「いつからトレーニングを始める?」
ヴィクター・オラディポがトレーナーにそうメッセージを送ったのは、Cleveland vs. Indiana GAME7 の試合が終了してから、わずか16分後だったそうです。
「もっとうまくなりたいんだ」
おそらくまだシャワーも浴びてないタイミングで、ロッカールームに引き上げて真っ先にテキストを送ったんでしょう。
キング・ジェームズをあと一歩まで追い詰めたペイサーズの1stラウンドの戦いぶりは、賞賛に値するものでした。
それでも全く現状に満足せず、オフも返上して自身のレベルアップを目指す姿勢に、周囲も驚きの目を向けていました。
試合後の記者会見でそのことを問われたオラディポは、
「リラックスして楽しい時間を過ごせよ、と言う人もいるだろうけど、俺はこの生き方しか知らない。これが自分なんだ」
と語っていました。
今シーズン大活躍し、MIPの最有力候補と言われているオラディポですが、誰もその活躍を予想していませんでした。
長年ペイサーズのエースだったポール・ジョージのトレードが成立した時、その交換相手がオラディポとルーキーのドマンタス・サボニスだけだったことは、驚きをもって報道されました。
つまり、オラディポとサボニスだけでポール・ジョージを手放していいのか? という疑問の声でした。
それは昨シーズンと今シーズンの成績を比較するとよくわかります。
◯16-17シーズン OKC
15.9点 FG 44.2% 3P 36.1% 4.3リバウンド 2.6アシスト 1.2スティール
◯17-18シーズン IND
23.1点(リーグ9位) FG 47.7% 3P 37.1% 5.2リバウンド 4.3アシスト 2.4スティール(リーグ1位)
昨シーズンまでは、誰もポール・ジョージに代わるエースになれるなんて、想像もしてなかったんです。
ただ、僕はオラディポがインディアナに帰ってきたのはすごく良かったなと思っていました。
なぜなら、元々オラディポは、インディアナの人々にとってヒーローだったからです。
インディアナ州は、昔からバスケ熱が高い地域です。
その中でも、名門インディアナ大学は熱狂的なファンも多いシンボル的な存在です。
オラディポは、そのインディアナ大の中心選手として活躍し、3年生の時には大学最優秀選手にも選ばれた、インディアナ州のスターでした。
当然、地元のペイサーズへの入団を熱望していたファンも多かったのですが、ドラフト時は評価が高くなりすぎてしまい、指名順位の低かったペイサーズには高嶺の花でした。
当のオラディポは、ドラフト全体2位でマジック入りするものの、6-4(193cm)とNBAのSGとしては小柄なサイズからPGとしてプレーさせられたり、元々ディフェンスは得意な反面ジャンプシュートは苦手だったこともあったりして、伸び悩むシーズンが続いていました。
サンダーにトレードされても、ボールを支配するウェストブルックの影に隠れ、スポットアップ・シューターとして3Pラインに立っているような役割しか与えられず、本来の良さを発揮できずにいました。
そんな経緯もあって、大歓迎してくれる地元インディアナのチームに戻り、エースの抜けたチームで自由に自分のスタイルでプレーできることが、オラディポにとって大きくプラスに働くだろうという予測がありました。
❝THIS IS MY CITY❞
今シーズン、おなじみとなったこのジェスチャーですが、これにオラディポの想いが凝縮されているように感じます。
ホームに帰ってきた
ここが俺のホームだ
"I'm ready to take it to another level."
ようやく自分の居場所を見つけたインディアナの星は、まだまださらなる高みを目指しています。
THIS IS MY CITY
もうインディアナのシンボルになりつつあります
ちなみに・・・・
御年39才の大ベテラン・ノビツキー師匠ですが、オラディポの冒頭のやり取りに触発されて、「じゃあ俺も」と自分のトレーナーに同じメッセージを送ってみたそうです。
その返答がこちら。
「もうお前は終わったって4年前に言っただろう?」
「ハブリチェックにスティールされた時からお前はピークを過ぎてるんだ」(※1965年の出来事)
「お前のフルコート・スプリントはカレンダーと同じ速さじゃないか」
「まあでも、561ビットコイン(500万ドル)くれるなら、明日から始めてもいいぞ!!!」
冗談キツイぜ by ノビツキー師匠