターを加え、ラインナップのバランスを取った方がいいと思います。
現有戦力でシューターと言えるのは、デイミオン・リー(3P48.5%)、ケント・ベイズモア(3P50.0%)、マイカル・モルダー(3P45.8%)といったあたりで、この中から1人スターターに入れた方がいいのではないかと考えています。
攻撃力を重視するならリーですが、アグレッシブなディフェンスが持ち味のベイズモアをスタートで使ってもいいのではないかと思います。
そうすると、ラインナップはこんな感じになります。
<ウォリアーズ>
PG:ステフェン・カリー/ブラッド・ワナメイカー
SG:デイミオン・リー/ケント・ベイズモア/ジョーダン・プール/マイカル・モルダー
SF:アンドリュー・ウィギンス/ケリー・ウーブレイJr./フアン・トスカーノ=アンダーソン
PF:ドレイモンド・グリーン/エリック・パスカル
C:ジェイムズ・ワイズマン/ケボン・ルーニー
SGはリーとベイズモアの2人を中心に回し、ここでカリーをサポートする2人目のシューター枠を確保します。
そしてフォワードは、ウーブレイがSFとPF両方のバックアップに回り、3人でフォワードのローテーションを回すイメージです。
センターは、3Pも打てるパスカルがスモールボールのセンターとしてワイズマンのバックアップに回ると、より多くのシューターをコート上に置くことができます。
これが現状の戦力で何とかしようとするプランAだとすると、思い切って変えてみようというプランBも考えてみたいと思います。
フィットしない2人を早い段階で諦め、必要な戦力と交換するという考え方です。
今オフのウォリアーズは、ラグジュアリータックスも無視して大盤振る舞いをしました。
クレイ・トンプソンがシーズン絶望となる前の段階でも、高額年俸者をたくさん抱えるウォリアーズはサラリーキャップがパンパンでした。
そこにきて年35milのトンプソンが抜けるという緊急事態が発生しました。
この時、もうサラリー枠も空いてないから勝てなくても仕方ないと諦めるか、タックスを払っても勝つための戦力を補強するか、という2つの選択を迫られました。
ウォリアーズは後者を選び、ウーブレイの獲得を決断したわけですね。
ただ、これは勝つためにやむを得ず選んだ選択肢でした。
タックスも払った上に、勝てないときたら、踏んだり蹴ったりなわけです。
であれば、早めに手放す、あるいは、少しでも出費を減らす、という考え方も出てくると思います。
そこでこんなトレードです。
<ウォリアーズ> 計35.3mil ⇔ <マジック> 計43.9mil
PF アーロン・ゴードン SF アンドリュー・ウィギンス
(年18.1mil/残り2年) (年29.5mil/残り3年)
SG エバン・フォーニエ SF ケリー・ウーブレイJr.
(年17.2mil/残り1年) (年14.4mil/残り1年)
★メリット①:年俸総額
まずこの交換を行うことによって、ウォリアーズは43.9−35.3=8.6mil分の年俸を減らすことができます。
さらに、ラグジュアリータックスがかかることを考えると、8.6×2=17.2mil分のコストをカットできることになります。
★メリット②:シューター
キャリア平均37.5%、昨シーズンは39.9%の3Pシューターであるフォーニエを加えることができます。
また残り契約が1年であるため、トンプソンが復帰する頃にはFAとなり、ポジション問題は発生しません。
★メリット③:コストカット
ウィギンスの残り契約は、29.5/31.6/33.6milとあと3年分の高額契約が残っています。
中心選手の一人として残したい場合は別ですが、フィットしないと判断するなら早めに手放さないと、どんどん不良債権化する恐れがあります。
マジックはSFが穴で、スコアラーを求めているため、交換相手として最適です。
★メリット④:アーロン・ゴードン
身体能力の高いゴードンは、走って跳べるビッグマンとして、ウォリアーズのスタイルにフィットします。
近年は3Pもレパートリーに加えたため、SFとしての起用もできなくはありません。
ワイズマンとゴードンのインサイドコンビは、将来のチームの核を担える存在になる可能性があります。
ロースターはこんな感じです。
<ウォリアーズ>
PG:ステフェン・カリー/ブラッド・ワナメイカー/ニコ・マニオン
SG:エバン・フォーニエ/デイミオン・リー/ジョーダン・プール/マイカル・モルダー/(クレイ・トンプソン)
SF:アーロン・ゴードン/ケント・ベイズモア/フアン・トスカーノ=アンダーソン
PF:ドレイモンド・グリーン/エリック・パスカル/アレン・スマイラジッチ
C:ジェイムズ・ワイズマン/ケボン・ルーニー/(マーキース・クリス)
先程のスターターのシューター問題は、 フォーニエが入ることで大分解消されます。
グリーンがボールをさばき、カリーとフォーニエが外に開き、ゴードンとワイズマンが中に陣取る布陣は、バランスが取れていると思います。
<マジック>
PG:コール・アンソニー/マイケル・カーター=ウィリアムス/ジョーダン・ボーン/(マーケル・フルツ)
SG:テレンス・ロス/ドゥエイン・ベイコン/カリム・メイン
SF:アンドリュー・ウィギンス/ジェイムズ・エニス/ゲイリー・クラーク
PF:ケリー・ウーブレイJr./アル・ファルーク・アミヌ/チュマ・オキキ/(ジョナサン・アイザック)
C:ニコラ・ブチェビッチ/ケン・バーチ/モー・バンバ
マジックは、ウィギンスとウーブレイが両フォワードポジションに収まり、テレンス・ロスとドゥエイン・ベイコンがSGポジションを務める形です。
こちらもポジションのバランスは取れ、ウィギンスとウーブレイも本来のプレーができるようになると思います。
また、1年後にジョナサン・アイザックが復帰する頃には、ウーブレイがFAとなるので、ポジション的な問題も発生しません。
トレード案を考え出すと他にもいっぱいあるんですが、とりあえず今回はこの1個に留めておきたいと思います。
いずれにしても、ウォリアーズは現在のアンバランスさを改善する何らかのアプローチを取る必要があると思います。
それは選手個々の能力というよりも、チームとしてのバランスから考えていく方が重要ではないかと思います。