トレードデッドラインが過ぎ、チームの移籍話は一旦収束しました。
これから先は、バイアウトマーケットが動き出すことになります。
選手は3/1までに現所属チームからリリースされれば、その後所属する新チームでプレーオフに出場することができます。
しかし、3/1を過ぎてしまうと、仮に新チームに移籍をしてもプレーオフに出場することはできません。
そのため、プレーオフ圏外のチームに所属しているベテラン選手や、チームの構想外になっている選手などは、現チームにバイアウト(契約の一部買い取り)を要求して自由の身になり、自分の行きたいチームを選んで移籍します。
今回、トレードデッドラインで何も動きがなかったホーネッツから、マービン・ウィリアムスとマイケル・キッド・ギルクリストの2人がバイアウトされ、それぞれバックスとマブスへ行くことになりました。
ちょっとこの動きについて考えてみたいなと思います。
マービンは昨シーズンまで、MKGは一昨シーズンまでスターターを務めていた主力でした。
また、マービンはジャズから移籍して6シーズン、MKGは生え抜きとしてドラフトされてから8シーズンをホーネッツで過ごしてきた古株でしたが、今シーズンは2人とも若手中心にリビルディングを進めるチームの中で居場所を失っていました。
であれば、トレード要員として他チームと移籍話をまとめるのが最善の方策です。
夏まで待ってもただFAで出て行くだけで、何の見返りももらえないので、デッドラインまでにトレードしてしまった方が何らかの対価が残ります。
2人とも今シーズンが契約最終年であるため、サラリーキャップを空けたい各チームにとっては、使い勝手のいい契約条件でもあります。
しかし、ホーネッツに動きはありませんでした。
トレードの噂がなかったわけではありません。
実力以上の高額契約を結んでしまったテリー・ロジアーをニックスに出し、ジュリアス・ランドルを獲るような噂も浮上していましたが、結局成立に至ることはありませんでした。
うまくトレードをまとめるのも、チームのフロントの力量です。
例えばヒートは、似たような状況下でうまく不要な契約を放出しています。
商品価値のある若手(ジャスティス・ウィンズロウ)に、不要になったベテランの契約(ディオン・ウェイタース+ジェイムス・ジョンソン)を抱き合わせにして、うまいこと放出することに成功しています。
ホーネッツも同じことをする必要がありました。
例えば、PGが欲しいチームにロジアーを売り、マービンとMKGの契約を抱き合わせにして放出するといったようなトレードを成立させる必要がありました。
しかし、それができなかった結果、デッドライン直後に2人をバイアウトし、タダでプレーオフチームに献上するという愚策に出てしまいました。
何が最悪かと言うと、2人ともドラフト2位という高順位で指名された素材であり、長年チームのスターターを務めてきた選手でした。
つまり、チームが価値を認め、つい最近まで主力として扱ってきた選手たちだったはずなのに、それをうまく次の世代への投資に活かすこともなく、ただ単にクビを切って終わりにするしかできないフロントの無能さに失望しているわけです。
事実、バイアウトされたらすぐに他のチームが獲っていってるわけで、何の商品価値もなかったわけではないんですね。
ただ単に、うまくトレードをまとめることができなかっただけなんです。
あるいは、トレードに出して何らかの見返りを得ようとする努力をしなかったということです。
ついこの間まで主力として使っていた選手をタダで手放すということは、チームのフロントが自らその選手たちに価値がなかったと認めているようなものです。
そのチームが強くなれるかどうかは、フロントの力量が大きく作用します。
ホーネッツが強くなるのは随分と遠い未来になりそうです。
<ホーネッツ>
PG:デボンテ・グラハム/マリーク・モンク/コービー・シモンズ
SG:テリー・ロジアー/ドゥエイン・ベイコン
SF:マイルズ・ブリッジズ/コーディ・マーティン/ケイレブ・マーティン/(ニコラ・バトゥーム)
PF:PJ・ワシントン/ウィリー・エルナンゴメス/ジェイレン・マクダニエルズ/レイ・スポルディング
C:コーディ・ゼラー/ビスマック・ビヨンボ
ケンバ・ウォーカーに代わるエースPGとしてロジアーを獲得しましたが、控えPGだった2年目のグラハムが急成長して先発PGに定着。
フォワードも、2年目のブリッジズと新人のワシントンの若手コンビ。
若いメンバーでの再出発自体はいいですが、願わくばこれまでの主力選手との交換で戦力の補強やドラフト権の獲得ができれば、もっとチーム力を厚くすることができたのにと思います。
<バックス>
PG:エリック・ブレッドソー/ジョージ・ヒル/フランク・メイソンⅢ
SG:ウェスリー・マシューズ/ドンテ・ディビンチェンゾ/パット・コノートン/キャメロン・レイノルズ
SF:クリス・ミドルトン/カイル・コーバー/スターリング・ブラウン/サナシス・アデトクンボ
PF:ヤニス・アデトクンボ/エルサン・イリャソワ/マービン・ウィリアムス
C:ブルック・ロペス/ロビン・ロペス/DJ・ウィルソン
両フォワードポジションのディフェンスができるマービン・ウィリアムスを獲得したバックスは、好調なチームをさらに盤石な布陣にしました。
3Pも37.6%の確率で決めているので、サイズのある3&Dプレイヤーとして重宝されるでしょう。
優勝に必要なピースを着々と集めている、そんな印象を抱かせるバックスです。
<マブス>
PG:ルカ・ドンチッチ/JJ・バレア/ジェイレン・ブランソン
SG:ティム・ハーダウェイJr./セス・カリー/デロン・ライト/ジョシュ・リーブス
SF:ドリアン・フィニー・スミス/ジャスティン・ジャクソン/コートニー・リー/アントニウス・クリーブランド
PF:クリスタップス・ポルツィンギス/マイケル・キッド・ギルクリスト
C:マキシ・クリーバー/ウィリー・コーリー・スタイン/ボバン・マリヤノビッチ/(ドワイト・パウエル)
ドンチッチのMVP級の大活躍に引っ張られ、マブスは予想外のプレーオフ圏内につけています。
ただ、先発Cのパウエルがアキレス腱を切ってしまい、今シーズン絶望に。
代わりにコーリー・スタインを補強し、クリーバーを先発に繰り上げていますが、そうするとPFのバックアップが手薄になります。
MKGは上背はありませんがパワーがあり、ディフェンスに優れているので、両フォワードポジションのディフェンダーとして貢献するでしょう。