いやいや、トンでもないことが起こりましたね。
Those five Celtics in 1975-76 who were All-Stars the previous season: Jo Jo White, Charlie Scott, Dave Cowens, Paul Silas and John Havlicek https://t.co/IZd67UmBKV
— Marc Stein (@TheSteinLine) July 3, 2018
先発5人が前のシーズンに全員オールスターだったのは、1975‐76シーズンのセルティックス以来なんですって。
combined All-NBA selections since 2014-15:
— Dan Favale (@danfavale) July 3, 2018
Warriors' eventual starting five (Steph/Klay/KD/Dray/Boogie): 13
all current Eastern Conference players: 11
そして、2014‐15シーズン以降でオールNBAチームに選ばれた数が、現在イーストに所属する全選手よりも多いんですって(笑)
誰も予想していなかったまさかの事態が起こったわけですが、ここではどうしてこういうことになったのかを見ていきたいと思います。
まず、カズンズのキングス時代まで遡ります。
キングスのエースとしてMAX契約を結んでいたカズンズですが、元々カッカしやすい性格で、レフェリーに文句を言ってテクニカルをもらったり、チームのフロントやコーチと衝突したり、成績は申し分ないんですが、素行の面でいろいろ問題視されることが多い選手でした。
そこでキングスは、カズンズをペリカンズへとトレードしました。
ペリカンズは、同じビッグマンのアンソニー・デイビスがエースを務めるチーム。
ポジション的なカブりが心配されましたが、当人同士はケンタッキー大学の先輩・後輩という間柄もあり、非常に仲良く良好な関係を築いていました。
そんな中、契約最終年となった昨シーズン途中に、カズンズはアキレス腱を切る大ケガを負います。
ここから潮流が変わり始めます。
カズンズが離脱したことで戦力ダウンしたペリカンズは、ウェストのハイレベルなプレーオフ争いの中で脱落するだろうと思われていました。
しかし、結果はその逆で、ビッグマンが1人となったインサイドでデイビスがMVP級の活躍を見せ、ペリカンズは見事にプレーオフ進出を果たしました。
◯カズンズ離脱前 48試合 27勝21敗(勝率56.3%)
◯カズンズ離脱後 34試合 21勝13敗(勝率61.8%)
そしてプレーオフでも、1stラウンドで3位だったブレイザーズをスウィープし、2ndラウンドまで進むという成果を残しました。
ここでペリカンズのフロントに迷いが生じました。
「もしかして、カズンズがいることで、デイビスのポテンシャルが抑えられてしまっているんじゃないか」
これはカズンズが悪いということではなく、ポジション的にカブることは最初っからわかっていたことなので、ある意味当然の結果でした。
なので最初にトレードがあった時、どうして行き先がペリカンズなのかな?っていうのが単純に疑問としてありました。
こうなるであろうことがわかっていたからです。
で、ペリカンズのフロントがどうしたか。
オフに契約が切れるカズンズに、MAX契約を提示するのを渋ったんですね。
これには当然、カズンズ側が納得しませんでした。
そりゃそうですね。
平均25.2点、12.9リバウンド、5.4アシスト、1.6ブロック、1.6スティール、3P成功率35.4%という成績は、単にオールスターというだけでなく、センターとして All NBA 1st Team に値する成績です。
つまり、リーグNo.1のセンターということです。
MAX契約は当然の成績です。
しかし、ペリカンズが提示したのは、MAX契約を大きく下回る2年40milというもの。
当然カズンズ側は、このオファーを蹴りました。
ただ問題は、今オフはサラリーキャップに空きがあるチームが数えるほどしかなく、カズンズにMAX契約を提示できるチームがほとんどなかったことです。
キャップの空きはあったものの、MAXまでは少し足りなかったマブスは、最初からカズンズは無理と踏んだのか、早々にディアンドレ・ジョーダンと契約を決めました。
同じくキャップの空きがあったシクサーズは、そもそもエンビードがいるのでセンターは不要です。
唯一可能性があったのは、レイカーズでした。
レイカーズは2人分のMAX契約を結べるキャップの空きがあり、ルブロンを確保した後に、カズンズを呼ぶことは十分可能でした。
PG:ロンゾ・ボール
SG:ブランドン・イングラム
SF:ルブロン・ジェームズ
PF:カイル・クーズマ
C:ディマーカス・カズンズ
どうでしょう?
2人のオールスターに、脇を固める若手たち。
ポジション的なバランスも取れ、悪くないラインナップだと思います。
でも、レイカーズはカズンズを取りに行かず、ルブロンの周りを単年契約のベテランで埋めるという手法を取っています。
いったいどうして?
理由はいくつかあります。
①アキレス腱の状態
アキレス腱切断というケガは、選手生命を短くするとも言われています。
復帰はできても、以前と同じ状態までには戻らず、良くてもかつての7〜8割、最悪引退に追い込まれてしまうこともあると言われています。
今オフに契約を結ぶということは、どの程度まで以前の姿を取り戻せるのかわからないまま、先行投資をすることになります。
それを考えると、MAX契約はおろか、長期契約を提示するのもリスクを抱えることになります。
②若手への影響
レイカーズには、イングラムやロンゾ、クーズマといった、今後の成長が楽しみな若手たちがたくさんいます。
ずっと素行面が問題視されてきたカズンズを入れることで、その若手たちにロッカールームで悪影響が出ないかとフロントは心配しているようです。
③レオナルド君の去就
以前も触れましたが、レオナルド君はレイカーズへの移籍を希望しています。
ただ、スパーズが同じウェストのライバルチームに簡単にエースを差し出すわけもなく、スパーズも焦ってトレードしようとはしていません。
でも、今回の一件で、レオナルド君がレイカーズに来たいと思っていることがわかったわけですよね。
であれば、無理に若手を差し出してまで今トレードをするよりも、契約最終年のレオナルド君が来オフFAになるまで待てば、手に入る公算が高いわけです。
でもそのためには、サラリーキャップの枠を空けておかなければなりません。
今カズンズと長期契約を結んでしまうと、その枠が消えてしまうんですね。
なので、今オフは大きな契約をせず、1年契約で来てくれるベテランばかりを集めているわけです。
④来オフのFA戦線
万が一、今回のポール・ジョージのように、レオナルド君が来てくれなかったとしても、来オフは大物FAがいっぱいいます。
ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、カイリー・アービング、ジミー・バトラー、ケンバ・ウォーカー、などなどです。
なので、無理して今オフに決めてしまうより、選択肢の増える来オフにもう一度考えた方がいいという判断をしたのでしょう。
まあ、そんなこんなで唯一MAXサラリー枠を持っていたレイカーズが回避したことで、カズンズは行き場を失いました。
他のチームは大体キャップが埋まっていて、ミッドレベル・エクセプションと呼ばれる例外枠しか残っていません。
NBAチームは、選手と契約できる金額の総額(サラリーキャップ)が毎年決められています。
基本的には、そのキャップの範囲内で選手と契約しなければいけないんですが、実際は枠をオーバーしているチームの方が多いのが現状です。
でも、キャップをオーバーしたら1人も契約できない、となってしまうと、ロースター15人を埋められません
そこで、キャップをオーバーしたチームでも、選手と契約できるよう、例外枠を設けています。
その枠もいくつかあるんですが、その中でも最も金額が高いのが、ミッドレベル・エクセプションと呼ばれるもので、ラグジュアリー・タックスを払っているチームは約5mil、払っていないチームは約8milという金額になっています。
キャップの空いているチームが契約してくれないとなると、残された選択肢は、このミッドレベル・エクセプションしかなくなってきます。
金額はどこのチームも一緒なので、あとはどのチームに行きたいかという選択になってきます。
カズンズ側が選んだのは、ウォリアーズとセルティックスでした。
しかも、自分たちから電話をしてアプローチしたそうです。
逆に、驚いたのはウォリアーズの方です。
まさか、あのカズンズが「ミッドレベルでいいから」と言ってくるなんてことは、想像だにしていなかったからです。
ウォリアーズも当初、ミッドレベルでセンターを取れないかなあと考え、ダメ元でディアンドレに声を掛けました。
しかし、当然ながら5milと24milの差は大きく、ディアンドレはあっさりダラスに決まりました。
そこでウォリアーズは、その5milの枠でシューターを探し、タイリーク・エバンスやジャマール・クロフォードあたりを狙おうとしていたそうです。
そしたら突然、カズンズから電話が来たわけです。
ウォリアーズは耳を疑ったでしょうね(笑)
当初、5milで取れるセンターを取ろうとしていたところに、カズンズが自らやってきた。
エビを探してたら、タイがかかってしまったわけです。
ウォリアーズに断る理由はありませんでした。
かくしてスーパーチームができあがったわけです。
カズンズ側にも、ウォリアーズに来たい理由がいくつかありました。
①リハビリ
アキレス腱を切ると、復帰までに丸1年かかります。
当の本人は、「トレーニングキャンプに間に合わせる」と意気込んでいますが、ケガをしたのが1月末だったので、普通に考えて復帰はクリスマス頃か年明けぐらいだろうと言われています。
もし他のチームであれば、開幕から2〜3ヶ月いないとわかっている選手を取るほどの余裕はありません。
でも、戦力が充実しているウォリアーズなら、慌てて復帰する必要はなく、じっくり時間をかけてリハビリすることができます。
ウォリアーズ側も、「復帰時期はいつでもいいよ、万全の状態に戻ってからで」と考えているでしょう。
これは、リハビリ中の選手にとっては、非常にありがたいシチュエーションです。
②チャンピオンリング
ラスベガスのオッズが見たことない数字になっていましたが(笑)、来シーズンもウォリアーズの優勝は間違いないところでしょう。
ドラフトからずっとキングスだったカズンズは、優勝どころか、プレーオフに出場したことすらありません。
ウォリアーズで優勝経験者という実績を作れば、来オフのFA市場で自身の価値を上げることができます。
③一流プレイヤーの証明
今回の1年5.3milという契約は、ほぼレンタル移籍のようなイメージに近いです。
1年間だけ在籍し、その間に評価を上げ、来オフもう一度FAマーケットに出て、どこかのチームからMAX契約を勝ち取るための、準備期間のようなシーズンです。
カズンズはその中で、復帰後も以前と変わらない一流プレイヤーに戻れたことを証明しなければなりません。
そしてそれを証明するには、最強ウォリアーズの中で楽にプレーできることは、最適な環境だと言っていいでしょう。
④ケミストリー
新ウォリアーズの先発5人は、いずれもオールスターであると同時に、アメリカ代表チームのメンバーでもあります。
特に代表チームでは仲間として親交があり、とりわけデュラントとカズンズは仲良しな姿をよく見かけます。
ウォリアーズでケミストリーを築き、“いいチームメイト”になれることも証明すれば、ネガティブな評判も少し払拭できるかもしれません。
とまあ、こんな感じでいくつか狙いもあるわけですが、カズンズがウォリアーズと1年間のレンタル契約を結ぶのは、来オフのFAマーケットにもう一度打って出るための布石というわけです。
ただウォリアーズ的にも、5milのミッドレベルで誰も予想しなかった補強ができ、しかも唯一欠けていたセンターポジションを最高の形で埋められたのは、何より嬉しい誤算になりました。
「ウォリアーズは人材を集めすぎ!」という声はもちろんあるでしょう。
確かに、勝敗や優勝争いの興味も減りました。
ただ、一つ誤解してはいけないのが、ウォリアーズは何かズルをしたり、規則に違反したりして集めているわけではないということです。
レイカーズのようなブランド力や都市の魅力で集まってくるわけでもありません。
デュラントを獲得した時もたくさん批判がありました。
でもあの時も、前年の優勝メンバーを放出して、デュラントと契約できるだけのサラリー枠を捻出したからこそ獲得につながりました。
つまり、相応な準備ができていたから獲得できたわけです。
今回は、カズンズを獲得できたはずのチームが軒並み回避した結果、棚ボタ的にウォリアーズに回ってきた、という流れでしたが、カズンズほどの選手が5milで契約してもいいと思わせるようなチーム作りをしてきた結果が、今回の獲得につながりました。
批判を受けやすいスーパーチームではありますが、ただそれを実現できたのは、先を見越した健全なキャップ・マネジメントであり、バランスの取れたチーム作りです。
素晴らしいチーム運営を行ったからこそ、素晴らしい人材が集められたということは、忘れてはいけない事実だと思います。
代表チームのカズンズとデュラント
やたら仲良さそうなんですよね
自撮りまでしちゃってますw
ホント仲良さそうですねぇ〜
そういえばこんな写真もありました。絶対KDは7フッターだと思いますw
来シーズンはこんなシーンも増えそうですね
オールスターでも周知の仲
うーん、メチャ強そうw そしてカッコイイ!!
1シーズン限りのスーパーチームを目に焼き付けましょう