やっぱりか・・・・・・
ついに恐れていたことが起こりました。
ここ5シーズンで4度リバウンド王に輝いているオールスター選手を、前年王者がタダ同然で手に入れました。
先日、このことに関しての懸念を書きました。
そんな願いもむなしく、やはり危惧した通りの結果になってしまいました。
本来、他チームの選手を獲得したいと思ったら、同額の自チームの選手を差し出さないと交換ができません。
それが、トレードです。
ドラモンドは今シーズンの年俸が28.8milなので、レイカーズも本来は28.8mil相当分の戦力を手放さなければいけないんです。
例えば、シュルーダー(15.5mil)+ケンタビウス・コールドウェル=ポープ(12.1mil)とか、シュルーダー(15.5mil)+モントレズ・ハレル(9.3mil)+ウェスリー・マシューズ(3.6mil)といった対価を払わなければ、本来28.8milの選手は獲れないんです。
同等の対価を交換することによって、プラスマイナスゼロの取り引きをする。
それが、トレードです。
ある選手を獲得するためには、それ相応の選手を放出しなければならないことで、チーム間の戦力の均衡が保たれています。
ところが、今回のケースは、ただただプラスでしかないんですね。
マイナスの犠牲を払うことなく、なんなく利益だけを得ることができるんです。
しかも、オールスター級の選手を。
そんなことがまかり通るんだったら、いつまでたっても弱いチームは勝てません。
"The rich gets richer."(お金持ちは、ますますお金持ちに)
さらに言えば、30mil級のオールスターをベテラン最低年俸でGETできてしまうことだけでも十分問題ですが、今回の場合、その最低年俸すら払ってないんです。
通常、ベテラン最低年俸は年2.5mil程度になります。
しかし、今回レイカーズがドラモンドに支払う金額は、わずか0.8milなんです。
The contract for Andre Drummond in Los Angeles is the amount- $794,536- that he gave back in his buyout with the Cleveland Cavaliers.
— Bobby Marks (@BobbyMarks42) 2021年3月28日
The Lakers will have a $554,988 cap hit.
The Lakers are $954,349 below the hard cap and have enough room to sign a 15th player.
正確に言うと、0.8milにも届かない、0.794536milです。
これはなぜかと言うと、キャブス側がバイアウトの際に、サラリーのほとんどを支払うという条件にしたんですね。
通常バイアウトをする場合、選手側も多少なりそのチームを出たい理由があります。
例えば、弱小チームに所属するベテランが、プレーオフチームに移籍したいから今の契約を解除してくれ、という類いのバイアウト(契約買い取り)が多いんですね。
この場合、選手側にもある程度、自己都合でチームを出たいという思惑が入っていますので、残り契約を買い取る際、チーム側にギャランティーされた契約金額を少し返します、という交渉が行われます。
例えば、ラマーカス・オルドリッジは、年俸24milのギャランティー契約のうち、7.24milをスパーズに返しました。
ブレイク・グリフィンは、残り2年契約36.8/38.9milのうち、13.3mil分をピストンズに返しました。
キャリアが残り少ない選手であれば、最後に一花ということで、優勝争いをしているチームに移籍したい、と、サラリーを少し返してでも強いチームへの移籍を望みます。
しかし、27才で選手としてバリバリであるドラモンドは、サラリーを返してまで移籍をする理由はなく、もらえるものは全額もらいます、というスタンスです。
自己都合という部分がほとんどなく、ほぼチーム側の都合でバイアウトをするということになるので、サラリーをほとんど返さずに、ただ契約を打ち切った(買い取った)んですね。
具体的には、28.8milのうち、ドラモンドが返したのはわずかに0.8mil分のみ、大半の28mil分はキャブス側が負担して、残り契約を買い取りました。
そのため、レイカーズはドラモンドに対して、0.8milしか払わなくていいそうです。
そんなことってあります???
自チームの戦力を1人も手放さず、わずか0.8milしか払わずに、28.8milの価値がある選手を補強できるんですよ?
タダ同然と言ったのは、そういうことです。
どうぞまた優勝してください。
そんなの勝てて当たり前ですから。
ただ今回の場合、ドラモンド本人に非はありません。
ドラモンドはキャブスの都合でバイアウトされ、自由にチームを選んだだけですから。
さらに言えば、レイカーズにも非はないんです。
悔しいですが。
悪いのはキャブスです。
キャブスは、オールスター級の選手を保持していながら、ドラフト権1つ得るトレードすらまとめることができませんでした。
ドラモンドを出さないと宣言したのは、2/16のことです。
それからデッドラインの3/25まで、1ヶ月半近くの猶予期間がありました。
それだけの期間がありながら、主力選手を獲得するトレードどころか、若手やドラフト権を獲得するトレードすら成立させることができず、オールスター選手をみすみすタダで手放すしかなかったフロントの手腕が問題です。
また、そもそもの話、キャブスはいったい何のためにドラモンドを獲得したんでしょうか?
若手への切り替えを行うリビルディングの途中で、しかもチームにはケビン・ラブというベテランのビッグマンがいる中で、どうしてドラモンドを獲ったのか?
フランチャイズプレイヤーとして捉えたからこそと思っていましたが、どうも違ったようですね。
こんな形で手放すんなら、最初から獲る必要がなかったのでは?と思ってしまいます。
ピストンズからトレードの噂が出た時、プレーオフチームが獲るのかと思っていたら、なぜかリビルディング中のチームが獲った。
リビルディングの柱として考えてるのかなと思ったら、タダで放り投げた。
いったい何がしたかったのか???
まったく理解に苦しみます。
これまでに決まった、バイアウト後の選手の動向です。
・ラマーカス・オルドリッジ ⇒ ネッツ
・ゴーギー・ジェン ⇒ スパーズ
・ジェフ・ティーグ ⇒ バックス
ラマーカス・オルドリッジは、当初ヒート行きが濃厚と噂されていましたが、グリフィンに続いてネッツに加わることになりました。
グリズリーズからバイアウトされたゴーギー・ジェンも、当初ニックス行きの話が出ていましたが、最終的にスパーズになったようです。
その他、オースティン・リバースがナゲッツに行くのでは?といった噂が出ています。
ロ―スターを見ていきます。
<レイカーズ>
PG:デニス・シュルーダー/アレックス・カルーソ
SG:ケンタビウス・コールドウェル=ポープ/ウェスリー・マシューズ
SF:ルブロン・ジェイムズ/カイル・クーズマ/テイレン・ホートン=タッカー/ジャレッド・ダドリー
PF:アンソニー・デイビス/モントレズ・ハレル/アルフォンゾ・マッキニー/コスタス・アデトクンボ
C:アンドレ・ドラモンド/マルク・ガソール/マーキーフ・モーリス/デボンテ・ケイコック
マルクに代わってドラモンドが先発Cに入れば、ゴール下の機動力は格段に上がります。
もちろん、アンソニー・デイビスにかかるリバウンドなどフィジカル面の負担も軽減することができます。
高さのないモントレズ・ハレルを補完する役割も果たすことができると思います。
<ネッツ>
PG:ジェイムズ・ハーデン/ランドリー・シャメット/クリス・キオーザ/(スペンサー・ディンウィディ)
SG:カイリー・アービング/ブルース・ブラウン/タイラー・ジョンソン
SF:ジョー・ハリス/ジェフ・グリーン/ティモシー・ルワル・キャバロ
PF:ケビン・デュラント/ブレイク・グリフィン/アリーゼ・ジョンソン/レジー・ペリー
C:ディアンドレ・ジョーダン/ラマーカス・オルドリッジ/ニコラス・クラクストン
オルドリッジがCのバックアップに入ることで、グリフィンがPFのバックアップに、ジェフ・グリーンがSFのバックアップに、それぞれ繰り上がることになると思います。
ここ最近プチブレイクしていた若手ビッグマンのニコラス・クラクストンの出場時間が心配ですが、技巧派のオルドリッジから学べることも多いと思います。
ネッツは実績あるベテランをたくさん集めていて、今シーズンの優勝に賭ける意気込みが見えてきます。
<スパーズ>
PG:デジョンテ・マレー/パトリック・ミルズ/トレ・ジョーンズ
SG:デリック・ホワイト/ロニー・ウォーカー/クインダリー・ウェザースプーン
SF:デマー・デローザン/デビン・バッセル/キャメロン・レイノルズ/ケイタ・ベイツ=ジョップ
PF:ケルドン・ジョンソン/ルーディ・ゲイ/トレイ・ライルズ/ルカ・サマニッチ
C:ヤコブ・ポエルトル/ドリュー・ユーバンクス/ゴーギー・ジェン
スパーズは、ウォリアーズからトレードで加えたマーキース・クリスをリリースし、グリズリーズからバイアウトされたゴーギー・ジェンと契約しました。
インサイドでフィジカルにプレーできるタイプがいなかったため、スパーズにとって貴重な戦力となりそうです。
<バックス>
PG:ジュルー・ホリデイ/ジェフ・ティーグ/サム・メリル
SG:ドンテ・ディビンチェンゾ/ブリン・フォーブス/アクセル・トゥーパン
SF:クリス・ミドルトン/パット・コノートン/サナシス・アデトクンボ
PF:ヤニス・アデトクンボ/PJ・タッカー/ジョーダン・ヌウォラ/ロディオンス・クルークス
C:ブルック・ロペス/ボビー・ポーティス/ママディ・ディアキテ
セルティックスからマジックにトレードされ、その後カットされていたジェフ・ティーグは、バックスと契約することになりました。
ちょうどPJ・タッカーのトレードで、バックアップPGのDJ・オーガスティンを手放してしまっていたので、代わりにベテランPGを補強しました。
プレーオフに向けて、少しでも経験の要素をプラスしておきたいバックスです。