Quest for West

開幕して20試合程度が消化された今シーズンのNBA

 

イーストは、レオナルド君が加入したラプターズが強さを見せ、MVP候補のヤニスが引っ張るバックスが躍進、シクサーズセルティックスはややもたついているものの、大体予想通りというか、プレーオフ進出圏内のチームに大きな驚きはない展開になっています。

 

しかしウェストはと言うと・・・・まれに見る大混戦というか、カオスに近い状態になっています。

11/24時点での順位表を見てみましょう。

 

1位 クリッパーズ 12勝6敗 −

2位 サンダー   12勝6敗 −

3位 グリズリーズ 12勝6敗 −

4位 ウォリアーズ 13勝7敗 −

5位 ナゲッツ   12勝7敗 0.5

6位 ブレイザーズ 12勝7敗 0.5

7位 レイカーズ  11勝7敗 1

8位 キングス   10勝8敗 2 

9位 ロケッツ    9勝8敗 2.5

10位 ペリカンズ  10勝9敗 2.5

11位 スパーズ   9勝9敗 3

12位 マブス    8勝9敗 3.5

13位 ウルブス   8勝11敗 4.5

14位 ジャズ    8勝11敗 4.5

15位 サンズ    4勝14敗 8

 

どうですか、この横一線っぷり!

ビリのサンズを除いて、ゲーム差はほとんどあってないようなもので、毎試合順位が入れ替わる大混戦となっています。

 

もう終わったと思われていたクリッパーズグリズリーズ、そして開幕4連敗スタートでウェストブルックを欠くサンダーがまさかの同率首位。

そして、ナゲッツやキングス、レイカーズといった若手チームも健闘を見せ、プレーオフ圏内に入ってきています。

 

現時点の順位で見ると、8位のプレーオフ圏内に、昨季プレーオフを逃したチームが5つも入っているんです。

8チーム中5チームですよ!

 

つまり、現在プレーオフ圏外の7チーム中5チームが昨季のプレーオフチームということになります。

どないなっとんねん!という話です。

 

まあ、ひとしきり興奮したところで、順番に1つ1つ見ていきます。

 

 

<1位 クリッパーズ

 クリス・ポールに出ていかれた時点でもう終わったと思われていたクリッパーズですが、さらにグリフィンをトレード、ディアンドレもFAで手放し、完全にリビルディングモードに入ったと誰もが考えていました。

 しかし、6thマン賞のルー・ウィリアムズを切り札に、トバイアス・ハリスやダニロ・ガリナーリが安定した得点力を見せ、さらにはモントレズ・ハレルやシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが予想外の活躍でチームを支えています。

 クリス・ポールのトレードでロケッツから加入したハレルは、エネルギッシュに動き回るフィジカルなPF。今季は全てベンチスタートにもかかわらず、平均15.9点・7.2リバウンド・1.8ブロック・1.1スティール・FG65.4%という活躍を見せ、MIPと6thマン賞の有力候補となっています。ルー・ウィリアムズと並んで、同一チームに2人も6thマン賞候補がいるのは非常に珍しいことです。

 ギルジャス・アレクサンダーは新人ながら堂々としたプレーぶりで、ベテランのビバリーやテオドシッチを押しのけ、早くも先発PGとして起用されています。

 

<2位 サンダー>

 開幕4連敗からスタートしたサンダーは、さらに復帰したウェストブルックを足首の捻挫で再び失うという苦しい戦いを強いられましたが、その後12勝2敗と快進撃を見せ、順位を一気に上げてきました。

 ウェストブルックが欠場している間、ポール・ジョージや新加入のデニス・シュルーダーを中心にボールがよく回り、スティーブン・アダムスやジェラミ・グラントら脇役の得点が上がりました。ウェストブルックが欠場した結果、チーム全体でプレーするスタイルが功を奏し、元々持っていた個の力が引き出された印象があります。

 ウェストブルックがボールを独占し、確率の低い3Pを乱発するよりも、チームの総合力で戦う今のスタイルがキープできれば、サンダーは生まれ変わるかもしれません。

 

<3位 グリズリーズ

 昨季は故障でシーズン絶望となったマイク・コンリーが復帰したグリズリーズ。コンリーの復帰に呼応するように、マルク・ガソールも輝きを取り戻し、チームも久々に上位に顔を出してきました。

 期待のドラフト4位ルーキーのジャーレン・ジャクソンJr.は、ジャマイカル・グリーンのケガもあって先発に定着し、リーグ7位の1.89ブロックを挙げるなど健闘しています。

 また、キングスから加入したギャレット・テンプル、スパーズから移籍したカイル・アンダーソンが脇を固め、数字に見えない働きでチームに安定感を与えています。

 ジョアキム・ノアを獲得する噂もあり、今後の動きにも注目です。

 

<4位 ウォリアーズ>

 死角なしと思われたウォリアーズにも思わぬほころびが。デュラントとドレイモンド・グリーンの仲間割れ騒動は、その後スティーブ・カー体制になってから初の4連敗へとつながり、独走体勢からの首位陥落となりました。

 これがカリー不在の間に起きたことで、ウォリアーズがプレー面だけでなく精神面でもカリーを中心にまとまっていることが再認識され、改めてスーパーチームを支えているのはカリーの存在あってこそという印象を受けました。

 新戦力では、古巣のジャズ戦でブザービーターを決めたヨナス・イェレブコや、まだ未契約のパトリック・マッコーに代わって3&Dプレイヤーの役割を担うアルフォンゾ・マッキニーらが活躍しています。

 

<5位 ナゲッツ

 ナゲッツは若手の有望株が多いこれからのチーム。主力のニコラ・ヨキッチは23才、ジャマール・マレーは21才、ゲイリー・ハリスも24才という若さ。チームに30代の選手はポール・ミルサップただ1人です。

 そんなナゲッツは、チーム全体の平均失点を昨季から5点も減らし、得失点差+6.8点はウェストNo.1の数字に。チームの得点力はそのまま維持しながら、失点だけを減らしたことで、今季は勝てるチームへと変貌を遂げつつあります。

 ベンチプレイヤーも、トレイ・ライルズにメイソン・プラムリー、フアン・エルナンゴメスやモンテ・モーリスらが好調で、ウィル・バートンを欠いている穴を感じさせない選手層の厚さを見せています。

 

<6位 ブレイザーズ

 ブレイザーズは10勝3敗スタートの後、12勝5敗で一時ウェスト首位に立つ好調な滑り出し。デイミアン・リラードが相変わらずの勝負強さを見せ、接戦をものにして勝ち星を稼いでいる印象を受けます。

 オフに大きな補強はなかったものの、3年目のジェイク・レイマンが先発SFに抜擢され、2年目のザック・コリンズや、移籍組のニック・スタウスカスやセス・カリーも着実に戦力となって貢献しています。

 なかなか安定しないフォワードポジションを埋める人材が出てくれば、上位進出も狙える位置につけていると思われます。

 

<7位 レイカーズ

 ルブロン・ジェームズという最大の補強をしながら、ロンドのツバ吐き事件などもあって、開幕から2勝5敗スタートと苦しんでいたレイカーズですが、その後は9勝2敗と盛り返してきました。

 目立つのはジャベイル・マッギーの活躍。ウォリアーズの控えから先発センターに抜擢され、キャリアハイの得点13.3点を挙げるだけでなく、2.56ブロックはリーグ4位、FG63.9%もリーグ5位というハイパフォーマンスを見せています。

 シーズン途中で補強したタイソン・チャンドラーも、ゴール下のディフェンスで勝利に直結する活躍を見せていて、早くもチームに馴染んでいます。

 カイル・クーズマ、ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、ジョシュ・ハートらチームの若手コアとルブロンの連携が強まっていけば、今後ますます勢いを増していくでしょう。

 

<8位 キングス>

 キングスは今季1番のサプライズチームかもしれません。いい若手を抱えていることはわかっていたものの、勝てるようになるのはまだ数年先だと思われていたからです。

 好調の原因は、得点力の大幅アップ。昨季の98.8点⇒114.2点へと、実に15点以上もチームの平均得点が上がっています。オフェンスのテンポを上げ、走って走って早いタイミングでイージーバスケットを重ねていくスタイルは、現代NBAの潮流にピタリとハマりました。

 その速いオフェンスの中心となっているのが、昨年のドラフト5位指名ルーキーだったディアーロン・フォックス。飄々とした素早い動きで敵陣を切り裂き、平均18.2点・7.7アシスト(リーグ6位)をマークし、チームを牽引しています。

 ウィリー・コーリー・スタインや今年のドラフト2位マービン・バグリーⅢといった走れるビッグマンと速攻からアリウープを仕掛け、3Pラインにはバディ・ヒールズや新加入のネマーニャ・ビエリツァが開いてスリーを狙うスタイルが奏功しています。

 

<9位 ロケッツ>

 開幕から1勝5敗とまさかのスタートとなったロケッツ。わずか10試合にして、オフの目玉補強であったメロを諦めるという決断をする事態になりました。その後は8勝3敗と立て直しつつありますが、打倒ウォリアーズの一番手だったチームがまだ5割付近をウロウロしています。

 意外だったのは、ある程度予想されていたディフェンスの弱体化だけでなく、オフェンスまでもが不調に陥ったことでした。昨季は112.4点とリーグ2位だった平均得点は、今季は106.9点とウェストで下から4番目の数字です。

 特に気になるのは3Pで、リーグトップの試投数は今季も変わらないものの、成功率は中の上だった昨季の36.2%(リーグ13位)から、下から7番目の33.7%へと落ちています。特にエリック・ゴードン(24.3%)やジェラルド・グリーン(29.3%)の不調が目立ち、メロだけを責められないのが現状です。

 シューターの復調(補強)とディフェンスの立て直しが急務でしょう。

 

<10位 ペリカンズ>

 開幕4連勝のあと6連敗。さらに6勝1敗のあと3連敗と、ジェットコースターのようなアップダウンの激しいシーズンを送っているペリカンズ。

 主力選手の出来は総じて好調なのに、もったいなさを感じてしまうのは、ニコラ・ミロティッチと新加入のジュリアス・ランドルを同時起用しないことです。SFミロティッチ、PFランドル、Cデイビスのフロントラインはかなり魅力的ですが、今のところランドルは6thマンとしてベンチに置かれ、先発で使ってもらえていません。

 せっかくカズンズの穴を埋める存在として獲得したのに、きちんとした主力級の扱いをせず、6thマンとしての起用が続けば、FAとなるオフに出場機会を求めて出て行かれてしまう可能性が高くなります。それに、193cmのガードであるイートワン・ムーアをSFとして起用し続けるのは違和感があるので、チームとしてワンランク上を目指す意味でも、早くビッグラインナップの可能性を試してほしいなと思います。

 

<11位 スパーズ>

 スパーズがスパーズであり続けるのは、もう限界かもしれません。これまではメンバーが入れ替わっても、なんとかスパーズらしさを維持してきましたが、今シーズンは数字の変化が如実に表れています。

 昨季のチーム平均失点はリーグトップの99.8点でしたが、今季は9点も失点が上がり、相手に許したFG成功率はリーグで下から5番目の47.3%に沈んでいます。アップテンポな得点力の増加にはついていけず、アイデンティティだったディフェンスの強さも失われています。

 さすがにここまでメンバーが変わってしまうと仕方のないことだと思いますが、21年連続のプレーオフ出場記録もここで途切れる可能性が高くなってきました。

 

<12位 マブス

 今年のドラフトで敢行した賭けは、やはり大成功でした。

 ドラフト5位指名権を持っていたマブスは、ドラフト3位指名権を持っていたホークスとトレードを行い、ルカ・ドンチッチを獲得しました。そのドンチッチは、平均19.3点・6.9リバウンド・4.1アシスト・3P38.3%という成績を挙げ、新人王最有力候補であるだけでなく、既にマブスのエースとなっています。

 昨年のドラフト9位指名であるデニス・スミスJr.や、ノビツキーのドイツの後輩マキシミリアン・クレベルなど、期待の若手も台頭してきているマブスは、将来に向けた礎を順調に築いていると言っていいでしょう。

 

<13位 ウルブス>

 ジミー・バトラー騒動に巻き込まれたウルブスでしたが、ようやく解決してこれから仕切り直しの1年になるでしょう。

 カール・アンソニー・タウンズは、トレード後はのびのびとプレーしているように見えるし、ロバート・コビントンの移籍後のスタッツは素晴らしいものがあります。まだ5試合ですが、3P成功率が47.1%で、スティールは3.20本を記録。シーズンを通しても、2.22本でリーグ3位となっています。

 将来性のあるダリオ・サリッチも獲得したし、デリック・ローズの奇跡の復活劇もあったウルブスは、これからまたチームを作り直していくものと思います。

 

<14位 ジャズ>

 昨季は見事な躍進を遂げたジャズですが、今季は下位に低迷しています。1番心配なのは、エースであるドノバン・ミッチェルの不振です。

 元々オフェンス力に乏しいジャズは、昨季彗星のごとく現れた新人ミッチェルにおんぶに抱っこの状態でした。しかし2年目の今季、他チームもミッチェルを研究してきていることに加え、ジャズが有効な2番手スコアラーを補強できていないこともあって、苦しい戦いを強いられています。

 ミッチェルの復調を願うだけでなく、ミッチェル包囲網をなんとか援護できるようなオフェンス力の増強が必要でしょう。

 

<15位 サンズ>

 ドラフトNo.1ピックのディアンドレ・エイトンに、エースのブッカーもまだ22才と将来を見据えたチーム作りが進むサンズですが、以前から挙げている先発PGの問題は結局解決されないまま。これでは勝てというのが気の毒に感じてしまいます。

 それともう一つ解せないのが、ジョシュ・ジャクソンを使わないことです。ジャクソンは2年前のドラフト4位指名であり、今年のドラフトロッタリー抽選にもチームの代表として参加。つまり、ブッカー、エイトンと並んで、将来のコアプレイヤーの1人となるはずの選手です。

 それなのに、今季は先発から外れただけでなく、ルーキーだった昨季よりも出場時間が減っています。同じフォワードポジションに、ベテランのアリーザやライアン・アンダーソンを取った動きも不思議だったんですが、まさかジャクソンを外してベテランを重用するとも思っていませんでした。

 3年前のドラフト4位指名であるドラガン・ベンダーはベンチの奥で出場もできず、同年8位のマーキス・クリスはトレードで放出されました。せっかくのロッタリーピックも次々と使われなくなっていくなら、リビルディングはなかなか加速していきません。

 ドラフトピックを無駄にしたり、中途半端にベテランを使ったり、先発PGはいつまでたっても補強しなかったり・・・・謎の多いサンズのチーム運営です。

 

 

さて、本題のウェスタン・カンファレンスの順位争いですが、今のところサンズ以外の全てのチームにプレーオフ進出の可能性があると言えるでしょう。

 

この混戦がどこまで続くのか、最終的にどこがプレーオフ争いで生き残るのか、最後まで目の離せない展開が続いていきそうです。

 

 

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こちらがモントレズ・ハレル。最近はハチマキしてますね

 

 

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ハレルと新人ギルジャス・アレクサンダーが頑張ってます

 

 

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ディアーロン・フォックスとマービン・バクリーⅢ

 

 

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髪型はリアル・サイヤ人ですね(笑)