Beast of East

前回ウェストを総括したので、ついでにイーストも。

12/1時点での順位表はこんな感じになってます。

 

1位 ラプターズ   19勝4敗 ー

2位 バックス    15勝6敗 3

3位 シクサーズ   16勝8敗 3.5

4位 ピストンズ   12勝7敗 5

5位 ペイサーズ   13勝9敗 5.5

6位 セルティックス 12勝10敗 6.5

7位 ホーネッツ   11勝11敗 7.5

8位 マジック    11勝12敗 8 

9位 ヒート      8勝13敗 10

10位 ウィザーズ     8勝14敗 10.5

11位 ネッツ       8勝15敗 11

12位 ニックス      7勝16敗 12

13位 ブルズ       5勝18敗 14

14位 ホークス      5勝18敗 14

15位 キャバリアーズ 4勝17敗 14

 

攻守で頼れる大黒柱レオナルド君を加えたラプターズがトップを快走。

 

現在MVP候補No.1のアデトクンボが引っ張るバックスが2位へと躍進。

 

開幕前にイースBIG3だったシクサーズセルティックスはもたついているものの、まだ上位を狙える位置にはつけています。

 

昨季プレーオフを逃したチームでいうと、ピストンズとマジックが頑張ってプレーオフ圏内につけ、逆にヒートとウィザーズが圏外に落ちているという状態です。

 

では、1つ1つ見ていきたいと思います。

 

<1位 ラプターズ

 開幕前に大きな話題をさらったレオナルド君の移籍は、攻守両面でラプターズの強さを支えています。

 元々選手層が厚く、10人でローテーションが組めてしまうほど粒揃いなラプターズでしたが、そこへレオナルド君が加わることで勝負強さが加わりました。派手さはないものの、沈着冷静にいつも通りのプレーをできる安定感があり、勝負所でも確実に2点やフリースローを獲得してくれる安心感は抜群です。

 一緒にトレードで加入したダニー・グリーンもベテランらしい安定感を見せ、いい所で3Pを沈めて勝利に直結する働きを見せています。

 また新HCニック・ナースのローテーションも見事にハマり、昨季のPFイバカ&Cヴァランシウナスの先発コンビを変え、PFに機動力のあるパスカル・シアカムを先発させ、Cは相手マッチアップに合わせてイバカとヴァランシウナスを併用する形に変えました。

 これにより、スピードのあるチーム相手にはシアカムとイバカの走れるビッグマンを並べ、高さのあるチームには7フッターのヴァランシウナスを対峙させることで、それぞれの選手が持つ長所がより活かされる形になりました。

 先発起用されたシアカムは期待に応え、昨季7.3点⇒14.8点へと得点を倍増させ、FG63.8%はリーグ5位という活躍を見せています。出場時間が減ったはずのイバカも、昨季12.6点⇒16.8点へとアップ、FGも56.4%と高い数字で、チーム2位の得点源となっています。ヴァランシウナスも成績が落ちることなく昨季と同等のスタッツを残しており、この魔法のようなビッグマン・ローテーションがチームの快進撃を下支えしています。

 ニック・ナースは新人HCですが、コーチ・オブ・ザ・イヤーの有力候補となるでしょう。

 

<2位 バックス>

 バックスもHCが変わって、新システムがピタリとハマっています。

 マイク・ブーデンホルツァーはホークス時代、5人全員が得点を狙えるオフェンス・システムで、4人同時にオールスターを出すという実績を残しました。バックスでもこの全員攻撃のスタイルが功を奏し、チーム得点は昨季の106.5点から121.4点へと大幅アップ。2位に3.7点もの大差をつけて、ダントツのリーグトップとなっています。

 特に3Pの成功数は、昨季8.8本で下から4番目だったのが、今季は14.5本でロケッツに次ぐリーグ2位となっており、チーム全体の得点力アップにつながっています。

 2年前の新人王マルコム・ブログドンは先発に固定され、いずれもキャリアハイの平均15.1点・FG51.3%・3P47.4%・FT97.3%(リーグ1位)という高いパフォーマンスを見せています。

 オフに3.4milと格安で獲得したブルック・ロペスは、すっかり超大型3Pシューターとなり、11/11のナゲッツ戦では3P8本成功という、7フッターとしては3人目の記録を作りました。

 エースのアデトクンボは、27.3点(リーグ6位)・12.9リバウンド(リーグ5位)・FG57.7%(リーグ13位)・6.0アシスト(リーグ19位)・1.45スティール(リーグ22位)・1.30ブロック(リーグ23位)・ダブルダブル15回(リーグ4位)・トリプルダブル2回(リーグ2位)とオールラウンドな働きを見せ、チーム成績の好調さもあってMVPレースのトップに立っています。

 シャックが自身のニックネームだった「スーパーマンの称号を譲る」と発言したのもうなずける活躍ぶりです。

 

<3位 シクサーズ

 開幕から8勝6敗スタートとつまづいたシクサーズは、大物ジミー・バトラー獲得のトレードを断行。バトラー加入後は8勝2敗と結果を残し、イーストの上位に戻ってきました。

 バトラーは、シクサーズに欠けていた“最後のワンショットを決める決定力”をもたらし、既に2度も試合を決めるクラッチショットを沈めています。

 あとは3Pシューターの補強さえうまくいけばいいんですが、狙っていたカイル・コーバーはジャズに先を越されてしまいました。

 マーケル・フルツの問題は未だ解決策が見えず、こんなことならサリッチの代わりにフルツを出しておけばよかった・・・ということになりそうです。

 いずれにしても、早い段階で3Pシューターを補強し、レディックやバトラーの負担を軽減させる必要が出てくると思います。

 

<4位 ピストンズ

 昨季途中にブレイク・グリフィンを補強したピストンズは、そのまま勢いをつけてプレーオフに行くのかなと思われましたが、後半失速して結局プレーオフを逃しました。

 しかし今季はそのグリフィンが絶好調。開幕3試合目にして50点をマークするなど、平均24.8点(リーグ10位)・3P37.2%はいずれもキャリアハイの成績。5.1アシストもチームトップと、ポイント・フォワードとしても機能しています。

 そのグリフィンの相棒ドラモンドも好調で、平均18.7点・16.2リバウンドはいずれもキャリアハイ。得意のリバウンドは、2位が13本台なのでリーグダントツのトップ。特にオフェンス・リバウンドで6.3本という驚異的な数字を叩き出している。

 あとは不安定なガード陣と、リーグで下から5番目の3P成功率が改善されてくれば、上位も狙えるチームになってくるでしょう。

 

<5位 ペイサーズ

 10勝6敗スタートのあと、エースのオラディポをケガで欠いて3勝3敗と伸び悩んでいるペイサーズ

 昨季ブレイクを果たしたオラディポですが、ジャズのドノバン・ミッチェル同様、頼れる2番手スコアラーがいない状況下でマークが集中し、苦戦を強いられています。

 そんな中で光る活躍を見せているのは、サボニスとボグダノビッチ。

 サボニスはほぼ全試合ベンチスタートながら、チーム3位の平均15.0点、チームトップの10.2リバウンドとFG65.2%(リーグ3位)をマークしている。唯一先発した試合では、19点・16リバウンド・4アシストを挙げ、完全に先発Cのマイルズ・ターナーを食う活躍を見せている。

 ボグダノビッチも、リーグトップの3P成功率52.7%をマークし、チーム2位の平均15.5点を記録している。

 ただ、このサボニスとボグダノビッチがオラディポに次ぐ2番手スコアラーでは厳しいのも確か。プレーオフまでに頼れるスコアラーをもう1枚獲得したいところだ。

 

<6位 セルティックス>

 カイリー・アービングとゴードン・ヘイワードがケガから復帰したセルティックスは、リーグトップクラスのスターティング5が揃い、イーストを制覇すると思われていましたが、開幕からずっと5割付近をさまようまさかのスタートとなっています。

 特に目立つのが、ヘイワードとジェイレン・ブラウンの不振です。

 ヘイワードは大ケガからの復帰明けで評価が難しいところですが、すぐにかつての輝きを取り戻すまでには至らず、ここ5〜6試合はあえてベンチスタートに下がって、完全復調へ向けた調整を続けています。

 ブラウンは、元々シュータータイプではない上に、主力が復帰した結果ボールタッチの機会が減ってリズムがつかめず、FG46.5%⇒39.8%へ、3Pは39.5%⇒25.3%へと激減しています。

 ベストな5人を並べるスターティング5ではなく、持てる力を発揮しやすいバランスを重視してシャッフルするやり方も、不振を脱する1つの方法かもしれません。

 

<7位 ホーネッツ>

 ケンバ・ウォーカー頼みのホーネッツは、今季もケンバの超人的な活躍によって支えられています。今季NBAベストの60点ゲームのあと、次の試合も43点と続け、2試合で100点超えを記録するなど、平均27.1点はリーグ7位という堂々たる成績。

 ただ問題は、これに続く選手がいないこと。

 キャリアで初めて先発に定着したジェレミー・ラムは、チーム2位となる平均15.4点をマークして健闘していますが、あとはベテランのトニー・パーカーと新人のマイルズ・ブリッジズが予想以上の頑張りを見せているぐらいで、その他がパッとしません。

 ロースターの大幅な変更を含めた思い切ったチーム改革をしない限り、なかなか現状を打破するのは難しいでしょう。

 

<8位 マジック>

 今季はニコラ・ブチェビッチがオールスター級の活躍でチームを支えています。

 平均21.0点・FG55.3%・3P40.9%・FT84.3%・3.8アシストはいずれもキャリアハイの数字。リーグ12位の11.3リバウンドも含め、初のオールスター出場は間違いないでしょう。

 昨季ブレイクしたアーロン・ゴードンも好調ですが、逆にアウトサイド陣が不調。特に昨季チームのトップスコアラーだったフォーニエが不振にあえぎ、3P成功率が29.2%に沈んでいます。唯一テレンス・ロスが好調ですが、シューター陣のテコ入れが必要になりそうです。

 以前からネックだった先発PGの補強もできていないので、アウトサイド陣の強化が今後の課題となりそうです。

 

<9位 ヒート>

 明るい話題は、ジョシュ・リチャードソンの急成長とホワイトサイドの復調。

 4年目のリチャードソンは、ディフェンスのストッパーとしての役割に加えて、今季得点力を急激にアップさせ、平均20.5点でチームのエースにまで上りつめました。

 昨季は不協和音しか聞こえてこなかったホワイトサイドですが、今季は得意のブロックでリーグトップの2.90本、リバウンドもリーグ2位の13.6本と復調の兆しを見せています。

 課題は元々手薄だったPG。唯一のPGであるドラギッチがケガで戦列を離れると、PGなしのラインナップで戦うという状態が続いています。これはさすがに厳しいので、早急にPGの補強が必要です。

 

<10位 ウィザーズ>

 昨季のプレーオフチームが、開幕から2勝9敗とつまづきました。つまづきの原因はチーム内の不協和音。元々ケミストリーが問題視されることが多かったウィザーズでしたが、ここにきて問題が表面化してしまいました。

 主力を含めたトレードでチームを作り直すような噂も出ていますが、ジョン・ウォールはこの夏にスーパーMAXと呼ばれる延長契約を結び、今季ではなく来季から年40mil平均の契約が4年続くため、トレードは非常に困難になります。

 新戦力のドワイト・ハワードは腰の手術で長期戦線離脱が決まり、ゴール下も手薄ですが、昨季リーグ3位の37.5%あった3P成功率が、今季は下から3番目の32.0%に落ち込んでおり、シューターの補強も必要と課題が山積みです。

 

<11位 ネッツ>

 開幕当初は、平均18.4点でチームのトップスコアラーへと成長した3年目のキャリス・ルバートと、高い3P成功率で先発に抜擢されたジョー・ハリスの活躍で、5割近い成績を残していましたが、ルバートが大ケガで戦線を離脱するとチームも急激に失速。ディアンジェロラッセルとスペンサー・ディンウィディのPG2人に得点力を頼る、不安定な戦い方に逆戻りしてしまいました。

 ケガで出遅れているディマーリ・キャロルやランデー・ホーリス・ジェファーソンらのフィジカルなプレーなど、インサイドとアウトサイドを織り交ぜたバランスの良い戦い方が必要になってきそうです。

 

<12位 ニックス>

 若手の興味深いタレントが多い今季のニックスですが、新HCのデビッド・フィッツデイルが日替わりでコロコロ先発メンバーを変えるおかげで、全く安定感のない戦いが続いています。

 唯一開幕から全試合先発しているのはティム・ハーダウェイJr.ただ1人であり、これでコンビネーションを合わせたり、チームケミストリーを作れという方が難しいです。

 ただ、個々に光る選手は出現しています。

 今年ドラフト外から2way契約を結んだアロンゾ・トリアーは、ベンチからインスタント・スコアラーとして非凡な得点力を見せて完全にローテーション入り。あっという間に上限の45日間を迎えて、NBA契約を結ぶことになりそうです。

 昨年の2巡目指名だったデイミアン・ダットソンは、安定したシュート力で出場機会が増え、チームで3番目に多い出場時間を獲得しています。このトリアーとダットソンは、ほぼベンチスタートながら平均11点以上をマークしています。

 また、今年のドラフト2巡目で指名したミッチェル・ロビンソンは、大学に行かず浪人してドラフト指名された変わり種。7−1(216cm)のサイズを活かし、いきなりリーグ9位の1.91ブロックをマーク。出場時間あたりのブロック数では、なんとリーグ2位という成績を残しています。

 伏兵の若手が貢献しているニックスは、今後の成長が非常に楽しみです。

 

<13位 ブルズ>

 ラウリー・マカネン、ボビー・ポーティス、クリス・ダンと3人も先発級選手をケガで欠いたブルズは、最初からかなり苦しい戦いを強いられました。

 オフに大型契約を結んだザック・ラビーンが覚醒し、10月に平均28.1点をマークするなど、リーグTOP10に入る得点力でいくつか勝ち星を拾いました。

 また、新人ウェンデル・カーターJr.が開幕から全試合先発し、リーグ13位の1.63ブロックを記録するなど、及第点の働きを見せているのはいい材料です。

 あとはケガ人が戻ってきてから、どこまで若手の力を伸ばしていけるかが楽しみです。

 

<14位 ホークス>

 ホークスはドラフトの目玉だったトレイ・ヤングが苦戦しています。

 リーグ7位の平均7.6アシストはいいものの、得意のシュート力は不発で、FG37.8%、3Pは24.8%と低迷しています。カリー2世の触れ込みはどこへやら。トレード相手のドンチッチが活躍するたびに、3位でそのままドンチッチを取っておけばよかったのに・・・と考えてしまいます。

 さらに、今季ブレイクすると予想されていたジョン・コリンズが、開幕からケガで出遅れたことも大きく響いています。

 

<15位 キャバリアーズ

 ルブロンが抜けた時点で、チームの弱体化は決定していたキャブス。

 どのみちリビルディングをしなければならないなら、オフの間にベテラン勢を放出して、若手やドラフト権を集めた方が賢いやり方だったと思います。シーズンが開幕した今になってからJR・スミスやカイル・コーバーを切る動きを始めるのは遅すぎますし、今さら動いてもなかなかいい条件の交換話は来ないでしょう。

 また、チームを再建するなら、思いっきり負けてドラフト順位を上げた方がいいのに、わざわざルブロンが抜けた後にケビン・ラブと延長契約を結ぶのも意味がわかりません。結果的に長期離脱となりましたが、中途半端に試合に勝っても、プレーオフに行けるわけではないし、いたずらにドラフト順位を下げるだけです。

 わずか6試合でHCのタイロン・ルーを解雇したり、後任のアシスタントコーチと条件面でモメたり、今のフロントは何がしたいのかよくわかりません。

 

 

さて、イーストの覇権争いですが、開幕当初のBIG3であるセルティックス、ラプターズシクサーズに、今季躍進したバックスを加えた4チームの闘いとなりそうです。

 

このままラプターズが独走するのか、シクサーズセルティックスが盛り返してくるのか、勢いのあるバックスが番狂わせを演じるのか、非常に楽しみなプレーオフ争いが展開されそうです。

 

 

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レオナルド君 vs. ヤニス のビースト対決

 

 

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ジミー・バトラーはシクサーズに必要な決定力をもたらしました

 

 

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タレント力はNo.1のセルティックスはいかにブレンドできるかがカギ

 

 

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ミッチェル・ロビンソン、アロンゾ・トリアー、デイミアン・ダットソンの3人