トレードデッドラインの裏で、もう一つ話題がありました。
オールスタードラフトのテレビ放送です。
昨年はこれをルブロンとカリーがやりましたが、そのやり取りは公開されなかったので、結果だけしか知ることができませんでした。
しかしその後ルブロン本人が、「これはおもしろいから、是非テレビで放送すべきだ」と発言したことで、今年はこのやり取りが放送されることになりました。
このオールスタードラフトの様子が、ちょうど旬のネタとなっていたトレードの話題と相まって、なかなかおもしろい展開となりました。
以下がドラフトの結果です。
数字は指名した順番になっています。
【チーム・ルブロン】 【チーム・ヤニス】
<先発> <先発>
①ケビン・デュラント ②ステフェン・カリー
⑤カワイ・レナード ⑥ポール・ジョージ
⑦ジェームズ・ハーデン ⑧ケンバ・ウォーカー
<控え> <控え>
④クレイ・トンプソン ③ニコラ・ヨキッチ
⑥デイミアン・リラード ⑤ベン・シモンズ
⑧ラッセル・ウェストブルック ⑦ブレイク・グリフィン
⑫カール・アンソニー・タウンズ ⑪ニコラ・ブチェビッチ
⑭ブラッドリー・ビール ⑬カイル・ラウリー
<特別枠> <特別枠>
※⑤ベン・シモンズ⇔⑧ラッセル・ウェストブルックは後にトレードで交換
まず注目すべきは、ルブロンが指名した選手たちです。
最初に指名したのは、昨年に続いてケビン・デュラント、次にカイリー・アービング、そして3番目にカワイ・レナードを指名しました。
何がおもしろいのかと言うと、これが全員この夏の大物FAばかりなんですね。
そして、控えメンバーも最初に話題のアンソニー・デイビスを指名し、次にやはりFAになるクレイ・トンプソンを指名しました。
つまり、ルブロンが最初に指名した6人中5人がこの夏FAになる大物ばかりでした。
するとすかさず、ヤニスがツッコミを入れました。
「Isn't that tampering?」(これって不正な勧誘じゃないの?)
一同が大笑いした後、ルブロンはこう答えました。
「いや、そのルールはこのドラフトには適用されない」
いや、そうかもしれませんが、見てる人は全員そう思ってますよ(笑)
"Isn't that tampering?" 😂
— NBA on TNT (@NBAonTNT) February 8, 2019
LeBron drafts AD! #NBAAllStarDraft pic.twitter.com/nEA08k1WC8
しかも、このデイビスの指名の一つ前に、ヤニスが控えの1位を指名していました。
ファン投票の得票数の関係で、先発と特別枠はルブロンが先に指名します。
つまり、先発と特別枠は、先に指名するルブロンが有利にいい選手を持っていくことができるんですね。
唯一ヤニスが先に指名できたのが控え選手だったんですが、そこでヤニスが一番に指名したのは、本来なら最後の方まで余っていたであろうクリス・ミドルトンでした。
ヤニスの無欲さというか、純真な“いい人さ”は、いたるところににじみ出ていました。
先発の最初に指名したカリーも、「去年自分を一番に指名してくれたから」という理由。
控えの一番にミドルトンを指名したのも、「チームメイトだから」。
そして、控えの一番最後にブラッドリー・ビールが残っていたにもかかわらず、成績的に劣るカイル・ラウリーを指名したのも、「ラウリーから『最後にしないでくれ』と頼まれていたから」でした。
そんなヤニスの姿勢というか人柄があったために、余計ルブロンのガツガツした貪欲さが垣間見えるシーンが目につきました。
例えば、さっきのミドルトンを指名したシーン。
本来なら真っ先にデイビスを取られても仕方のないところを、ヤニスがチームメイトを優先してミドルトンを指名しました。
すると、笑いが止まらないルブロンは、「ウッヒッヒッヒ」とまるで悪代官のような笑い声を上げていました。
何をか言わんや、という感じです。
その後、ヤニスが控えの3番目にベン・シモンズを指名した時は、「クソッ!」と放送禁止用語で悪態をつきました。
そして、「俺の指名を横取りした。俺の選手を横取りした。あー、これで計画が崩れたー」としばしダダをこねていました。
確かに、シモンズはエージェントが同じで、オフの練習仲間でもあるので、仲が良いんですね。
なので自分のチームに入れたかったのに、先にヤニスに取られちゃった、と言っているわけです。
でも、だったら控えの一番最初に指名すればよかったんじゃないの?という話なんですよね。
最初に“勧誘”を優先させて、デイビスとクレイ・トンプソンを指名したばっかりに、仲間のシモンズを取られちゃった、というだけの話です。
ヤニスはそうならないように、チームメイトのミドルトンを真っ先に指名したわけですから。
そんなに大事なんだったら先に指名すればいいわけだし、先に取らないと相手に取られるリスクがあるのがドラフトなわけで、「3番目に取ろうと決めていたのに先に横取りされた」なんていう言い訳は通用しないわけです。
そして、控え選手指名の最後のシーン。
ヤニスが“温情で”ラウリーを指名した時には、棚ボタでビールが転がり込んできたことで、シメシメとほくそ笑んでました。
これに気を良くしたのか、続く特別枠の指名では、誰もがルブロンは親友のウェイドを指名することがわかっている雰囲気の中で、「俺が誰を指名するかは世界中の人が知ってると思うけど・・・・・ダークだ」と寒いギャグをかましていました。
.@KingJames with the pump fake 👀
— NBA on TNT (@NBAonTNT) February 8, 2019
D-Wade joins #TeamLeBron pic.twitter.com/swdvOejPqj
ウェイドは、引退を宣言した今シーズンでも、ヒートで最後のショットを任されるエース的な役割を果たすぐらい、まだまだ実力的にプレーできる力が残っている一方で、ノビツキーはもはや、10分ぐらいの出場時間でシュート成功率も低調と、既に引退したも同然の状態になっています。
親友ということもありますが、実力的にもウェイドを取る方が断然有利な状況の中で、冗談でもノビツキーを取ったフリをするというのは、いろんな意味で不謹慎な気がしてなりません。
ヤニスにもノビツキーにも。
オールスタードラフトはそうして一旦終わったわけですが、シモンズの指名でどうしても収まりがつかないルブロンは、最後に禁じ手とも言える“トレード”を提案してまでシモンズを奪いにいきました。
表向きには、「エンビードとウェストブルックの仲が悪いから、この機会にチームメイトにして仲直りさせた方がいい」という理由をつけていますが、だったらウェストブルックの交換相手はディアンジェロ・ラッセルでもカイル・ラウリーでもいいわけですよね?
しかも、ウェストブルックよりも上位指名のシモンズをよこせというのもおかしな話です。
もしシモンズ以外だったら、ウェストブルックを差し出していたのかどうかも疑問です。
このトレード要求にヤニスは、「じゃあウェイドも付けてよ」とチクリと刺しました。
でもすぐに、「シモンズが君の仲間なのは知ってるから、いいよ」と要求をのんであげています。
するとスタジオのチャールズ・バークリーが、「それならチーム・ヤニスの控えメンバー全員を差し出して、アンソニー・デイビスをもらったら?」と冗談をかましていました。
実際の様子は、こちらの動画をご覧ください。
(下の方にトレードシーンの動画もあります)