前回ジミー・バトラーのトレードをお伝えしました。
その中で、バトラー加入後のラインナップについて若干修正しておきます。
<シクサーズ>
PG:ベン・シモンズ/TJ・マッコネル/マーケル・フルツ
SG:JJ・レディック/ランドリー・シャメット
SF:ジミー・バトラー/フルカン・コルクマズ
PF:ウィルソン・チャンドラー/マイク・マスカラ
レディックが先発に上がるのはその通りでしたが、シモンズはPFへスライドせずにそのままPGに残り、ケガから復帰したチャンドラーを即PFで先発させるという形になりました。
まだ復帰明けで出場時間を制限しているチャンドラーは本調子とは言えませんが、同じく新戦力のマスカラが頑張ってフォローしている現状です。
主役のバトラーはと言うと、最後のワンショットを狙うGo-to-Guyの役割をしっかり務め、チームの勝利に直結する働きをしています。
これまでのシクサーズは、ラストショットを任せて1on1をできる人がいませんでした。
シモンズはアウトサイドが打てないし、レディックはもらって打つタイプだし、エンビードはビッグマンなのでセンターライン付近から1on1するわけにもいきません。
残り数秒の最後のワンプレーでボールを託して1on1を任せられる存在というのは、シクサーズに足りなかったワンピースでした。
ケンバ・ウォーカーが60点を取ったホーネッツ戦でも、レギュレーションとオーバータイム両方でラストショットを放ち、レギュレーションでは外したものの、オーバータイムではしっかりと3Pを沈め、チームを勝利に導きました。
昨シーズンまで、試合を優勢にすすめていても、4Qになると決めきれないシクサーズの弱点が、バトラーの加入で改善されていくと思います。
ただ、問題なのはマーケル・フルツです。
バトラー加入後に先発からベンチへと下げられましたが、元々実力で先発の座を勝ち取ったわけではなく、ドラフトNo.1ピックだから使わなきゃという感じで出ていました。
しかし、肩の故障は癒えたはずなのにシュートフォームは元に戻らず、そのフリースローシーンは大きな話題となってしまっていました。
謎のポンプフェイク・フリースロー
その後ジャグリング・フリースロー?に変化
そして、その後再び肩の検査を理由に戦線離脱しました。
ただ、シュートスランプの原因は肩の故障ではなく、精神的なものだろうと言われています。
で、ここで言いたかったのは、フルツのシュートフォームの話ではなく、バトラーのトレードの話です。
夏のオフの間もずっと、シクサーズは一貫してフルツをトレード候補には挙げませんでした。
ドラフトNo.1ピックだし、ケガの影響もあっただろうから、もう一回仕切り直しでチャンスを与えれば、輝きを取り戻すかもしれないと期待していたと思います。
ただ、バトラーのトレード話の時、コビントンとフルツをセットにして、サリッチをキープする選択肢もありました。
もしその決断をしていれば、今頃ラインナップはこうなっていました。
<シクサーズ>
PG:ベン・シモンズ/TJ・マッコネル
SG:JJ・レディック/ランドリー・シャメット
SF:ジミー・バトラー/ウィルソン・チャンドラー/フルカン・コルクマズ
PF:ダリオ・サリッチ/マイク・マスカラ
ほぼバトラーとコビントンを1対1で交換したような格好になり、戦力ダウンは最小限で済んでいたし、シューターを1人手元に残すことができていたでしょう。
でも、これからフルツをトレード候補にしようとした場合、その評価は地に落ちていると言っていいので、いい交換話はやってこないでしょう。
まだ復活する可能性も残されてはいますが、この判断ミスが来夏のFA戦線など後々のチーム運営に大きく影響してきそうです。
もう一つ、フロントのミスと言ってもよさそうなのが、フルカン・コルクマズのルーキー契約です。
トルコ人のシューターであるコルクマズは、まだ2年目で21才の若手です。
1巡目26位指名をしたので、2年間はルーキー契約でギャランティーされていますが、3年目と4年目の契約はチームオプションになります。
見込みのある選手であれば、安いルーキー契約でつなぎ留めておけるのはお得なので、当然オプションをピックアップします。
しかし、チームが手放すという判断をすれば、オプションをピックアップせず、FAとしてリリースすることができます。
コルクマズは1年目の昨シーズンはほとんど試合に出ていませんでしたが、サマーリーグでは40点を挙げる爆発を見せるなど、シューターとして覚醒するポテンシャルを秘めていました。
シューター不足のシクサーズにあって、貴重な戦力になると思っていたのですが、シクサーズはこのコルクマズの3年目のオプションをピックアップしなかったんですね。
その選択をした後にバトラーのトレードが成立し、一時的に選手が足りなくなったシクサーズは、コルクマズに出場時間を与えました。
すると、その後の3試合で3Pを8/15本成功させ、ベンチから平均20分の出場時間で平均12点を挙げる活躍を見せます。
現時点でも立派な3Pシューターとして、貴重なベンチ戦力になりそうな人材なのに、安価でキープできるルーキー契約を自ら手放してしまったんですね。
今季8.3mil、来季は9.7milとルーキー契約でも高額なフルツは試合に出られず、今季1.7milでも使えそうなコルクマズを切ってしまったシクサーズ。
来季どこかのチームでコルクマズが活躍していたら、この時シクサーズが選択ミスをしたことを是非思い出してください。
どことなくベリネッリに見えなくもない(笑)