昨年のドラフトは、怪物ザイオンを筆頭に、その同僚のバレット、新星モラントなど、スター候補生が豊富な年でした。
一方、今年のドラフトは「スター不在」の声が聞かれます。
身体能力の高いアンソニー・エドワーズ、ボール兄弟三男のラメロ・ボール、7フッターのジェイムズ・ワイズマンといったあたりがNo.1ピックの候補と言われていますが、圧倒的なタレントはおらず、決め手に欠けるという感が否めません。
ただ、だからといって「不作の年」と決めてしまうのはまだ早いんです。
実際フタを開けてみないと、本当に「不作の年」なのかどうかわからないのが、ドラフトの不思議なところなんです。
例えば、「スター不在」という意味で言えば、2013年のドラフトもそんな年でした。
カレッジシーズン開幕前は、ケンタッキー大1年のCナーレンズ・ノエル(現サンダー)がNo.1ピック候補と呼ばれていましたが、シーズン途中で膝の前十字靭帯を断裂してしまい、結局6位までドラフト順位を落としました。
続くNo.1候補は、インディアナ大2年のCコーディ・ゼラー(ホーネッツ)でした。
ただ、シーズンランキング1位でスタートし優勝候補だったにもかかわらず、2年連続でスウィート16止まりに終わった結果から「勝負弱い」印象が残り、ドラフトでは4位に順位を下げました。
そんな「スター不在」の2013年ドラフトは混迷を極め、1位指名権を持っていたキャブスが誰を指名するのか最後まで見えてこないという異常な空気感のまま、ドラフト当日を迎えることになりました。
そしてキャブスが1位で指名したのは・・・・UNLV1年のFアンソニー・ベネットでした。
同じUNLV出身の大先輩ラリー・ジョンソンを彷彿とさせる、横幅のある体格のカナダ人フォワードでした。
ただ、TOP10には入ると予想されていたものの、まさかトップピックになるとは思われていなかったため、周囲が驚く指名となりました。
やはりそれぐらい、「1位不在」のドラフトだったと言うことができると思います。
ちなみに1位指名を受けたベネットですが、NBAでは全くの鳴かず飛ばずで、4年間で4チームを渡り歩いた後、わずか4シーズンでリーグから姿を消しました。
「史上最悪のドラフトNo.1ピック」という声も囁かれる結果となりました。
そんな2013年ドラフトですが、だからと言って全部ダメだったのかというと、決してそんなことはないんです。
むしろその逆で、非常に優秀な選手たちが輩出されている年なのです。
例を挙げていきますと・・・・
★1巡目2位:ビクター・オラディポ(ペイサーズ)
All NBA team✕1/All Defensive team✕1/オールスター✕2/MIP✕1/スティール王✕1 ⇒ ペイサーズのエース
★1巡目10位:CJ・マッカラム(ブレイザーズ)
MIP✕1 ⇒ 5年連続20点以上のスコアラー
★1巡目12位:スティーブン・アダムズ(サンダー)
⇒ 4年100milの大型契約を結ぶ先発センター
★1巡目17位:デニス・シュルーダー(サンダー)
⇒ ホークスのエースに ⇒ 今季6thマン賞の最右翼
★1巡目24位:ティム・ハーダウェイJr.(マブス)
⇒ ニックスと4年71milの大型契約 ⇒ 先発級スコアラー
★1巡目27位:ルーディ・ゴベア(ジャズ)
Defensive player of the year✕2/All NBA team✕2/All Defensive team✕3/オールスター✕1/ブロック王✕1 ⇒ リーグNo.1のディフェンシブセンター
上位はハズレの選手が多かったものの、10位以降で意外とチームの顔となるような選手が輩出されていることに気付きます。
そして、究極がこの人です・・・・
★1巡目15位:ヤニス・アデトクンボ(バックス)
MVP✕1/All NBA team✕3/All Defensive team✕2/オールスター✕4/MIP✕1 ⇒ 今季もMVPの最有力候補 ⇒ 現在NBA最高峰の選手
そうなんです。
ヤニスを輩出した年なんですね、2013年ドラフトは。
結果からすると、これは「不作の年」どころか「豊作の年」と言っても過言ではないのかもしれません。
大逆転だと思いませんか?
「史上最悪のドラフトNo.1ピック」を生んだ年に、「現在NBANo.1の選手」も生んでるんですよ。
これだから、ドラフトは何が起こるかわからないんです。
そこがドラフトの一番楽しいところかもしれません。
今年のドラフトも、どんな選手が眠っているかわかりません。
例えば、こんな選手はどうでしょう?
Aleksej Pokusevski - 2020 NBA Draft Scouting Video
アレクセイ・ポクセフスキー。
セルビア出身の18才は、7−0(213cm)のプレイメイカーなんです。
パスがうまいセンターとかではなくて、ドリブルで速攻をリードして、ハンドリングでマークを抜き去り、ノールックでパスをさばく7フッターなんです。
にわかには信じがたいんですが、こういう選手が化けたら、将来とんでもない選手に成長する可能性を秘めているわけです。
LEANDRO BOLMARO HIGHLIGHTS 2019-2020 SEASON BARCELONA - Top Prospect NBA Draft (39/60)
リアンドロ・ボルマロ。
スペインのバルセロナBチームでプレーする、19才のアルゼンチン人。
6−7(201cm)のSFですが、ルカ・ドンチッチのようにPGとしてもプレーできるオールラウンドな才能を持っています。
バスケIQが高いので、実戦ですぐに活躍できそうなところも魅力です。
まあ、そこかしこに才能の原石が眠っているので、第2のヤニス、第2のドンチッチが発掘されても不思議ではありません。
そして、そういう選手がドラフト前には注目されていないことも往々にしてあるわけです。
楽しいですねぇ〜
そういう選手を見つけ出すのは。
だからドラフトはワクワクするんだなあと思いますね。